とはいえ業務用は置き場所に困るし、セカンドハウスやコテージに持っていくことも難しい。おいしさと持ち運びやすさを追求するなら、この「マイロースト」をどうぞ。
カセットガスこんろの「イワタニ」と業務用ロースターの「フジローヤル」が協力して開発。満を持してリリースされた。
カセットガスこんろに乗せてハンドルを回すだけ
焙煎機の老舗フジローヤルが監修
コーヒーが好きな人なら喫茶店などで「フジローヤル」のロゴを見たことがあるかもしれない。同ブランドは、昭和4年に神戸で創業したコーヒー輸入会社「ニッポン・ブラジリアン・トレィディング・コンパニィ」および同社の機械部「富士商会」をルーツに持つ。
ブランドを運営する「富士珈機」は日本最大のコーヒー機器メーカーとして、業務用の焙煎機やミルを製造し、飲食店などに卸している。


かたやイワタニは、アウトドアファンにはおなじみ。「カセットフー」などのカセットガスこんろを使っている人も多いだろう。同社に勤務するコーヒー愛好家が焙煎機の開発を思い立ち、フジローヤルに設計・監修を依頼。3年かけて作られたのがこの「マイロースト」だ。

五徳にフィット、安定感抜群の土台
特徴は2つある。ひとつは土台。下部にくぼみがあり、イワタニの「カセットフー」シリーズの五徳にぴったりフィットする。しかも重さがあるからグラグラしない。手回しハンドルをスムーズに回すことができ、シリンダーが倒れることがないから安全性も高い。
こんろと焙煎機をセットで持っていけば、どこでも自家焙煎カフェのできあがり。焼きムラを防ぐため、外気温や風の影響を受けにくい室内での使用が推奨されているが、それを頭に入れたうえで野外で試してみるのもおもしろそうだ。

焼けムラを防ぐ2重シリンダー
もうひとつの特徴は、2重式のシリンダー。これは焙煎をよく知るフジローヤルならではの工夫といえる。十分な厚みのあるステンレスを2層にすることで、火の熱が豆にゆっくりかつ均一に伝わる。よって焼けムラや焦げができにくい。

浅煎りも深煎りも思いのまま
さっそく説明書どおりにやってみた。シリンダーに豆を入れて着火。「1秒間に1回転を目安に」ハンドルを回す。思ったより速いペースだが、土台が安定しているので安心して回すことができる。やがてシリンダーの口から白い煙が出始めて、コーヒーの香りがする。しかし、付属のテストスプーンで豆を取り出してみるとまだ緑がかっている。
回し続けると、10分くらいで「ポンッ、ポンッ」と豆のはぜる音がする。これを「1ハゼ」という。この音がしてもまだ回し続けて、1ハゼ終盤で酸味の効いた浅煎りの豆となるという。13分くらいたつと音が「ピチ、ピチ」と高くなる。これが「2ハゼ」。
バランスのとれた中煎りが好みならこれで完成。苦みのある深煎りをめざして2ハゼを1分程度続けて14分で消火。説明書では15分が終了の目安と書いている。部屋中にコーヒーの香りが充満して、もうコーヒーを飲んでいる気分である。

テストスプーンで豆を取り出してみると、見事にこげ茶色になっている。ツヤツヤとしたテカリがいかにもおいしそう。豆をザルに出して冷まし、豆の殻(チャフ)を取り除けば焙煎の完了。ミルで挽いてドリップして、濃厚な香りとコクを楽しんだ。10分余りの焙煎時間はけっして無駄とはと思えない極上の一杯である。


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コーヒーロースター MY ROAST/岩谷産業
55,000円(税込み)








