
BOOK 01
国際援助のリアルを描く手記が訴える支援の本筋
『荒野に果実が実るまで
新卒23歳 アフリカ駐在員の奮闘記』
田畑勇樹著
集英社新書
¥1,243

明日、今日、いや今、食べるものがない。飽食の時代といわれて久しい日本にいると、飢餓に苦しみ人が死ぬ現実に想像が及ばない。
本書の舞台はアフリカ大陸の東、内陸に位置するウガンダ共和国。貧困、飢餓、衛生、教育、さまざまな問題を抱え、数々のNGOが援助に入っている。著者は大学を卒業してすぐ国際協力法人に就職、同国に赴任し農業支援に従事。
そして、ウガンダでも特に厳しい状況にあったカラモジャという地域での支援を思い立ち、自ら乗り込んでいく。なかなか進まない灌漑工事や噴出する諸問題に向き合い、現地の人びとの自立した農業活動を目指す著者。「援助屋が廃業すること」こそが真のゴールなのだと。
本書では利権が絡む国際援助の構造や“援助慣れ”してしまった実態など暗部をも浮き彫りにする。自らの手で食べ物を生み出せることの大切さや、最後に自らを救うのは自らなのだということを痛感させられた。
明日、今日、いや今、食べるものがない。飽食の時代といわれて久しい日本にいると、飢餓に苦しみ人が死ぬ現実に想像が及ばない。
本書の舞台はアフリカ大陸の東、内陸に位置するウガンダ共和国。貧困、飢餓、衛生、教育、さまざまな問題を抱え、数々のNGOが援助に入っている。著者は大学を卒業してすぐ国際協力法人に就職、同国に赴任し農業支援に従事。
そして、ウガンダでも特に厳しい状況にあったカラモジャという地域での支援を思い立ち、自ら乗り込んでいく。なかなか進まない灌漑工事や噴出する諸問題に向き合い、現地の人びとの自立した農業活動を目指す著者。「援助屋が廃業すること」こそが真のゴールなのだと。
本書では利権が絡む国際援助の構造や“援助慣れ”してしまった実態など暗部をも浮き彫りにする。自らの手で食べ物を生み出せることの大切さや、最後に自らを救うのは自らなのだということを痛感させられた。
BOOK 02
未知への好奇心が開く扉。深海の入り口はすぐそこ
『深海魚の玉手箱〜街中で探す深海〜』
盛口 満著
八坂書房
¥2,200

海の大部分を占める深海、200m以深を深海と呼ぶ。おいそれと行ける所ではないが、著者は海に潜ることもなく深海への扉を次々と開く。さて、どうやって? 長年教員として勤め、現在も大学で理科教育に携わる著者。離島で漁師になったかつての教え子から、“面白いもの(魚の胃袋など)”を送ってもらうとそこには深海魚が詰まっていた。
胃袋の中から珍しい深海魚を取り出すというなかなかの妙案。普段魚介類を捌いても胃袋なんぞ気にも留めていなかったが、本書を読んだ今では中身を見たいという気持ちに駆られる。
あるときは造成中の工事現場で魚の耳石を拾い、またあるときは魚屋の店先では丸のままのイカや魚に狙いを定める(最後はおかずになる)。まさに灯台下暗し。見たい、知りたいという純粋な好奇心は年齢に関係なく、仲間へ伝播し引き寄せる。本書に登場するその道のプロや魚に熱中する人びとが楽しげで魅力的だった。
※構成/須藤ナオミ(BOOK)
(BE-PAL 2025年9月号より)