Honda Nシリーズからアウトドア軽ブームへの回答
今、キャンパーみたいに使えるSUV感覚の軽自動車が熱い! スズキはスペーシア ギア。ダイハツはタント ファンクロス。三菱はデリカミニ。みんなアウトドア感覚のいで立ちに悪路走破性や車中泊をアピールしている。そんな中、軽自動車のトップランカーのホンダのNシリーズは、土が好きなら勝手にやってくださいみたいな雰囲気で……。塩対応ではないけれども(笑)。
しかし、さすがにこの流れに乗らないとマズいと思ったはずで、ここにきて真打ちの登場です。ここでは2台のホンダの軽をご紹介するので、ご興味が湧いたらHPやら販売店やらに行ってみてください。
ホンダの軽は何が他と違うのか?
サイズや出力が決められている軽自動車の規格で他と大きく差が出るところが、「センタータンクレイアウト」。簡単に言うと……
1 前席の下に薄型化した燃料タンクを配置
2 邪魔なタンクが片付くので(笑)室内が広く使える
3 重たいものを真ん中の低い位置に置くことで運動性能が上がる
ってなことをまとめて、アウトドアっぽく振ったのが1台目に紹介するN-BOX JOYだ。バリエーションは単色のモノトーンと、ルーフの色が違う2トーンがベースで、これにそれぞれFFとターボ、2WD、4WDが選べるっちゅうことです。
価格は一番安いモノトーンのFFで2,044,900円(税込み)、エコカー減税対象車だ。
まずは見た目がかわいい。この手のアウトドア系だと定番色はモスグリーンとかだが、このクルマは薄茶(デザートベージュ、パール&ブラック)推し。また借りた試乗車のカラー(フィヨルドミスト)もきゃわいらしい。
オッサンには果たしてどうよ? ってハナシもあるけど、さらにかわいいのが内装。チェック柄のファブリックシートは撥水で、子供と遊ぶときに「大胆に汚してきていいぞぉ」って言ってやれる懐の深さにつながる。ホイールも14インチのスチールホイールをベースに、楽しさ満点の色合いに仕上げている。
最大のウリはセンタータンクレイアウトがもたらすフラットな荷室空間
荷室でまず目につくのが、前席と同じ素材を使って、室内の統一感を持たせているところ。その感覚はまるでピクニックに行って、ブランケットを広げているかのよう。オッサンが忘れちまった童話的世界なのよね(笑)。
しかし現実に引き戻されるフラットっぷりが素晴らしい。前席を一番前のポジションにすると、リアのハッチまで148センチの空間ができちゃう。これは軽自動車トップクラスの数字で、マットを上に敷かなくてもそのまま寝られるくらいフラットだ。少し丸まった状態ではあるけれども、車中泊スペースとしては極上の部類である。
安全装備はHonda SENCINGで渋滞でも使えるACCやCMBS、LKAS、急アクセル抑制機能 などだいたいのものが標準でついているから、娘さんの卒業祝いなんかには最高だ。
走ってみるとパワー、トルクはN-BOXと共通ながら、ターボモデルのタイヤが違う。N-BOXカスタムは15インチ、N-BOX JOYはNA、ターボともに14インチだ。このあたりが高速道路でどう出てくるか? 市街地の試乗だけではわからなかったのです。
で、ライバル達と比べてどうかというと、悪路を走破したり、ハードな使い方をしたくなるような、ワイルドな雰囲気は持ち合わせていない。どちらかというと、かわいく乗りたい人向けのクルマと感じた。それは別に悪い意味ではなくて、興味を持つ層や使い道がハードなオッサン向けではない感じがするのだ。
でも西沢が興味を持ったのは実はこっち!
N-VAN e。N-VANはNシリーズの商用車だが、ルート配達などで使えると、物流会社が熱視線を送っている。今回ホンダは、商用車であるN-VAN eを自家用として使おうというコンセプトで広告やHPを作成しているので、それなら乗ってみようってことにしたわけです。
なんだこれ! 使いやすいじゃないか(笑)
商用車ってうるさい! 乗り心地悪い! 遅い! ってイメージだけど、このN-VAN eはかなり違う。まず当然EVなんで静かです(笑)。そして前席に乗っている限り振動もなく、前席シートがいい! 商用車は乗り降り重視で座面が小さく、長く乗っていると疲れるのだが、N-VAN eは普通車と同じサイズのシートフレームで、おまけにシートヒーター付き。
そして何より加速がとにかくいい。トルクが軽自動車ターボの1.5倍あるから、信号発進加速がメチャメチャ気持ちいい。全開で発進するとホイールスピン(笑)。それからBレンジを使えば回生ブレーキが強めにかかり、雪や滑りやすい路面でも安全に止まることができるし、EVとしての良いところをスライドドア付き軽ワゴンにぶち込んだ感じがする。とにかく完全に商用軽バンの悪いところを飲み込んじゃっているところがすごいのだ。
驚いたぞ!これは見たこともないフルフラットだ
さっきも書いたけど、Nシリーズの美点は「センタータンクレイアウト」。そのプラットフォームを使って、薄型バッテリーをフロア真ん中に載せている。この配置によって写真のような驚くフルフラットなフロアが出現するのだ。
長さは助手席とリアシートを畳むと2645ミリ! 室内の高さは1370ミリ! 室内幅は1390ミリだ。こんなスペースがあればMTBやらサーフボードやら何でも積めちゃうし、ありがたいのは商用車ならではのルーフレール。これさえあれば、フレーム組むもよし、ボックス載せるもよし……。自由な週末が生まれるってもんです。
自由な週末っていうと、航続距離が気になるEVですが……N-VAN eは26.9kWhの大容量電池を装備して、航続距離は245キロ。実は西沢の愛車は日産のEVサクラで、この子の走行距離のギリは実質130キロ程度。これだと怖くて遠出ができないんだけど、N-VAN eの245キロ(多分実質は200キロ弱)なら海山まで足が延ばせそう。
カタログでは充電残量警告灯点灯から普通充電した場合、80パーセントまで4.5時間。これは早いです。なんたって休日の充電器は急速充電が順番待ちなのに比べ、普通充電は誰もいないのです(笑)。少しテク使うと、遠出も楽だし、これは欲しい。
ちなみにスライドドアの軽EVは電池とスライドドアのレールの関係などで難しいらしく、日産・ルークスのスライドドアEVは噂も聞きません。4ナンバー登録にはなるけれど、ハイエースで慣れているBE-PALのアニキたちなら軽くクリアできそう。BE-PALのイベントに乗ってきたら目立ちますよ(笑)。
ラインアップは大きく分けて2つで、商用車のラインアップと自家用にも使える豪華仕様のe:FUN。 試乗したのはe:FUNでこちらの価格は2,919,400円(税込み)。
充電の問題と使い方さえ間違えなければ、最強の週末遊びクルマになれそう。
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