Japan Brand 「NANGA」大躍進の秘密とは?社長インタビューも敢行 | アウトドアブランド 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル - Part 2
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    2023.11.11

    Japan Brand 「NANGA」大躍進の秘密とは?社長インタビューも敢行

    わずか14年で売り上げ3億円が50億円に!
    成功の秘訣は「もの作り」の熱意にこそあり

    ナンガ代表取締役社長 横田智之さん

    2代目社長の長男で、2001年にナンガに入社。2009年に社長就任。「基本的にダウンや寝袋というのは、『休む』ときに使うものなんです。ナンガとは、休むことを目的とした製品を作る企業なんです」と話す。

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    ファクトリーブランドの強みを活かしてます

    山岳ウェアから街でも着られるデザインへのシフト

    大勢の縫製職人が働く本社工場の一角で、Tシャツに短パン姿の横田智之社長が気さくに迎えてくれた。今年の売り上げ見込みは55億円。2009年の社長就任当時に3億円だった売り上げは、わずか14年間で18倍以上に。ダウンジャケットの売り上げがけん引し、ここ数年でも驚異的な成長を見せる。ナンガを成功に導いた道のりを振り返ってもらった。

    「OEMで培った信頼と技術が自社製品の魅力を高めました」

    横田:『オーロラダウンジャケット』のデザインを大きく変えたのが2016年の3代目からです。当時は、すでに寝袋が売れていて、防水透湿性のある生地『オーロラテックス』が、ナンガの代名詞として知られていました。ですが、もっとダウンジャケットを売っていくために、デザインをかなりタウン寄りに変更しました。

    2代目までは、シルエットもだいぶ大きめの山寄りのデザインでした。登山やアウトドア向けだけではマーケットが小さいので、そこをもっと広げていくうえで、保温性はそのままにタウンウェアとしても着用できるよう汎用性を広げ、アウトドアとタウン、どちらでも着られるようなデザインにしました。

    ――今やアウトドアの世界でナンガというブランド名を知らない人はいないと思います。いつごろからどうやって知名度を上げていったんですか?

    横田:2009年に社長になってからダウンジャケットをもっと売っていこうと思いました。そもそもうちがダウンジャケットを作っていることすら知らない人がほとんどの時代です。知名度を広げるために最初にしたことが、有名ブランドのOEMやダブルネームの活用でした。

    うちで生産したOEM製品を通して、ナンガという会社がダウンジャケットを作っていることを周知しました。当時は会社の売り上げが少なく、戦略的な広告宣伝を打てないなかで考えた策です。そのなかで、約5万枚、売り上げ高でいうと10億円を超えてくるあたりまで、自分たちのブランド力を上げることを目標にやってきました。

    ――会社全体の売り上げを見ると、2009年が3億円、2013年が5億円、2017年が10億円と飛躍的に伸びていますが、その飛躍の理由はどこにあったのでしょうか?

    横田:潜在的にナンガが欲しいという方のパーセンテージを増やせたことだと思います。国内工場だけで生産して、「メイド・イン・ジャパン」を売りにしていた時代もありました。しかし製品がある程度売れるようになり、海外で縫製する必要が出てきました。

    生産キャパを格段に広げた結果、売り上げが伸びはじめ、海外工場での量産態勢が整った2020年ごろから、売り上げは急伸しています(右下表参照)。計画的にプロセスを踏んできたので、今後も順調に成長していけると思います。

    ――今後の目標は?

    横田:年商100億円です。5~6年はかかると考えています。

    ――目標達成のために必要なこととは?

    横田:販路の拡大です。生産量を増やすなかで、販売網を増やすことが、すごく大事なことだと思います。現在、卸しが7割ぐらい、ECほか自社販売が残り3割。もう少し自社の売り上げ比率を上げていきたいです。

    ――直営店を増やす狙いはそこにあるんですね。

    横田:直営店は、自分たちの製品を自分たちで売っていくことができるところ。僕が一番大事にしなければいけないと考えていることは、縫製の現場のこともきちんと知った人間が売るということ。どういう想いで企画して、作ったのかを踏まえて、お客様に製品の価値を伝え薦められることが、自社で物を作り販売するナンガの強みだと思っています。

    ナンガが向かう次のステージとは?

    ――ここ数年を振り返って、ターゲットの変化などはありましたか?

    横田:自分たちが歳を取ってきたことと同調するように、購買層の平均年齢も以前より、少し上がっている気がします。そこで、現在は20代後半ぐらいの方をターゲットにしたプロモーションも行なっています。
     
    今、Tシャツは5500円くらいですが、これからは若い世代に向けた3000円という低価格の製品を作ることもあり得ると思うんです。それはブランディングを壊すことではなく、エントリー層を広げていくことで、永続的に自分たちが大切にしているコアゾーンの客層を増やすために必要なことだと思っています。

    ――海外での展開は?

    横田:今は20か国ぐらい。まだそこまで大きな売り上げがあるわけではないですが、この7年間、OR(アウトドアリテーラーショー)に出展してアメリカ市場での知名度を上げる活動をしてきました。コロナ禍中でも出展した海外ブランドはうちぐらいだったので「お前たちよく来たな」って、とても喜んでもらえました。それまでなかなか受け入れてもらえなかったアメリカのローカル・バイヤーともしっかり話ができて、繋がりを作れたことで、飛躍的に海外マーケットが開けました。

    ――アメリカ市場に参入する意味は?

    横田:日本、もしくはアジアのマーケットに対するブランド力を上げることです。市場規模の大きなアメリカにメインマーケットをもっていきたいと思っています。しかし、これがうまくいかなくても、アメリカでやっていること自体が日本のマーケットをけん引するためのプロモーションになります。
     
    例えばアメリカ市場専用のUSモデルという商品を、そのまま日本市場に投入すると、とてもよく売れます。僕もそうですが、日本のアウトドア好きって、どこかアメリカに憧れがあるのではないでしょうか。

    ――ナンガがアウトドアの世界で目指すところはどこですか?

    横田:間口を広げ、世の中の多くの人に広く使ってもらうことが大切です。もちろん品質の向上も追求していきます。例えば、世界に通用するダウンジャケット。製品としては、『レベル8』のアップデートです。8000m級でしっかり使ってもらえる製品を増やしていくことを考えています。
     
    世界の8000m級の山でも、どういったアプローチで登山するのかで必要な製品は変わります。縦走をするのか、無酸素で単独で登るのか、ポーターを使うのかで変わるじゃないですか。でも、本当に過酷な環境下でも使える製品を作れるブランドは世界でも少ないんです。だからこそ、そういう製品を世に送り出し世界に認められれば、グローバルの市場は一気に広がると考えています。
     
    やはり、もの作りの熱意こそが成功の秘訣、ブランドを躍進させていく力になると確信しています。これからも我々の製品にぜひ期待してください。

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    2日前にタイから帰国したばかりという横田社長。市場拡大を目指し、自ら国内外を忙しく飛び回る日々が続いているという。

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    タウン向けのモデルで間口を広げながら、高度な技術力を発揮できる8000m級の山で使える製品の開発にも力を入れている。

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    コロナ禍にもひるまず、アメリカのORに7年続けて出展したことで、アメリカのみならず、ヨーロッパ、アジアなどでも評価を高めた。

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    品質とデザイン、街と自然をクロスオーバーさせたコンセプトが高く評価され、2023年6月のORでは、ベストインショーに選ばれた。

    近年の売り上げ推移
    (単位:円)

    2020年 25億5000万 (寝袋:9億5000万 ダウンジャケット:13億)

    2021年 41億2000万 (寝袋:16億8000万 ダウンジャケット:15億9000万)

    2022年 50億5000万 (寝袋:15億4000万 ダウンジャケット:20億8000万)

    (BE-PAL 2023年11月号より)

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