中央区のど真ん中にひしめく5つの山とは?【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.13】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.10.16

    中央区のど真ん中にひしめく5つの山とは?【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.13】

    東京23区内、特に山手線の内側はビル街や飲食店街、住宅街ばかり。そう思っている人が多いかもしれません。でも、目を凝らせば東京都心にも「山」はあります。そんな東京の山の世界を、日本で唯一のプロハイカーである斉藤正史さんが案内します。第13座目は、東京都中央区にある「浜離宮恩賜庭園の5つの山」です。
    これまでの記事はこちら

    第13座目「八景山」ほか5座

    FILE.6で「旧芝離宮恩賜庭園」(きゅうしばりきゅうおんしていえん)の大山などを巡った際、徒歩圏内にある「浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん)」とのセットの入場券の「園結びチケット」を購入しました。そこで、半券をもって出かけてみました。

    そうです。旧芝離宮恩賜庭園と同じく、浜離宮恩賜庭園も入園料(登山目的の場合は入山料)が必要です。「園結びチケット」ではなく、浜離宮恩賜庭園だけの入園料は、一般300円、65歳以上は150円(小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料)。開演時間は9:00~17:00(入園は16:30まで)です。

    今回は旧芝離宮恩賜庭園から歩きましたが、浜離宮恩賜庭園に直接行く場合は、JR新橋駅汐留口が最寄りの登山口として良さそうです。

    時代に翻弄された庭園

    浜離宮恩賜庭園は、「潮入の池」と二つの鴨場がある江戸時代の代表的な大名庭園です。潮入の池とは、海水を導いて潮の満ち干によって池の趣を変えるもので、海辺の庭園で用いられていた様式です。昔は潮入の池を持つ庭園は多くありましたが、現在、実際に海水が出入りしている庭園はここだけだそうです。

    ここは、1624~1644年までは将軍家の鷹狩場として使用されており、一面の芦原だったそうです。初めて屋敷を建てたのは、四代将軍家綱(いえつな)の弟で、甲府宰相 の松平綱重(つなしげ)。その後は、徳川家宣(いえのぶ) が六代将軍になったのを契機に、将軍家の別邸となり、名称も浜御殿と改められました。歴代将軍によって幾度かの造園、改修工事が行なわれ、十一代将軍家斉(いえなり)のときにほぼ現在の姿の庭園が完成したといわれています。

    明治維新の後は皇室の離宮となり、名前も浜離宮となりました。その後、関東大震災や戦災によって、貴重な建造物が焼失したり樹木が損傷したりしました。震災後は浜離宮と芝離宮が鉄道施設や魚市場になるとのウワサになったこともありましたが、第二次世界大戦後の諸事情により、東京都に下賜(かし)され、1946年に都立公園として有料で一般公開されたのでした。

    浜離宮恩賜庭園には2つの入り口があります。大手門口と中の御門。今回、私が入場したのは中の御門です。大きな敷地の中には、たくさんの遊歩道があり、見どころもたくさんあります。今回はちょっとした空き時間で来てしまったので、中の御門から入場し、園内にある5座、「八景山」「富士見山」「御亭山(おちんやま)」「樋の口山」「新樋の口山」を結んだ最短周回ルートで歩くことにしました。それにしても見どころがたくさんありそうです。

    園内にある案内図。

    園内にある案内図。

    いざ出発!なんと、八景山は歩道の脇にひっそりと看板が出ていました。よく見て歩かないと他の看板と見分けがつかず見逃してしまいそうです。山というか、何かこんもりしているな、といった印象ですし。

    見落としそうになった八景山の標識。

    見落としそうになった八景山の標識。

    それにしても、ビル街に佇む庭園はどこを切り取っても美しいですね。庭園内には、2つの御茶屋があります。風情がありますね。

    絵になる都心の庭園。

    絵になる都心の庭園。

    富士見山 

    庭園内の山で一番高そうな山です。その昔、江戸時代から明治時代までは、名前のとおり富士山が見えていたそうですよ。今も庭園を見渡せる眺望の良い山頂があります。

    富士見山。

    富士見山。

    富士見山山頂からの眺め。

    富士見山山頂からの眺め。

    御亭山

    庭園の中心部にある小高い御亭山(おちんやま)は、標高3m程度ですが、山頂へ登ると庭園を見渡せて眺望抜群です。ここまで来ると残り半分でしょうか。

    御亭山。

    御亭山。

    樋の口山、新樋の口山

    庭園の山めぐりのラストを飾るのが、樋の口山と新樋の口山です。残念ながら樋の口山は登ることが出来ず、見るだけの山ですが、新樋の口山は眺望も良く、庭園の緑越しに都心のオフィス街を眺めることができます。

    樋の口山。

    樋の口山。

    この季節、お花畑ではキバナコスモスが一面に咲いていました。忘れかけていましたが、ここは中央区、東京のど真ん中です。

    都心にあって季節の花々を楽しめるのも魅力。

    都心にあって季節の花々を楽しめるのも魅力。

    今回は時間の都合で5座を一気に巡ったのですが、登山だけではもったいない!最低でも2周はしないと、浜離宮恩賜庭園の全容が見えないと感じました。きっと紅葉の季節もいいでしょうね。今度は秋にお弁当持参で、ゆっくり巡りたいと思います。近隣にお仕事で来る人や、お住まいになっている人がうらやましいです。わずか1,200円で年間パスポートも購入できるので、いつでも手入れの行き届いた広大な景色を楽しめます。

    旧芝離宮恩賜庭園もそうでしたが、都内の入山料のある山はしっかり管理されているし、水場や休憩場所もあっていいですね。浜離宮恩賜庭園も、入山料を支払う価値ありですよ!

    次回は「あの日比谷公園にある2座」を予定しています。

    なお、今回紹介したルートを登った様子は、動画でご覧いただけます。

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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