超高層ビル群の麓にある山とは?【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.3】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.08.28

    超高層ビル群の麓にある山とは?【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.3】

    見上げると超高層ビル群。

    東京23区内、特に山手線の内側はビル街や飲食店街、住宅街ばかり。そう思っている人が多いかもしれません。でも、目を凝らせば東京都心にも「山」はあります。そんな東京の山の世界を、日本で唯一のプロハイカーである斉藤正史さんが案内します。第3座目は、港区の超高層ビル群や超高級住宅地に囲まれた「千石山」をめぐります。

    第3座目「仙石山」

    今回も東京のど真ん中、港区の山を歩いてみました。その名も「千石山(せんごくやま)」です。結構前にネットで発見した山なのですが、お城の跡地としてお城好きの方がよく訪れる山のようです。

    調べてみると、千石山にまつわる2つの説が分かりました。

    • [説1]室町時代に江戸城築城した太田道灌が、江戸城の出城として現在の仙石山に築いたお城があったそうです。
    • [説2]江戸時代、この地には出石藩(いずしはん)仙石家の屋敷がありました。藩主であるお殿様が移り住んだことで、高台は「仙石山」という呼ばれるようになったそうです。

    2つの説、どちらが正しいかは分かりませんが、この一帯は高台であり、仙石山と呼ばれていたことは確かなようです。つまり、仙石山は「山」として考えてよさそうですね。「仙石山」という石碑もあるようですので、まずは「仙石山」の碑を目指して、ルートを決めていきます。

    神谷町駅登山口からエスカレーター登山道へ

    今回は、最寄りの日比谷線神谷町駅登山口から登ることにします。

    神谷町駅登山口。

    神谷町駅登山口。

    駅を出ると、刺すような日差しが容赦なく照り付けてきました。登山口を出発すると、直ぐに信号があります。もちろん信号待ちは少し離れたビルの日陰で待ちます。信号を渡り木陰の道を進みます。

    最初の分岐を左に曲がり、進んでいくと右手には「東京ハイキング」でおなじみのエスカレーター登山道が現れてきました。躊躇なくエスカレーターに乗ります。

    エスカレーター登山道。

    エスカレーター登山道。

    エスカレーターを登ると、一気に雰囲気が変わってきます。この日の東京の気温は35度。何もしていなくても汗がしたたり落ちてきますが、高層ビルの谷間にあって木々に囲まれた木陰を歩くこのルートは、空を見上げなければ大きな公園の中を歩いているようでもあります。実はこの道、神谷町緑道とも呼ばれているようです。

    ビルの谷間の木陰ルート。

    ビルの谷間の木陰ルート。

    真っすぐな1本道を、徐々に標高を上げながら歩いていきます。それにしても木陰は気持ちいい。少し歩いていくと、ルートの脇にはベンチなども点在しています。高層で高級なビル群に囲まれ、「高級歩道」とでも呼びたくなるような雰囲気です。

    しばらく進むと、左には、大きな仙石山アネックスビルがあり、仙石山方向に行けそうでしたが、通り抜け禁止となっていて、ビル沿いに登る道も塞がれていました。偶然にもこのビルにはNPO法人富士山世界遺産国民会議が入っていました。なぜ東京に?と思いつつも先に進んで行きます。

    びっくりしたのは、緑道沿いに東屋やゴミ箱もしっかり設置されていたこと。近年、どこに行ってもゴミ箱がなくて困るのですが、このルートなら安心です。さらに進むと、極小の公園やトイレまでありました。

    登山の休憩スポットとしても最適な東屋。

    登山の休憩スポットとしても最適な東屋。

    木陰の風が入り込む道を真っすぐ進むと、信号が現れます。左にUターンするように曲がり、今度は緩やかな道を下っていきます。ここにも街路樹があるので酷暑日でも少しは安心です。

    ここで、いったん歩道を外れ、脇の迂回路を歩いてみます。少し進むと、階段が見えてきました。登るとちょっとしたスペースがあり、石製のベンチもあります。先ほど見た仙石山アネックスビルの塞がれた道は、この広場に繋がっていたようです。風通しもいいので歩道を眼下にみながらしばし水分補給します。

    石製のベンチのある階段を下り、最初の道を左に曲がると高級住宅街が広がっています。その住宅街の中にあるオフィスビルが見えたら、右に進路をとります。

    この写真の左に映るオフィスビルが見えたら、進路を右へ。

    この写真の左に映るオフィスビルが見えたら、進路を右へ。

    そして突き当りを左に曲がると、ゴミ収集のネットに囲まれるようにして石碑がありました。近づくと、そこには仙石山の文字が見えます。「仙石山 町會防護團」と記されていました。石碑の周りはゴミ集積場になっていて、何だか物悲しい状況です。

    防護團とは、戦争に備えて戦前につくられた消防団と防護団を統合した警防組織だそうです。戦後、新たに消防団令が公布され、現在の消防団となったようです。ちなみに、僕は地元の山形で消防団をしているのですが、そんな組織がかつてあったんだと勉強になりました。

    「仙石山 町會防護團」の石碑。

    「仙石山 町會防護團」の石碑。

    周囲を見渡すと再開発が進んでいるようです。この石碑の周りにはすでに建物もありません。もしかしたら開発が終わるころ、この石碑も撤去されてしまうのでしょうか。こうして都会の山々が姿を消し、運が良ければ地名だけが残るのかもしれません。

    なお、ここは虎ノ門5丁目ですが、港区の町会一覧では、虎ノ門5-3、4、6、7(仙石山アネックスを除く)が「仙石山町会」として現在も存在しているようです。

    忙しい人向け最短ルート

    神谷町や虎ノ門周辺に土地勘のある方ならお気づきかもしれませんが、実は神谷町駅登山口から最短ルートでいくと、360mほどで仙石山に着きます。緩やかな登りなので歩きやすく、特別な装備も必要ありません。

    ここが東京のど真ん中であることを忘れてしまう、高級歩道経由での港区の登山。ちょっとした散歩としてもオススメです!

    次回は、芝公園の山「丸山」です。

    なお、今回紹介したルートを登った様子は、動画でご覧いただけます。

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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