登山を始めて、多くの人がぶつかるのが“軽量化の壁”だと思います。
荷物を軽量化することで疲れにくくなり、より楽に、より遠くの山を目指せるようになります。しかし、初心者の方は軽量化をするにあたり、何から手をつけていいのかわからない、という場合も多いでしょう。
何を隠そう、筆者もそのような悩みを持つひとりでした。
たいていはザックの重量が大きいことから、ザックの軽量化から考えてしまいがちです。しかし、中身が重いままでザックのみ軽量化をしても、耐荷重などの面からリスクを伴うためおすすめはできません。
そこで筆者は、初心者の方にはまず、“クッカーの軽量化”をおすすめします。
今回は、クッカーを軽量化する際におすすめしたい、エバニューの「チタンUL ソロセット750」(Ti U.L. Solo set 750)を紹介します。
チタンUL ソロセット750の特徴
チタンUL ソロセット750は、エバニューの定番であるチタン「400FDカップ」(Ti 400FD Cup)と、750ccのポットがセットになった、ソロクッカーセットです。
チタン400FDカップはその絶妙な容量から、コーヒーカップやインスタント麺のお椀、ご飯茶碗としても使える万能ギア。
そして、750ccのポットは、パスタや棒ラーメンなどが作りやすい蓋付き深型のポットで、こちらも非常に使い勝手が良いギアです。
重量はわずか143g
チタンと聞くと、「軽い」という印象を受ける人が多いと思いますが、実は比重を見るとチタンよりもアルミの方が小さいです。
つまり、同じ体積ならチタンよりもアルミの方が軽くなります。
しかし、アウトドアのチタン製品はアルミ製品よりも軽くなっているものが多いのです。少し不思議ですよね。その理由は、チタンの強度にあります。
チタン製品は薄くしても強度を保てるので、軽いアウトドアギアを作ることができるのです。
そんなチタン製品であるチタンUL ソロセット750の重量は、筆者実測で143g(※メーカー公式は149g)となっており、超軽量です。
筆者が以前使っていたクッカーは、アルミ製で重量は実測で223gでした。その差は80g。チタンUL ソロセット750にすることで、約35%の軽量化ができたことになります。
たった80g、と思うかもしれませんが、千里の道も一歩から。
この数字が積み重なって数百グラム、数キログラムの軽量化につながっていくのです。
スタッキングして収納できる
チタンUL ソロセット750は、スタッキングして収納できるのも一つの特徴。
筆者が実際に山へ持って行っているクッカーセットは、以下のようなラインナップになっています。
- チタンUL ソロセット750
- 110サイズのガス缶
- SOTO ウインドマスター
- TOAKS チタニウム リッド LID-D95
- バーナーパッド
これらをスタッキングし、収納袋に入れて持ち運んでいます。
まず、750ccのポットにガス缶とバーナーを入れます。
その時にガス缶を上下逆さまにすると、上部のスペースを確保できてバーナーを入れやすくなります。
ガス缶とバーナーが入った750ccのポットを400FDカップに入れて、フタとバーナーパッドを上に重ねます。
全てのクッカーセットを収納袋に入れると、なんとか収まります。
このように、クッカーセットをスタッキングできるのもチタンUL ソロセット750の特徴と言えます。軽量化とともに、コンパクトに収まるのは嬉しいポイントですね。
チタンUL ソロセット750を実際に使った様子
ここからは、チタンUL ソロセット750を実際に使用している様子を紹介します。
筆者が登山の際に食べるのは、アルファ米やフリーズドライのカレーなどが多いのですが、今回はチタンUL ソロセット750で茶碗一杯分の0.5合を炊飯し、レトルトのキーマカレーを作ってみました。
なお、チタン製クッカーでの炊飯は、非常に難しく焦げつきやすいので、炊飯袋を利用するのがおすすめです。
炊飯袋というのは、生米を袋に入れて多めのお湯で煮るだけでご飯が炊ける、という優れもので、100円ショップなどで手軽に購入することができます。
まず、炊飯から行なっていきます。
炊飯袋にお米を入れて、口の部分を折り返して閉じます。
次に、750ccのポットにお水500ccとキーマカレーを入れて、沸騰させます。
沸騰したら、そこに炊飯袋ごとお米を入れます。吹きこぼれやすいので、火力を調整しながら15分間加熱しましょう。
チタンは熱伝導率が低く、焦げつきやすいので、この時バーナーパッドを使用すると便利です。
15分たったらお米を取り出して、400FDカップに炊飯袋ごと移します。
フタをして、10分から15分蒸らします。
手ぬぐいで包むとご飯の温度が下がりにくく、効果的に蒸らすことができます。
蒸らし終わったら、袋からご飯を取り出して、キーマカレーをかけて完成です。
今回は山での食事を想定し、効率よく調理してお湯を余らせないように、お米をゆでたお湯にフリーズドライの豚汁を入れて一品追加しました。
チタン400FDカップは、カレーライス一人分が収まってしまう容量なので、食器としても十分優秀。750ccのポットもレトルトの湯煎と炊飯が同時にできる深さで、使い勝手がとても良いです。
使い勝手と軽量化を両立させたソロクッカー
今回は軽量化の第一歩にぴったりの、チタンUL ソロセット750を紹介しました。
使い勝手と軽量化を両立させた、とても優れたソロクッカーです。
ぜひ、ここからあなたの軽量化を進めて、より快適に遠くの山を目指してみてもらえればと思います。