キャンプスタイルの多様化に伴い、急増中なのが自分で買った山や借りた土地、支援者から募った資金でのキャンプ場の開設。小規模ながら、オーナーの独創性が光る唯一無二の存在となっている。ここでは旅を通じて出会ったふたりによる、自然感あふれるキャンプ場を紹介しよう。
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左/Plum Gardenオーナー の青沢タカユキさん。 冒険家であり管理人。山小屋の小屋番の経験あり。西アフリカ単独自転車行、ナイル川単独カヤック行ほか、アラスカ、グリーンランドなど世界を旅する。 右/共同オーナー のkobaさん。 都内の企業に勤めつつ、キャンプ場の運営・経理などバックヤードを担当。旅行が趣味で、年始にトレッキング旅に出かけた屋久島にこれからハマりそう。
静けさをジンワリ愉しめるキャンプ場
埼玉県
Plum Garden for campers
住所:埼玉県比企郡小川町飯田985-1
電話:050-5308-4728
営業:通年(年末年始、夏不定期休)
予約:2か月前
テントサイト:約9
モデル料金(ソロ) 3,000円〜
11年前、お互い大学を1年間休学して世界一周のバックパッカー旅をしていたとき、エジプトで出会ったふたり。すっかり意気投合し、いつか一緒に何かやりたいね、と話していた。その後kobaさんは大学を卒業し、一般企業に就職。青沢さんは冒険家として旅を続けた。
「年イチでしか会わないときもあったけど、なんか関係が続いてて(笑)。で、気軽に人が集まれる場を作りたいね、って話しになったとき、キャンプ場が浮かんだんです」(kobaさん)
オーナーの手作り小物がアクセント
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川の対岸にある管理棟。外装など塗装して整えた。
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室内には青沢さんの旅道具が並ぶ。
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至るところに手作り看板が。
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生ゴミはコンポストで肥料にし、
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畑にまかれる。
最初は土地を買ってゼロからキャンプ場を作ろうと思ったが融資が下りず、挫折しかけた。そんなとき、小川町のはずれの飯田地域に土地を持つ地主さんに出会い、しばらく使われていなかったプラム果樹園を借りてキャンプ場を作ることになった。
「借りてる土地だから大きい開発はせず、土地にやさしいキャンプ場にしたい、と思って今の形にしました」(青沢さん)
場内は自然環境に配慮したエコな機能を大切に、電気は太陽光で自給するオフグリッドにし、わずか4枚のソーラーパネルで、管理棟の明かりとトイレの照明をまかなっている。トイレはコンポスト仕様、水は近くの湧水をタンクに汲んで運び、場内で剪定したプラムの枝を焚き付け代わりに火をおこす。夜はテントから漏れるわずかな明かりと、焚き火の篝火だけ。シンとしたこの何もなさにハマり、リピーターとなる人が多いという。
「とにかく静かに過ごしてほしいので、サイト間も間隔を空けられるよう、6組限定です。駐車場が広がれば、9組に増やすつもりですが」(kobaさん)
夜を彩るのは、星の明かりと焚き火の炎
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対岸に車を停め、リヤカーに荷物を積んでサイトに運ぶ。
プラムの木が点在する場内はすべてフリーサイトで、居心地のいい距離感を保てる。初夏に実るプラムは、キャンパーへの贈り物だ。
「夏季は不定休にして、海外へ旅します。ここは盆地で夏は暑いから、ちょうどいいんです」
と、管理人でもある青沢さんが笑う。そんな旅の体験談を聞きたくて、集まるキャンパーも多いのかもしれない。
「地元の農家さんが定期的に農作物を置き販売するマルシェも好評。とにかく外部から人を呼べる場所にしたい。県外から月100人以上呼べれば、町おこしにもなります」(kobaさん)
ふたりのゲストハウスのような空間に心も癒やされる。
自然の恵みをいただくオフグリッド仕様
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電気はソーラーパネルでまかなう。
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材木家具屋の地主さんから頂いたカンナ屑を使い、
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火をおこす。
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地元の建築専攻の大学院生がデザインし、みんなで建てたトイレ。
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バイオトイレは排便後、おが屑を入れる。
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トイレの奥には壁がなく、自然を感じられるような空間にデザイン。
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プライベート感満載の林間サイトも。
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場内の道にはすべて木屑が敷かれ、足音を軽減。
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炊事場は湧水を利用。
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手作り巣箱。
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剪定したプラムの枝は着火材に。
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薪割りスペースもある。
このキャンプ場のこだわり3か条
1 自然との共生を考えた「何もなさ」がウリ
2 自分たちのライフスタイルを崩さず、無理せず運営
3 地域とタッグを組み、地元の人参加型を目指す
※この特集のモデル料金とは大人2名+子供2名で1泊する際の目安です。ただし、このページのように(ソロ)と表記があるものは大人1名1泊の料金です(ともに税込み)。
※構成/大石裕美 撮影/三浦孝明
(BE-PAL 2023年3月号より)