【インタビュー】 Amazonやめてカセットテープの店はじめました。中目黒「waltz」(前編) | ニュース 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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  • 【インタビュー】 Amazonやめてカセットテープの店はじめました。中目黒「waltz」(前編)

    2016.07.11 b*p

    »後編「音楽業界に一石を投じるカセットテープショップというカタチ。」はこちら。

    中目黒の駅からブラブラ歩くこと10分程度。

    裏通りのちょっと開けた三差路に「waltz」がある。
    大きなガラスの扉が4枚あって、明るい店内。
    より広さを感じられて心地良さそうだ。
    といっても、ここはカフェではない。
    店内に入ると最初に目に飛び込んでくるのは、
    正面に陳列されている古めかしい、いわゆるラジカセ。
    手前には、そのデッキにおさまるべきカセットテープたち。
    ここはカセットテープ店なのだ。

    音楽好きの間では、ここ最近、カセットテープが再評価されている。
    カセットテープでリリースするアーティストが登場したり、
    さらにはカセットテープリリース専門のレーベルが設立されたり。
    確かにマーケット的には過去のものではあるのだが、
    ある場所では脈々と受け継がれていて、それが表面化してきているのだろう。

    waltzは昨年8月にオープン。
    カセットテープとレコード、そして雑誌などの古書を販売している。
    ネット通販もしていない、ある意味で“純アナログ”な店。
    どんなこだわりのガンコオヤジが登場するのかと思いきや、
    予想にはまったく反する、カルチャーを愛するさっぱりした店主だった。

    店主の角田太郎さんは、地元・中目黒出身。
    もちろん多感な時期をナカメで過ごした。

    「小・中学生のころは、貸しレコード屋さんの走りみたいなお店が
    2店もあったんですよ。そのころから音楽が大好きで、自転車で通っていましたね。
    音楽的なバックボーンはそこに育てられたといってもいい。
    あと情報源はラジオでした。番組を録音したテープが数百本はありましたね」

    40代以上の人ならば、「テープに録音する」という作業を一度は経験しているだろう。
    角田さんのテープには、多くのジャンルが録られることになった。

    「小学生のときは、ビルボードなどのヒットチャートを一生懸命聴いていました。
    チャートを聴いていると、ロックも、ブラックミュージックも入ってきて、
    いろいろな音楽に接するきっかけになりました」

    そのなかで角田“少年”が一番ハマったのは、ニューウェーブ。
    現在の40代中盤から後半の人は、本当にニューウェーブの影響を受けた人が多い。
    それだけ魅力的なカルチャーだった。

    「80年代初期のインディレーベルから派生したようなカルチャーで、
    ラフトレード、4AD、ファクトリーなど、個性的なレーベルがたくさんありました」

    こうした早熟な音楽遍歴を経て、どっぷりと音の世界に浸っていた角田さんが、
    レコードショップを展開する「WAVE」に就職したのはある意味、必然。
    自身も客として、六本木WAVEや渋谷WAVEに足繁く通っていたという。
    80年代後半から90年代にかけてのWAVEは、
    “WAVE以降”しか知らない者にとっては、伝説的だ。
    現在、ミュージシャンだったりDJだったり、
    音楽カルチャーのなかで個性的な活動をしている人たちの多くが、
    「WAVE出身者」であったりするのも、それを象徴している。

    4年後、WAVEを退社し、明響社に入社。CD販売などの業務に携わった。
    「そこに入ったのはすごく大きくて、
    はじめてちゃんとしたビジネスマンになれたというか。
    当時パソコンが1人1台与えられたり、いろいろと勉強することができました」

    その後、海を越えてやってきた黒船=アマゾンに立ち上げから乗船。
    しかし、黒船認定されるのはまだ先の話である。
    当時は、仲間に転職の話をしても「やめたほうがいい」といわれるくらい、
    日本でのビジネスが成功するか眉唾ものだった。

    「2000年代前半から、音楽を売るということに関して、
    日本では難しい状況になっていました。
    当時の自分の仕事も効率が悪く、
    マイナスなものばかり生産しているようで面白くなかったんです。
    潮目が変わるきっかけがあるとしたら、インターネット関連しかないだろうと。
    会社の将来性などは、大して考えていませんでした」

    しかしアマゾンはご存知の通り、大きく成長した。
    そのアマゾンに勤めて14年後。
    大手を辞め、個人でお店を立ち上げることにした。
    「Eコマースの巨人から、大好きなアナログの世界へ」。
    こんなキャッチフレーズが角田さんにはつきまとうだろう。
    間違いではないが、“ITに疲れた世捨て人”的な単純な話ではなかった。

    【waltz】
    住所:東京都目黒区中目黒4-15-5
    TEL:03-5734-1017
    営業時間:13:00〜20:00 月曜定休
    http://waltz-store.co.jp/

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    文=大草朋宏

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