野沢温泉村で農的な暮らしを体験!「LIFE FARMING CAMP」で生き方を耕す | キャンプ場 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.06.13

    野沢温泉村で農的な暮らしを体験!「LIFE FARMING CAMP」で生き方を耕す

    キャンプの楽しみ方はさまざまありますが、地域の人々と交流し、農的暮らしのすばらしさを体験できるのが、「LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN」です。今年で3回目を迎え、リピーターも多いというキャンプは、グランピングとはひと味違ったラグジュアリー体験ができます。

    LIFE FARMING CAMP」とは

    LIFE FARMING CAMPの会場「NOZAWA GREEN FIELD」

    「生き方を耕す」をコンセプトに、その地域にしかない農的暮らしのすばらしさを体験できるのが、LIFE FARMING CAMPです。野沢温泉村の暮らしや文化に触れながら、朝は、日の出とともに目覚め、食事は旬の食材を料理し、大地の恵みをいただく、大自然を満喫できるキャンプです。この取り組みは、地域のことを知り尽くした現地のネイチャーガイドやインターネット場で農学校を展開する「The CAMPus」、エンターテインメント&アートのプロデュースを手掛けるWATOWA、地元の人気レストランのシェフなど、地域資源の魅力をこれまでになかった角度から引き出すオリジナルチームを編成し、ナビゲートしてくれるキャンプです。なぜ野沢温泉村でスタートしたのでしょうか。プロデューサーの小松隆宏さんに伺いました。

    「農のある暮らしをすることで自給率が上がります。東日本大震災以降、もう少し農業が親しみやすければと、いろんなところへ足を運びました。7年前、野沢温泉に友人が移住したことでこの地域の人々の暮らしを知り、なんて、贅沢なんだと感じました」(小松さん)

    冬は雪に覆われゲレンデに。

    野沢温泉村の人口は、約3500人。雪のシーズンはスキー客でにぎわいますが、それ以外は観光客も激減します。地域の人々は、ほとんどが兼業農家で、自給自足し、温泉があり、飲料水として使える湧き水も豊富。そんな豊かな土地である湯沢温泉村は、震災のときも、コロナ禍でも、ライフスタイルはほぼ変わらなかったそう。そんな自然と共に循環型の暮らしを、雪のない時期に体験できるのが、LIFE FARMING CAMPです。山、田畑、食、温泉、それらを巡る水、自然と共に生きる術を体験できるキャンプです。

    野沢温泉村の豊かな自然のルーツを知るハイキングからスタート

    受付で地図や温泉ガイドのほか水筒とタオルのプレゼントも。

    地域の人々と「一緒に暮らす」ように自然や里山を体験できるキャンプスケジュールが組まれています。自然が相手なので、季節や天候によって当日、予定が変更になることもあります。筆者は、12日のコースを体験してきました。まずは、チェックイン。オリジナル水筒とタオルを受け取ります。タオルには岡本太郎さんの「湯」の文字入り。奥信濃・野沢温泉をこよなく愛したという岡本画伯が野沢温泉のいで湯をイメージし描いたもの。なんと野沢温泉村の名誉村民だそうですよ。その後、キャンプに参加するメンバーは、バディということで、ファミリーのように過ごすため全員ニックネームで呼び合うことに。ガイドを務めてくれたのは高野隼人(はやぴー)さん。キャンプの期間中、地域のガイドのほか、テント張りなどの指導もしてくれ、初心者も安心です。

    そのまま飲むことができる水質の湧き水はとてもやわらかい。

    マイクロバスに乗り込み、まずは湧き水汲みからです。温泉の原泉が30もあるという野沢温泉では、水道水も湧き水でまかなえるほど、自然流出量が豊富です。しかも、そのまま飲料水として飲むことができる水質検査済みです。

    「ここは、軟水です。場所によって味も変わりますよ」と、ガイドの高野さん。

    とても、やわらかく、まろやかな湧き水でした。この湧き水も生み出してくれる野沢温泉村の始まりを知るブナ林へ向かいます。途中で、ネイチャーガイドの池田和夫さんが合流し、冬はゲレンデになるあたりは、ちょうど山菜取りにいい季節であることなどを伺いながら、ブナ林へ向かいました。

    ブナの林について説明する池田さん。

    標高600mから1600mにも及ぶスキーが盛んな野沢温泉村では、雪解け水や雨水がブナの木の林から地下にしみ込み、50年もの歳月をかけて湧き水となって流れだしています。

    「野沢温泉のブナは一部が禁伐林で、水を貯えることから水がめと言われています。実は、ブナの林には雨が降らないんです。葉の葉脈がしっかりしていて雨水を受け止め、幹を伝わって地面に流れ落ちます。地面には、昨年の落ち葉が残っていて、それらが何年も層になって、それらの層を通って、50年から60年かけて湧き水として流れ出してきます」(池田さん)

    葉っぱの層が、まさにミルフィーユのよう。このあとは、元通りに戻しました。

    一部、葉が何層にもなっているところを見せていただいたら、まさにミルフィーユのよう。ミルフィーユは、フランス語で千の葉という意味なので、この状態を表していたのですね。これらの層が自然のフィルターになり、またブナの根がしっかりはっていることから、沢の水が濁らず、ゆったりと浸透して湧き水が流れ出します。おいしい湧き水の地域って、ブナ林があるなあと思っていたら、ブナの木のこんな特性があったのですね。足元は、ふかふかの葉っぱの絨毯の上を歩いているようで、空気もひんやりしていて香りもよく心地いいのですが、ひとつ注意することが。それは、クマが出没することです。音を鳴らしながら進むのがいいのですが、鈴などを持っていません。そんなときは、草笛をと吹き方を教えていただきましたが、カスッとしかならず。その場合は、手をたたくなどするのもいいそうです。村の子どもの数より、クマの方が多いらしいので、これは覚えておきたいです。

    木々に囲まれたツリーハウスでのキャンプ

    森の中の隠れ家のようなツリーハウス。

    キャンプをするのは、木々に囲まれたツリーハウス「NOZAWA GREEN FIELD」です。道路から見ると、そこにツリーハウスがあるとはわからない自然に溶け込んだ空間。このツリーハウスの代表で野沢温泉観光協会の会長も務める河野健児さんが、循環型のサステナブルなキャンプ場として2016年にオープンしました。

    ツリーハウスについて説明するNOZAWA GREEN FIELD代表の河野健児さん。

    2011年にはメインデッキのみだったのを少しずつ広げました。7月から9月は農業体験もでき、収穫した野菜を自由に使ってもらえます」(河野さん)

    筆者が訪れたときは、まだ苗が小さかったため収穫体験はできませんでしたが、もぎたての野菜を使って料理ができるのは魅力的ですね。畑の反対側に目を向けると、コンポストが設置されていました。こちらは、生ごみだけでなく、トイレの排せつ物も1年間寝かせて分解し、green farmで使用されます。

    環境にやさしいアメニティ。うっかりしがちなスマホのバッテリーも。

    自然の循環に、私たち人間も組み込まれているのです。アメニティも土に還る歯ブラシやタブレットタイプの歯磨き、米ぬか酵素のシャンプーなどが準備されています。快適に過ごせ、環境にも配慮されています。

    日常生活にもサバイバル技術を

    キャンプになれていると、被災したときにもその知識やアイテムが役立ちます。キャンプを楽しむだけでなく、サバイバル技術も持って帰ってもらいたいとクイズも行なわれました。

    Q:バックカントリーで遭難した場合、次の5つの重要なアイテムの順序は?

    食料・火・水・空気・シェルター

    1番は空気ですが、2番で悩みました。答えは、シェルター。体温を下げないことが大切だからとのこと。その話のあと、この日のシェルターであるテント張りに。キャンプ初心者も、サバイブするために何が大切かということを理解して行なうことで、もしものときに知識と共に体験を思い出し、実行できそうな気がしました。

    テント、寝袋、エアーマットなど、すべて準備されています。

    初心者には、テントの張り方も教えてくれるので安心。

    寝袋の下に敷くエアーベッドも。

    13か所の外湯を巡ることができる

    外湯とよばれる公共の温泉は13か所。

    野沢温泉村には30余りの源泉があり、13か所の「外湯」と呼ばれる共同浴場があります。これらの外湯は、周辺住民が湯仲間という制度をつくり、管理、運営されています。弱アルカリ性の100%天然温泉で、40度Cから90度C。結構熱いですが、肌がつるつる、芯からホカホカしました。それぞれお湯の特徴が違うため、時間があれば13か所まわってみるのもよさそうです。エチケットを守るのもお忘れなく。

    シェフを招いての地元の食材を使ったアウトドアディナー

    シェフが出張してくれ、地元の食材でアウトドアディナー。

    ツリーハウスに戻って、メインデッキでディナータイムです。キャンプの受付場所にもなっていた七良兵衛の平原孝将シェフとともに夕食づくり。とはいえ、お手伝いを少ししただけで、スタッフのみなさんがサポートしてくれるので安心です。

    右から:大根の味がして驚いたねずみ大根、天然酵母のパンに日本酒レーズンバターを添えて。とれたてレタスにのったタブレ。食器も木でできたオリジナル。

    地元のねずみ大根というめずらしい野菜や、ラムではなく日本酒を使用したレーズンバターなど、ここだからこそ食べられるメニュー。ツリーハウスのすぐ下にある畑で収穫できたレタスとクスクスたっぷりのタブレ。白ではなく、緑色のウドを初めて食べました。グリルしたみゆきポークには、自家製粒マスタードと、地元ならでは珍しい食材と手作り料理のおいしさにナチュールワインも相性抜群でした。

    みんなで焚き火の火おこし。

    ディナーの後は、ファイヤースターターで火をつけ、みんなで焚き火を囲みながら星空を見上げる優雅なひととき。時間の流れが違って感じられました。

    朝のアクティビティ

    急遽ピラティスを教えてくれた、カメラマンとして参加していたWONDER TOKYOの澤本望さん。

    このキャンプでは、朝から野沢菜発祥の地としても知られる健命寺で座禅と読経というプログラムが組まれていましたが、住職さんの予定が合わなかったとのことで、急遽、プレスツアーに参加していた澤本さんがピラティスのインストラクターとのことで、ピラティス体験に変更。暮らすように過ごすということで、臨機応変に対応してくれるのも頼もしい。カラダも目覚めたところで、温泉に入って朝食です。昨夜ディナーを作ってくれた平原シェフのお店で山菜たっぷりの朝食をいただきました。

    旬の山菜たっぷりの朝食。

    新鮮な筍やわらび、野沢菜に温泉卵と、旬の地元の食材で、朝から筆者にしては珍しくご飯をおかわりするくらいたくさんいただきました。村のお祭りのお話を伺ったり、岡本太郎さんのオブジェを見たり、雪景色のシーズンとは全く違う野沢温泉が楽しめます。

    ラグジュアリーなキャンプというと、グランピングのようにすべてが揃っているキャンプを思い浮かべてしまいますが、小松さんは「ネクストラグジュアリー」と表現します。豊かな土地で自然や里山体験を、地域の人々と暮らすように過ごせるとは、確かに、とても贅沢なことですね。「生き方を耕す」というのは、忙しい日々の暮らしの中で、自然の恵みに感謝するということを忘れがちな気持ちを耕してくれる、楽しいだけでなく、学びの多いキャンプだと感じました。アクティビティのオプションもあり、毎回違った体験ができるのも魅力です。

    LIFE FARMING CAMPのオリジナルチームのみなさん。

    LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN
    https://thecampus.jp/lfc/

    開催期間:202261日~1031
    料金:12 70000/人(6名以上から)※ディナーなしの場合50000円(消費税込み)
    予約フォーム:https://thecampus.jp/lfc/booking/index.php 

     

    私が書きました!
    ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。
    林ゆり
    関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育ち、MYLOHASに創刊から携わる。LOHASを実践しながら、食べ物、コスメ、ファッションなど、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてWeb媒体やブログで発信中。

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