日光で「テンカラ釣り」はじめませんか?専用エリアがオープン! | 海・川・カヌー・釣り 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.05.24 星野晃宏

    テンカラ釣りで手にしたヤマメ

    新緑の季節、テンカラ釣りで手にしたヤマメ。最高の瞬間だ。

    いよいよ渓流釣りのベストシーズン

    春が過ぎ渓流釣りは各地でシーズンイン。渓流ではルアーやフライ、餌釣りなどさまざまな種類の釣りを楽しめますが、とくに初心者におすすめなのが「テンカラ釣り」(以下、テンカラ)。

    近年メディアでもたびたび取り上げられ、聞いたことのある方もいるかと思います。

    テンカラとは日本古来の釣法のひとつ。鳥の羽などを針に巻いて虫を模した「毛鉤」(けばり)を用いて、主に渓流に棲むヤマメやイワナを狙います。

    基本的に使用する道具は釣り竿、糸、毛鉤のみ。

    もともとは、職業漁師の方が仕事として行なっていた釣りのため、余計なものを排除した、効率的でシンプルな仕掛けが特徴です。その反面、奥深い釣りのスタイルは国内だけでなく海外でも注目を集め、逆輸入のような形で今、再び国内で新たなファンを獲得しています。

    道具がシンプルかつ生き餌を使わないので、女性や初心者にもチャレンジしやすい釣りといえるでしょう。

    テンカラ釣りの道具

    道具がシンプルであることもテンカラ釣りの魅力

    日光に伝わる「日光テンカラ」

    今回は、そんなテンカラにまつわるお話を。

    舞台は栃木県日光市。世界遺産や日光国立公園、鬼怒川温泉などを有する国内屈指の観光地ですが、実は日光には、釣りにまつわる様々なストーリーを持つ側面があります。

    テンカラは、全国各地で行なわれてきましたが、日光市には「日光テンカラ」と呼ばれる独自のスタイルが継承されています。日光テンカラの特徴はゼンマイの綿毛やヤマドリの羽を用いた毛針を使うこと。使う毛針に独自性があるのです。

    日光市を流れる黒川

    日光市を流れる黒川の美しい流れ

    伝説のテンカラ師「瀬畑雄三」さんの存在

    とくに日光市南部の集落・小来川を流れる黒川は、日本の源流釣りのパイオニアであり「渓の翁」と呼ばれ世界的に有名なテンカラ師「瀬畑雄三」さんがテンカラを覚えた場所としても知られています。

    今から50年以上前、小来川を訪れた瀬畑さんは現地に住んでおられた田中順太郎さん(故人)からテンカラの話を聞き、実際に触れたことでそのおもしろさの虜になったそう。以来テンカラを追求し、国内外でこの釣りの普及に努めています。

    テンカラ釣り界のパイオニア「瀬畑雄三」さん

    テンカラ釣り界のパイオニア「瀬畑雄三」さん

    テンカラで過疎化に苦しむ聖地を元気に

    小来川はこうしたテンカラにおいて独自の歴史のある地域ですが、残念ながら近年は集落の過疎化や魚の減少などで釣り人も減り、日光テンカラを知っている人もごく僅かに。

    そうしたなかで、「初心者の方にも気軽にテンカラ釣りの魅力に触れてもらえる場所を作りたい」「釣り人が来てくれることでもう一度地域を元気にしたい」、そんな想いを持った有志により、昨冬、「小来川の日光テンカラをつなぐ会」が発足しました。

    会のメンバーには地域住民はもちろん、水産研究者、県職員、釣り人など様々なメンバーが名を連ね、テンカラを楽しんでもらう場所づくりのアイデアを出し合いました。

    小来川の日光テンカラをつなぐ会メンバー

    小来川の日光テンカラをつなぐ会メンバー(一部)と激励に訪れてくださった瀬畑さん。

    国内2か所目のテンカラ専用河川の誕生

    そして、2022年3月、黒川に国内2か所目となるテンカラ専用キャッチアンドリリースエリアがオープン。実は国内初のテンカラ専用河川も同じ日光市内。北部に位置する三依地区に設置されており、人気を博しています。現在、三依地区の先人たちの力も借りながら、黒川のテンカラ釣り専用エリアは運用されています。

    黒川では初心者の方にもテンカラで魚を釣る楽しさを知っていただくため、定期的に美しいヤマメを放流しています。併せてエリア上流部は通年で禁漁とし、元々生息していた天然の魚たちが産卵し、繁殖できるように守っています。

    現代において、自然のなかに魚がたくさんいる渓流を作ることは簡単なことではありません。毎日のように監視のためにフィールドを巡回し釣り人にルールを伝えたり、定期的に魚の放流やゴミ拾いを行なったり……。会のメンバーや地域の方々が日々一生懸命、釣り人と自然の良好な関係が続くように尽力しています。

    魚を放流している様子

    魚を放流している様子。地域を愛する皆で力を合わせてフィールドを守っています。

    ルールを守り、魚も地域も釣り人も三方よし

    いざテンカラ釣りを始めようと思っても、ルールやマナーも気になるところではないでしょうか?各河川やフィールドによって、釣りをする上でのルールが定められていますが、今回は黒川のテンカラ専用エリアのルールを紹介します。

    1.釣り券を必ず購入してから釣りをしましょう

    川に魚がいてその魚が釣れる。これは実は当たり前のことではなく、漁協や地域住民などの尽力でフィールドが守られているからです。そうしたことを踏まえ、必ず釣り券を購入してから釣りを楽しんでください。なお釣り券を購入しないと密漁となり、違法行為となります。

    2.釣った魚は優しく返してあげましょう

    黒川のテンカラ専用エリアはキャッチアンドリリース、つまり釣った魚の持ち帰りが禁止されています。魚は想像以上にデリケートな生き物で、そのまま素手で触ってしまうと火傷をしてしまいます。釣れたときはうれしくなりますが、写真撮影などはほどほどに、あまり水から挙げずに逃してあげましょう。もし魚に触るときは、よく水に手をつけて十分冷やしてから触りましょう。

    3.バーブレスフックを使いましょう

    バーブというのは釣針についている「カエシ」のこと。刺さった釣り針が抜けないようにするためのものですが、魚への余計なダメージを避けるためにもカエシのついていない針「バーブレスフック」か、カエシを潰した状態の毛針を使用しましょう。

    4.テンカラ釣り以外の釣りは禁止です

    もちろんのことですが、テンカラ釣り以外の釣り(餌釣り、ルアー、フライなど)は禁止です。

    すべては皆さんが釣りを楽しめる環境を守るため、そして魚をはじめとした命を次の代に繋ぐためのルールです。

    釣り場に設置された案内看板

    釣り場を守っていくためのルールが記載されている。

    テンカラ釣りを楽しむ女性ファンも増えてきた

    もともとは男性ファンが大半を占めるテンカラでしたが、最近は黒川でテンカラを楽しむ女性テンカラ師の姿も見られるようになってきました。虫などの餌を使わず、道具もシンプルなテンカラは女性もチャレンジしやすいアクティビティのひとつ。お子さんからご年配の方まで、幅広い年齢の方が楽しめるのも魅力です。

    また黒川では初心者に向けて、道具もすべて用意したテンカラ釣りのガイドツアーも開催しています。初心者にも優しいフィールドである黒川でのテンカラデビュー、とてもおすすめです。

    女性テンカラ師

    女性テンカラ師も増えてきました。

    今年こそ、念願のテンカラデビュー!

    自然のなかで竿を振り、美しい渓流魚に出会う。釣りを通じて地域の方々の想いや日本古来の文化に触れることができる。テンカラは他にはなか味わい深いアクティビティです。

    きっとあなたも病みつきになりますよ!

    黒川のテンカラ釣り専用キャッチアンドリリースエリアの詳しい情報、そして「日光テンカラのストーリー」は下記リンクからご覧いただけます。

    ●黒川漁協日光テンカラ特設サイト

    私が書きました!
    アウトドアショップ代表・フィッシングガイド
    星野晃宏
    幼少期を栃木県日光市の山間部で過ごし、渓流釣りや山遊びに親しむ。大学卒業後は、大手アウトドアメーカーへ就職するも、間もなく日光市へUターン。子供たちの野外教育に指導者として携わる。その後、日光市役所へ入庁し約10年ほど日光の国内外へ向けた観光プロモーションなどを担当。仕事とプライベート双方で、日光の自然の魅力やアウトドアスポーツの持つ可能性を再確認する。2020年にアウトドアスポーツを通して自然と人それぞれが豊かになることを願い、マウンテンランナーである妻とともにアウトドアセレクトショップ&ガイド「Ametsuchi」を創業。

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