今振り返ってみれば、良いきっかけだったのかもしれない。毎日スーパーへ食材を買いに行くけれど、父の栄養のことを考えると、今まで通りとはいかなくなった。栄養の分だけお金がかかるのを実感することになる。1日をかけて、タンパク質を十分に摂れるように準備するけれど、朝はとにかくたっぷりの果物類を食べさせることにした。
そんな日々を数ヶ月ほど送ったある日、朝果物をカットしていた時、いつも捨てている種にふと目が止まる。「そうだ!育ててみるか!」
次の瞬間から、種を水に浸し始めたのはリンゴとみかんだった。次々と芽を出す姿がかわいらしかったけれど、苗まで残ったのは芽を出した約30個中、たったのひとつのリンゴの苗だった。何でもそうだと思ったけれど、育てるのって難しい。今年の1月頃芽を出したそのリンゴは、今力強く、元気にすくすく育っている。
アボカドは果物の中で一番栄養価が高いとされ「森のミルク」と言われている。その分値段も高いけれど、父のために購入することが多くなった。「アボカドが庭で造れたらな。」と呟いた次の瞬間、アボカドの育て方を調べ、早速、種を水に浸し始める。
2週間ほどで背の高い芽を出すようなことを、ネットで読んだけれど、うちのアボカドは、はや一ヶ月、やっと種が割れて、芽が出そうになっているところ。アボカドは、観葉用としても置いても良いそうだからと、チャレンジした私の果物栽培の始まり。芽を出して日々成長していく植物の姿は、子育てしているのと同じような気持ちにさせてくれる。
父の体調は少しずつ回復している。「はやく、美味しい実をつけておくれ、父がたくさん食べられるくらいに」と祈る気持ちがはやる思いだ。これからも、育てる果物や野菜を増やしていく予定だ。今は、父のために。
※こちらの記事は過去の読者投稿によるものです。
ミラクルさん