土と移住と田舎暮らしを考える本2選 | 本 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • 2022.02.21

    土と移住と田舎暮らしを考える本2選

    『土になる』

    坂口恭平著 文藝春秋 ¥1,870

    両手を土に突っ込んでみたら畑は別世界への入り口だった

    縁あって農園主のヒダカさんを農業の師とすることになった著者は、野良猫のノラジョーンズという知己も得て毎日、故郷・熊本の畑に今も通う。本書は、畑を始めてから約3か月間に、何を考え自分がどう変わったか、どんな自分を再発見したかを日記形式でつづる。

    著者は建築家だが、本を書き絵を描き曲を作り料理を作り編み物をして電話相談室を開き、そして野菜も作るという異能の持ち主だ。

    しかし以前は自然が苦手で、躁鬱を抱えた苦しい時期も経験している。

    ところが畑に通うにつれ、パステル画を始めとする著者の創作や好ましい人間関係は、すべて畑から始まっていることに気づく。

    土には植物や虫や微生物や雨などあらゆるものが入っていて、土は日々変化している。

    だが同時にそれは安定もしていて、著者は土のように生きたいとさえ思うようになる。土は、戻ってくるべき場所だったのである。

    土から得られた穏やかで静かな喜びは、著者を植物のつるのように伸ばしているようだ。

    次々にあふれ出てくる言葉には、読者としてはとまどいも感じるが、土と生きることの心地よさを共有することは十分にできる。

    『田舎暮らし毒本』

    樋口明雄著 光文社新書 ¥990

    こんなことが起きたらあなたならどうする?

    東京から山梨県北杜市に移住した小説家が、20年間に体験した困惑や怒りや確信をまとめた田舎暮らしの指南書。前半は楽しく悩む(?)移住の方法、ログハウスや薪ストーブの実用情報。

    後半は、普通は想像できないが、もし起これば(著者の身には本当に起こった)苦悩せざるを得ない狩猟問題、電気柵問題、水問題などを赤裸々に語る。

    田舎でのんびり暮らしたい人には、ぜひ一読を勧めたい。

    ※構成/三宅直人(BE-PAL 2021年12月号より)

    NEW ARTICLES

    『 本 』新着編集部記事

    暖かい場所に未知のあの虫を探して…極北には不思議な古事が起きて…読み始めたら完読必至の良書2選

    2024.03.24

    シマフクロウの生態、ミミズなどの生物も含めた複雑な組成の土中…知らない世界を学べる2冊

    2024.02.19

    霊長類学者・山極寿一の人気連載がついに新書化!ゴリラの目を通して、人類が進むべき道を探る

    2024.02.07

    発酵食品のルーツはどこに?熊との死闘の先には…読み応えのある新刊書2選

    2024.01.26

    シンプルライフの名著、ソロー『森の生活』を読みなおそう!

    2024.01.03

    春が来る前に読んでおきたい!自然を見る目や考え方が養われる良書4選

    2023.12.19

    寒い時期は読書で冒険してみない? 大自然での旅、環境調査をつづった良書2冊

    2023.11.23

    生き物の不思議が楽しく学べる秋のおすすめBOOK2選

    2023.11.08