アウトドアであっても、美味しい料理をスピーディーに作るには、家のキッチンのように無駄な動きをせず料理を作れるキッチンシステムがあると便利!
「キャンプは意外にモノが多いから、食事用のテーブルのほかに専用の調理台が必要だし、それとは別に道具を置くためのスペースもあったほうがいい」
とオリジナルのキッチンギアも手がける小雀さん。
キャンプ料理の達人・小雀さんに、キャンプキッチンの作り方を教えてもらいました。
おいしい料理はキッチン作りから
まずは傾斜の少ない平らな場所を選びタープを立て、タープのポールを立てたポイントに調理台とツーバーナーを設置する。そうすると暗くなったときにポールにランタンを吊るして手元を明るくできる。
食材などの荷物置き場はL字型に配置すると効率的だ。
「キッチンは小間物が多いから、コンテナに分別収納するとサイトに一気に運べて便利。ただ荷物の容量は増えるので、車の荷台のサイズに合わせましょう」と小雀さん。
自分にとって使いやすいキッチンを、試行錯誤しながら作り上げていくのも楽しいものだ。
オーソドックスで使いやすい最強のキッチンシステム
初心者はツーバーナーを中心にコンパクトにまとめると、家庭で料理している感覚で使える。全体的に高さを出すと、調理作業がスムーズにできる。
1 ウォータータンク(水場)
蛇口のあるウォータータンクなら水道感覚で使える。100均の折りたたみチェアをスタンド代わりにすれば腰を深く曲げずに使えて楽チン。
2 ツーバーナー(燃焼スペース)
ウンチク好きにオススメなホワイトガソリンタイプのほか、ワンタッチで着火できるガスタイプもある。どれもトランク型で携行に便利。
3 キッチンツール(調理スペース)
調理台がひとつの場合、省スペースのためキッチンツールは吊り下げて収納。これはネットを天板の隙間に差し込んで自分でカスタマイズ。
4 キッチンテーブル
ポイントはテーブルの高さ。一般的には80cm前後の高さが作業しやすい。収納力にすぐれる棚付きや専用ハンガー付きなど多機能タイプが◎。
5 クーラーボックス(収納スペース)
食材の貯蔵庫として必須。タンク同様、スタンドに乗せてリフトアップすると食材の出し入れがしやすい。ソフト素材のものでもOK。
6 食材&食器用コンテナ
雨天を考慮し、密閉でき、水濡れに強い素材のケースを選ぶといい。衣装ケースのような半透明の物なども、中身がわかって使いやすい。
道具の種類ごとにケースにまとめておけば、道具も把握しやすく片付けも楽。調理台をロールトップ天板にすれば全体がコンパクトに。
キャンプ料理に慣れてきたら試したい小雀流・実践スタイル
ハイ&ローが一体化したスタイル。仕込みはハイ、火入れはローを使い分け、動線もスムーズ。収納スペースも充実し、使い勝手抜群。
1 ウォーターポット(水場)
ウォータータンク代わりに4Lのポットを使用。注ぎ口があり、火にかけてお湯も沸かせるので何かと使いやすい。大人数のときは2個使用。
2 水物用作業台
水を鍋に注いだり、ボウルに水を張って食材を洗ったり、手洗いに利用したりする際の、水濡れOKの専用作業台。水場が遠いときに活躍。
3 焚き火台(燃焼スペース)
野外料理に慣れてきたら、火力はすべて焚き火でまかなう。熾火があればすぐ火が復活でき、ダッチオーブン料理には最適。冬場は暖も取れる。
4 ベンチ
焚き火台はロースタイルになるので専用のベンチを設置し、ゆったりと調理。ベンチは荷物置き台としても活躍する便利アイテム。
5 焚き火用調理台
調理台で仕込んだ料理を火にかける前の待機場所として活躍。焚き火台とセットになるので、高さは焚き火台に合わせてロースタイルに。
6 シングルバーナー(調理スペース)
火口の予備としてシングルバーナーも持参。急いでお湯を沸かしたいときや、翌朝コーヒーを飲みたいときなどにあると便利。
7 仕込み用調理台
小雀さんがデザインしたステンレス調理台。棚が2段あるので1段目は調理器具、2段目は食材と使い分け可能。熱い鍋もそのまま置ける。
8 干し台 片付け用メッシュ棚(収納スペース)
メッシュの棚や吊り下げ式のメッシュラックがあると、汚れたものを置いておいたり、洗ったものを干しておくことができ、片付けが楽。
9 食材&食器用コンテナ
初心者スタイルと同様に、食材や食器の収納ボックスはL字型に配置し、高さをリフトアップしておくと、断然、作業効率がアップする。
調理&収納スペースの拡大と堅牢性を重視した分、荷物は多くなるが、フラットに積み重ねられ、意外に収納場所は取らない。
※構成/大石裕美 撮影/山本 智 (BE-PAL 2021年11月号より)