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    2021.10.08

    アパレル産業全体のゼロ・ウェイストを目指し、日本初の残布・残糸を使用したトルソーが誕生

    オーガニックコットンを使用し、サステナブルな暮らしを提案する「PRISTINE(プリスティン)」が25周年を迎えました。25年前のオーガニックにこだわったブランドを見かけることはほぼないといっていいくらいのときから、私たちの肌にやさしく、天然素材で地球にもやさしいアイテムを世に送り出しています。そんなファッション産業は、石油産業に次ぐ、環境を破壊している産業です。そこで、ファッション業界になくてはならないアイテムを、リサイクルしたオーガニックコットンで作ることを思いついたと言います。それが、日本初の残布・残糸を使用したトルソーです。プリスティン本店で開催された発表会で、お話を伺ってきました。

    オーガニックコットンブランド「プリスティン」の循環の取り組み

    着心地のよさにリピーターも多い。トップス 24,200円/ボトムス 25,300円(すべて税込み)

    プリスティンは1996年の誕生以来、オーガニックコットンのライフスタイルを提案し、コットン本来の風合いを生かした糸、生地、製品まですべて日本製にこだわっているブランドです。現在は、草木染など一部、染色のアイテムもありますが、アイテムのほとんどが無染色です。生成りではなくモスグリーンやブラウンのものがありますが、こちらも無染色です。カラードコットンと言われる、コットン自体に色がついているものを使用しています。オーガニックコットンにこだわるだけでも使用できるコットンは制限されますが、無染色でカラーバリエーションを増やすために、あえて希少なカラードコットンも使用しているそうです。さらに国内繊維自給率を上げるため、耕作放棄地を活用し、2021年の春に種まきをして、コットンの栽培もスタートしています。このコットンが生地に織り上げられるのは、2023年の新春を目指しているそう。国内で収穫されたオーガニックコットンを使うことは、輸送時の大量のCO2削減につながりますね。地球環境に配慮するだけでなく、プリスティンのデザインは、着用したときに肌触りがいいだけでなく、肌への負担を限りなく減らす工夫もされています。デイリーはもちろんですが、インナーやパジャマなど、リラックスタイムに心地よく過ごせるとリピーターが多く、男性からも着てみたいとの要望から、メンズアイテムも誕生しています。この心地よさをベビーにもと、わが子へはもちろん、ギフトとしても喜ばれています。

    循環の取り組みについて説明する、プリスティンを手掛ける株式会社アバンティ代表取締役社長の奥森秀子さん。

    そんなこだわりの生地で生まれるアイテムですが、縫製のプロセスで裁断生地や残糸が出ます。裁断生地は、クリスマスオーナメントにするなどの活用もされていますが、残糸や残布を綿に近い状態にし、そこから糸を紡ぎ、できた糸でまた生地をつくり、新たな製品を作るというリコットンのコレクションが、2020年の春夏から展開しています。このリコットン製品と同じように、残糸を回収し粉砕した原料から、リコットン100%の「リコットンペーパー(再生木綿紙)」も作り上げ、製品のタグや社員の名刺などに活用され、2030年までに廃棄ゼロを目指しています。その目標に向けての新たな試みのひとつが、日本初となる残布・残糸を使用したトルソーなのです。

    日本初の「リコットントルソー」とは

    リコットントルソー 左:紳士用 88,000円/右:婦人用 77,000円/手前:ベビー 33,000円 (すべて税込み)

    プリスティンが追求する「しあわせの循環(PRISTINE circulation)」の新たな取り組みとして発表された、残布と残糸を使用したトルソーは、この活動に共感したモード工芸社と共に開発されました。トルソーは、店舗のディスプレイやデザインの過程でファッション業界になくてはならないもの。ただ、素材は石油由来のものばかりです。発表会での映像の中には、何十年も前に海底に沈んだトルソーが、そのままの状態で写り込んでいるものもありました。マイクロプラスチックも問題視される中、巨大なプラスチックも海の汚染につながっているのですね。そこで、モード工芸では、すでに再生紙だけを使ったトルソーを作り、発表していました。

    「発表当時は、多くのメディアの方に取り上げていただきましたが、全く売れませんでした。」と、モード工芸常務取締役の大里祥生さんは、おっしゃいます。環境問題を深刻に受け止めているファッション業界の人が、まだ少なかったのかもしれません。今回、アパレル産業全体のゼロ・ウェイストを目指した取り組みについて協議を重ね、リコットンペーパーを使用し、環境負荷の小さいトルソーの開発を進め、2年の歳月を経て、「リコットントルソー」が誕生しました。

    日本の伝統技術を活用した作り

    製造工程の説明をする株式会社モード工芸常務取締役の大里祥生さん(右)と、マネキン企画開発課課長の中島将さん。

    モード工芸が、すでに開発していた再生紙のトルソーは、新聞紙などを使用していましたが、プリスティンのリコットンを使用することや、

    「トルソーは美しくないといけない」

    という、要望に応えるため試行錯誤を繰り返したそうです。でき上がった、白く美しいトルソーは、20%がリコットン、80%が牛乳パックの再生紙を使用しています。

    原料を型に流し入れます。

    これらを粉砕し、型に入れ1週間天日干ししたあと、前後を膠と胡粉で接着するという、だるま作りの技術が使われ、すべて手作業で組み立てられているそうです。

    天日干し後、天然成分である膠と胡粉で前後の面を結合させます。

    自然の風と作り手の情熱で生み出されるリコットントルソー。水にぬれなければ一定期間使用でき、水に溶かせば元のパルプに戻り、再生産も可能です。廃棄した場合も、すべての素材が土に還り、環境に配慮したトルソーと言えます。リコットンの風合いがわかるものと、表面にオーガニックコットン生地を張ったタイプの2種類で、メンズ、ウィメンズ、ベビーの3型が販売されます。今後は、リコットンの配合量を増やしたり、プリスティン以外の廃棄衣料などをつかったりすることも計画しているそうです。

    ファッション業界で欠かすことができないトルソーを、循環できる素材で作ることでアパレル産業全体でのゼロ・ウェイストを目指すという取り組み。環境に配慮したトルソーが広がることで、ファッション産業の問題の解決にもつながっていきそうです。ごみと思っていたものが、資源であると改めて感じられるリコットントルソーです。

    PRISTINE(プリスティン)
    https://www.pristine-official.jp/

    株式会社モード工芸
    https://mode-kohgei.com/
     

    私が書きました!
    ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。
    林ゆり
    関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育ち、MYLOHASに創刊から携わる。LOHASを実践しながら、食べ物、コスメ、ファッションなど、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてWeb媒体やブログで発信中。

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