テンカラ釣りが昨今、盛り上がっています。特にキャンパーやトレイルランナーなど他のアウトドアアクティビティーを楽しんでおられる方から、「テンカラ釣りをやってみたい!」とご相談をいただくことが多くなり ました。
その理由はコンパクトでシンプルな道具。普段の装備にプラスアルファで楽しめる点が、人気の秘訣となっています。
そもそもテンカラ釣りとは?
テンカラ釣りとは毛鉤を使った日本発祥の渓流釣りの一種で、源流域や比較的小規模な里川をメインにヤマメやイワナを狙います。
かつては職業漁師としてテンカラ釣りを行なう方が全国にいて、釣った魚を旅館などにおろして生計 を立てていたそう。
毛鉤を使った渓流釣りはフライフィッシングも同様ですが、道具が異なります。 ヨーロッパが発祥のフライフィッシングはリールに糸を巻きためておいて糸の長さを自在に調整するのに対し、テンカラ釣りにはリールはなく、竿の先に決まった長さの糸を結び、糸の先に毛鉤を 取り付けるというシンプルな道具構成。
これは比較的流れが早く川幅の狭いに日本の渓流で、テンポ良く魚を釣っていくために進化したシステムなのです。シンプルゆえにトラブルも少なく、初心者でも扱いやすいことが特徴です。実際に釣り をしてみると、無駄を省いた非常に効率の良いシステムということ分かります。
また毛鉤自体もフライフィッシングのものと形状が異なるものが多く、全国各地で発展してきたご 当地毛鉤のといったものもあります。いわば和製フライフィッシングともいえるのがテンカラ釣りな のです。
テンカラ×アクティビティーの可能性
テンカラ釣りはコンパクトな道具故、他のアウトドアアクティビティーとリンクさせて釣りをすることが できるということが大きなメリット。どれくらいコンパクトかというと、最も大きい道具は釣り竿です がそれでも全長40センチほど。ちょっとしたザックに充分収めることができます。 特に相性が良いと感じているのは、トレイルランニングやMTBといった山を楽しむアクティビティー。ト レラン×テンカラでテンカラン、あるいはマウンテンカラなんていう言葉も昨今聞かれたります。 山に入る際に事前に渓流があるとわかっている場合は、釣竿をザックに忍ばせておくと一度で二 度美味しく、充実の1日を楽しむことができるのではないでしょうか。
これは気を付けて!テンカラ釣りの注意点
いくらテンカラ釣りは気軽にできるとはいえ、アウトドアアクティビティーである以上、気をつけなけれ ばならないことももちろんあります。
1.釣り券は事前に必ず購入すること
ヤマメやイワナを釣ることができる渓流はほぼ間違いなく漁協などたくさんの人々の手によっ て、魚や環境が維持されています。そうした中で釣りをさせていただくという気持ちを忘れずに、 必ず釣り券を購入し釣り場のルールを確認しましょう。インターネットで川の名前を調べると大 抵、釣り券の購入方法やルールについての情報が出てきます。
2. 安全管理を怠らないこと
テンカラ釣りができる場所は渓流の中でも源流・上流部が多いです。そうした場所は水深のある淵やがけといった危険な場所もたくさん。 魚が釣れそうだからといって危険な場所に足を運ぶこ とはしないようにしましょう。また河川は雨やダム放流などで、一気に水かさが増す可能性もありま す。
また道具も最低限で始まられるとはいえ、ウェーダーや防寒着、サングラスなど季節や河川の規模などに応じて、しっかりと検討・御準備ください。
雷は釣り竿との相性が非常に悪く、要注意。釣り竿の主な素材であるカーボンは避雷針のようなもので、落雷事故も報告されています。雷が聞こえたらすぐに竿を畳んでください。くれぐれも安全を最優先に釣りを楽しみましょう。
3.先行者や自然への配慮をすること
釣りは基本的に先に場所に入っている釣り人が優先です。他の釣り人の存在が確認できたら一 声かけて、離れた場所で釣りをしてもいいか確認させていただいたり、状況によっては場所を変更することもマナーのひとつです。また不必要に魚を持ち帰ったり、生態系に影響を与えるような行為は慎んでください。もちろん糸くずなどゴミを捨ててはいけません。
女性のテンカラ釣り師も増加中!是非チャレンジしてみよう
テンカラ釣り自体は昔からあるもの、ここ数年で非常に盛り上がっているのには理由があります。 それは、海外でのテンカラ釣り人気。
今や海外にテンカラ釣り専門のメーカーが現れたり、あのパタゴニアがテンカラ釣り用品を販売するなど、逆輸入とも言える形で世界のTENKARAとなって日本にやってきています。
ちなみに私の住む栃木県日光市には今年から、全国唯一となるテンカラ釣り専用の渓流が誕生 しました。
美しく丁寧に管理されている山岳の小渓流で、キャッチ&リリース制度によって魚もたくさん。誰もが十分楽しむことができる、素晴らしいフィールドとなっています。 詳しくは、管轄するおじか・きぬ漁協のホームページをご覧ください。
http://ojikakinu.web.fc2.com
この夏は先人の知恵を感じながら、渓流で静かにテンカラ釣りに興じてみてはいかがでしょうか 。