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    2021.07.18

    【ソロ秘湯】最強の温泉島!ひと手間かけて楽しむ式根島の秘湯特集(東京都)

    みなさん、こんにちは。ソロ秘湯愛好家のゆみです!

    突然ですが、みなさん、秘湯を求めて行ってみたい島はありますか?実は、ぜひオススメしたいところがあります。
    それは、東京都にある離島『式根島』。式根島は、ダイビングスポットとして有名ですが、じつは秘湯が多く集まるスポットとしても人気なんです。キーワードは「ひと手間」。何かをして、やっと温泉に浸かることができる……「ひと手間秘湯」が多いのが特徴です。何をしなきゃいけないのかは、本稿でチェックしてください♪

    「満潮の前に××して入る」、オレンジ色の海中温泉

    『地鉈温泉』

    海岸に突き出すような位置にあり、景色もサイコー!

    まず最初は、式根島の野湯と言ったらこの温泉は外せません!『地鉈温泉』。「露天風呂番付」では東の張出横綱に番付された見た目のワイルドさ、入り心地も言うことなし、の露天風呂なんです。最初のアプローチは、何十段にも及ぶ階段をひたすら下ります。

    大地を鉈で割ったようなV字の峡谷にあるため『地鉈温泉』と名づけれらたそう。

    峡谷を海岸へ向かって歩き、しばらく進むと海岸に出て、辺り一帯に源泉が溜まった小さな湯船らしきものを発見。温度を計ってみると、なんと80度C! とてもじゃないけど浸かれません。そこで、問題。この地鉈温泉に浸かるためには、あるコトをしなければなりません。その、あるコトとは一体なんでしょうか?

    この湯船は、そのままでは熱すぎて浸かれませんでしたが……。

    答えは、満潮の1時間前に「海水を混ぜる」です! コチラの温泉、源泉温度が高いので、海水が混ざる満潮の1時間~1.5前に来ることが必須なんです。私が浸かった時も満潮の1時間前でしたが、海水が混ざり、42度Cのちょうど良い湯加減でした♪ 湯船となる場所はさまざま。自分好みの温度の湯を探すのも楽しいですよ。

    こちらの湯船は38度C。少しぬるめで長湯もできます!

    『地鉈温泉』

    ● 住所:東京都新島村式根島1006

    ● 泉質:ナトリウム-塩化物強塩温泉

    ● 色・におい・味:オレンジ色、微かな金気臭、強い塩味。

    ● アクセス: ≪式根島まで≫大型船で東京から約9時間、高速船で東京から約2時間20分。フェリーで下田から3時間半。≪地鉈温泉まで≫『湯加減の穴』を通り過ぎると『地鉈温泉』の案内の石があるので、左折して南下。長い階段を下りると海岸にあります。

    <注意事項>

    ● 源泉が80度Cあります。適温となる満潮の1時間~1.5時間前に訪問しましょう。

    ● 式根島は国立公園ですので、花や草木を取る事はできませんので注意しましょう。また、必ずゴミは持ちかえりましょう。

    入れるかは運次第?「湯船を××して入る」、秘湯中の秘湯

    『山海の湯』

    岩陰に隠れてひっそりと湯船があります。見つけられるかな?

    次にご紹介するのは、地元の温泉達人が、鉄パイプやシャベルで大きな岩を除去して作ったお手製の湯船で、ガイドブックにも載っていない秘湯中の秘湯です。『式根島港』から海岸沿いの遊歩道を歩き、『松が下雅湯』(後に紹介)を通り越すと、下に『足付温泉』という海中温泉があります。でも、今回はここが目的地ではなく、その脇にあるコンクリートの道を通って、海岸沿いにさらに歩いて行きます。

    『足付温泉』。こちらも有名な海中温泉ですが、今回はスルー。写真向かって右脇にある細い道を歩きます。

    干潮時、この辺りの海岸に現れるらしいのですが…一体どこに?

    海岸じゅうをくまなく目を凝らして探しますが、なかなか見つかりません。

    水たまりを見つけるたびに、手を浸けて温度チェック~! 単なる海水だとわかってガッカリ。で、また新たな水たまりを見つけて温度チェック……を繰り返しながら波打ち際を歩いていると、「あ、あったー!」。大きな岩の陰に隠れて40度C弱の湯が溜まっている湯船を発見。波が押し寄せてくるたび、黒い海草が湯船に入るのでお掃除は必要ですが、この湯船なら誰にも邪魔されることなくソロ秘湯を満喫できるじゃないですか!? もう、わかりましたね? 山海の湯のひと手間は、「湯船を探す!」でした。

    『山海の湯』は『ふなりっと温泉』とも呼ばれています。

    この湯船を造った温泉達人いわく、海岸周辺には11か所に渡り、熱い湯が湧くスポットがあるんだそうです! 山海の湯のより、もっとすごい秘湯が、新たに発見されるかもしれませんね。まるで宝探しです! 

    『山海の湯』

    ● 泉質:不明

    ● 色・におい・味:透明、強い塩味。

    ● アクセス: ≪式根島まで≫大型船で東京から約9時間、高速船で東京から約2時間20分。フェリーで下田から3時間半。≪山海の湯まで≫『式根島港』から海岸沿いの遊歩道を歩き『松が下雅湯』(後に紹介)を通り越すと、下に『足付温泉』という温泉があります。その脇にあるコンクリートの小道を海岸に沿って歩いて行くとあります。

    <注意事項>

    ● 干潮の時間帯に行くことをオススメします。

    「船に乗って、××でたどり着く」、断崖絶壁に湧く湯

    『御釜湾海中温泉』

    島の温泉の中でも、知る人ぞ知る秘湯!?

    3つ目は、島の中でもちょっと変わりダネ温泉で、釣り船をチャーターしないと行けない温泉のご紹介です。訪島する前に下調べをし、泊まるお宿を通して地元の漁師さんを紹介していただきました。釣り船をチャーターしたら、次はウェットスーツを着る! この時点で「え、温泉行くのに、船?ウェットスーツ??」って、思っているアナタはまっとうな常識人です、安心してください。さて、変人のわたしは、さっそくウエットスーツに着替えて、船に乗りこもうとしますが、これがなかなかうまくフィットしません。

    じつは生まれて初めてのウェットスーツ。こんなにピタピタなの?

    港を出て10分。目の前にそそり立つ断崖絶壁が現れ、その下にモウモウとたつ白い湯気と湯の華らしき白い筋が見えてきました。しかし、温泉があるのは、船から50mも先の岸壁。さて、ここでラスト問題です! 船に乗って最寄りの岩礁までたどり着いたら、そこからあるコトをしなければなりません、それは一体なんでしょうか?

    岸壁の窪みに温泉らしき白い筋と湯気が上がっているのが確認できます。

    正解は、「泳ぐ」です! 海底からぷくぷくと湧き上がる温泉のせいで海は生温かく、海中にはウミガメの姿も見えます。ウミガメも温泉入浴にきているのか……っていやいや、そんなこと考えてる場合じゃないですよ。集中して温泉まで泳ぎます。ちなみに、ウェットスーツは岩で足を擦ったりケガしないように保護するためのもの。安全のため必ず着用しましょう。

    海底から温泉の気泡が出ていて温かい。ウミガメも時々つられてやってくるよう。

    見渡すと、温泉の周囲一帯は湯気に包まれていて、湯煙の向こうの岸壁から源泉がものすごい勢いで噴き出ています。「こんな断崖絶壁に温泉が湧いてるなんて……夢みたい」。はやる気持ちを抑えながら、滑らないように一歩一歩踏みしめ、湯にそっと触れると、「あっ、あっつー!」。温度を測ると、なんと75度C! 熱すぎて入浴するどころじゃありません。

    源泉なので、よくあることとはいえ熱すぎます。

     

    こういう場合は、温泉と海水が混ざって適温になっているところを探すに限ります。さっそく岩の窪みに狙いを定めて、 持参の湯あみ着に着替えようとしますが……「あれ? ウェットスーツが脱げなーいっ!」。 濡れて身体にへばりついたウェットスーツ、上半身はジッパーを下ろし辛うじて脱げましたが、下半身部分がまったく腰から下がりません。数分間ウェットスーツと格闘の末、出した結論は「こうなりゃヤケだ」、ウェットスーツのまま湯だまりへドボン! 「とりあえず御釜湾海中温泉ゲットだぜ!!」。みなさん、野湯の先輩として何度も繰り返して言いますが「下準備は念入りに」……。

    ウェットスーツで入浴……達成感はビミョー。

    あと、冒頭でも書いた通り、この温泉へは、釣り船をチャーターしなければ行けないのですが、そこまでやるチャレンジャーさんにも注意事項があります。しけ(強風などの悪天候のために海上が荒れること)の時は出航が困難になりますので、おとなしく諦めてください。 また、たとえ海が穏やかな時でも「泳ぎ」が得意でない方は諦めてください。御釜湾海中温泉は、その日の天候やご自身の体力、釣り船を所有する漁師さんのご都合、ご気分など、様々な条件を満たされた場合のみ到達できる温泉なんです。

    『御釜湾海中温泉』

    ●泉質:ナトリウムー塩化物強塩泉

    ●色・におい・味: 透明、濃い硫化水素臭、塩味

    ●アクセス: ≪式根島まで≫大型船で東京から約9時間、高速船で東京から約2時間20分。フェリーで下田から3時間半。≪御釜湾海中温泉まで≫『式根島港』から船で約10分。船から温泉までの50mは泳いで行くしかありません。

    <注意事項>

    ● たとえ釣り船をチャーターできたとしても、天候が悪い日や冬期など海がしける時は渡航できません。

    ● 泳げない方や体力に自信がない方は無理に訪問しないでください。

    ひと手間いらない!お手軽秘湯

    『松が下雅湯』

    ちなみに、「いやいや、私はひと手間かけず簡単に入りたいよ~」って方は、温度調節も自由にでき、24時間楽しめる『松が下雅湯温泉』をオススメします。ココから臨む満点の星空は格別にキレイですよ~★

    源泉のパイプをしぼったり開けたり……自分の好きな温度に調節可能。

    いかがでしたか? 海水を混ぜて、湯船を探して、泳いで……の「ひと手間かけて入る温泉」、「ひと手間いらないお手軽温泉」……しっかりと下調べをして、あなたに合った秘湯を攻略してくださいね!

    式根島は、まさ温泉天国。好みの秘湯がきっと見つかります。

     

    『松が下雅湯』

    ● 住所:東京都新島村式根島992

    ● 時間:24時間

    ● 泉質:ナトリウム-塩化物強塩温泉

    ● 色・におい・味:オレンジ色、金気臭と芳ばしい香り、強い塩味。

    ● アクセス: ≪式根島まで≫大型船で東京から約9時間、高速船で東京から約2時間20分。フェリーで下田から3時間半。≪松が下雅湯まで≫『式根島港』から海岸沿いの遊歩道を行くとあります。

    <注意事項>

    ● 地域の新型コロナウイルス情報を確認の上、三密回避、マスク着用、うがい手洗いなど感染対策をしっかりと行なってください。

    私が書きました!
    渡辺裕美
    秘湯探検家。奈良県出身。会社員時代に体調を崩したことをきっかけに、温泉にハマる。これまで巡った温泉は、国内外含め2500ケ所以上。誰も行かないような秘湯や野湯にひとりで行くのが大好きで、オフはほぼ、秘湯探しか湯巡りに費やす。著書『わたしのしあわせ温泉時間 〜おとな女子がいく絶景秘境温泉の旅〜』がある。
    イラスト:藤本たみこ/温泉巡りに憧れるイラストレーター。東京都在住。少女漫画誌でデビュー後、漫画作画・イラスト・web素材製作などの仕事を幅広く手がける。

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