鹿児島県鹿児島市にある鴨池長水路公園(以下、長水路)では、1月上旬から3月上旬にかけて海中が想像もできないような状況に変わります。ここでは、そんな不思議な世界をご紹介させていただきます。
桜島が見える長水路の海中は緑の世界!?
鹿児島市の人たちにとってこの場所は、桜島を眺めながら散歩やランニングをする憩いの場。
その長水路の海中にスキューバ―ダイビングの器材を背負って入ると、陸上では想像できないような素晴らしい光景が広がっています。
陸上から見ると緑の海藻だらけですが、水中はとても神秘的です。
なぜこんな緑色の光景が広がっているのか
冬に水底に繁茂しているシオミドロ・ショウジョウケノリ・ボウアオノリ・ホソジュズモなどの海藻は、徐々に上へ伸びて水面へと広がります。多くの海藻は潮の流れに乗り、本来は子孫を繁栄させようと移動します。
しかし、長水路の数種類の海藻は流れに乗って移動することが出来ず、長水路内に留まっているのです。
陸上から見れば緑の海藻が溜まり、ほとんどの人はこの海の中へは入りたいとは思わないでしょう。
しかし、海中に入りシオミドロなど海藻の隙間から光が差し込む光景を見れば、美しさに魅了されます。
凄いのは水面だけではない
長水路には水底にアマモなどの海草が美しく生い茂り、水面のシオミドロと合わさり綺麗な緑色の世界に心奪われます。
他にも水底には沢山の生き物が生息しており、色とりどりの魚、ウミウシ、ヤドカリなどの姿も見られます。
長水路の入り口には大きな生物が通れない、水を引き込むための細い通路があり、生き物が小さな時にその通路から長水路へ稀に迷い込みます。
そのまま大きく成長した生き物は長水路から出られなくなり、長水路内で生活を続けます。私も撮影中に大きなボラなどを見たことがあります。
この閉ざされた長水路の中は大きな海から比べたらほんの小さな世界ですが、生態系がギュッと詰め込まれたような不思議なところでもあるのです。
今回ご紹介した長水路ですが季節の変化とともに海の中の様子がガラッと変わります。引き続き取材を続け機会があれば、またご紹介していきたいと思います。
撮影協力 鹿児島ダイビングショップSB