100年近く前に発売され、世界で今注目されている「ハクキンカイロ」を紹介
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    2021.02.08

    100年近く前に発売され、世界で今注目されている「ハクキンカイロ」を紹介

    ハクキンカイロ

    100年近い歴史を持つ老舗ブランド「ハクキンカイロ」

    皆さんがカイロと聞いて真っ先に思い出すのは、使い捨てカイロではないでしょうか。寒い季節に活躍する使い捨てカイロは、電源いらずのアウトドアユース向き暖房グッズです。

    しかしもっと便利なカイロがあることを、皆さんはご存知でしょうか。そのカイロは使い捨てではなく何度も使えて、使い捨てカイロより高出力で温かい。

    今回ご紹介するハクキンカイロは、実は100年近く前から存在している歴史ある商品。しかし最近になってキャンパーをはじめ、世界各国から注目を浴びているのです。

    ハクキンカイロ

    なぜ今になって注目されているのか。ハクキンカイロがどのような製品なのか、使用方法の説明を交えながらご紹介します。

    ハクキンカイロは科学で発熱する、とても安全なカイロ!

    ハクキンカイロ、燃料のベンジン、パッケージ

    ハクキンカイロは燃料にベンジンを使う。

    まずは使い捨てカイロが発熱する仕組みから。

    使い捨てカイロの中には、鉄粉に食塩水をかけたものが入っています。これを密封した状態で出荷し、使用者が封を切ることで、鉄粉が酸素に触れます。鉄粉は酸素に触れると酸化し、その際に発生する熱を利用しているのです。

    物質が酸化する際に発生する、酸化熱を利用したものなのですが、ハクキンカイロも仕組みはほぼ同じ。

    ハクキンカイロには、プラチナ触媒というものが使われています。燃料のベンジンが気化し、このプラチナ触媒に触れることで、ベンジンが酸化して発熱するのです。

    燃料のベンジンに直接火をつけている訳ではないので、火事の心配もなく安全です。

    ハクキンカイロ

    ハクキンカイロは、1923年に生まれた。

    ハクキンカイロの仕組みを発明したのは、的場仁市という人物で、現在のハクキンカイロ株式会社の創業者。

    1923年(大正12年)に発明され、以来ハクキンカイロは改良工夫を重ねてきました。驚くことに開発当初の初期型から最新型まで、部品のひとつである火口は、互換性を保って作られているそうです。

    100年近い歴史を持ちながら、消耗品の火口が互換を持って作り続けられている。これは長く製品を利用しているユーザーに、ハクキンカイロが寄り添っている証拠。ユーザーを大事にしている姿勢を感じないでしょうか。

    ハクキンカイロ

    フタの孔雀(クジャク)の模様は、初期型から受け継がれている。

    フタには特徴的な孔雀の模様があるのですが、実はこの模様にも重要な役割があります。火口への酸素供給量を調整し、発熱温度をコントロール、発熱持続時間を調整しているそうなのです。

    氷点下40度C以下の極寒でも機能するタフさを持ち合わせており、過去には南極観測船の常備品になっていた歴史もあるそうです。

    ハクキンカイロを実際に使ってみた!

    ハクキンカイロ

    火口にはプラチナ微粒子を担持させた、ガラス繊維が使われている。

    ハクキンカイロの使い方はそこまで難しくありません。

    まずフタを外すと、ふわふわした綿のようなものがあります。これが火口で、ハクキンカイロが発熱する上でとても重要な部分。

    ふわふわしたものはガラス繊維で、プラチナ微粒子が担持されている、プラチナ触媒です。

    火口の交換適正時期は、1~2シーズン。性能を維持するために、1シーズンごとの交換を推奨しています。

    ちなみに交換用の火口は、ハクキンカイロの公式サイトにて、1,000円以下で購入可能です。

    ハクキンカイロ

    火口を外すと、カイロ本体の内部に綿が詰まっているのが確認できる。

    火口を外したらベンジンを注入します。カイロ本体の内部には、脱脂綿が詰まっており、この綿がベンジンを吸収します。綿から発散されたベンジンは、プラチナ触媒と反応し、酸化熱を発するのです。

    ちなみにこちらの脱脂綿も消耗品で、交換時期は5~10年。火口と比べると、脱脂綿の交換頻度はかなり少ないです。

    ハクキンカイロの燃料用キャップ

    燃料のベンジンは、蓋をひねると注ぎ口が開放する仕組み。

    ハクキンカイロの燃料であるベンジンは、メーカー指定の商品が推奨されています。指定されているベンジンは、エビスベンジン・NTベンジンの2商品。

    指定品以外のベンジンを使用すると、プラチナ触媒の劣化、温度の上がり過ぎ、持続時間の減少、臭いなどの不具合を生じる恐れがあるようです。

    指定品のベンジン2商品は、公式サイトで販売されているほか、ドラッグストアやホームセンターなどで購入が可能です。

    付属のベンジンカップを使用してハクキンカイロに燃料のベンジンを入れる

    付属のベンジンカップを使用して、ベンジンを一定量注入する。

    ベンジンを注入する際は、付属のベンジンカップを使用します。

    カップには2本の線が描かれており、1本目の線が約6時間、2本目の線が約12時間、温かさが持続する時間の目安になっています。

    ベンジンの注入可能量は、最大2杯まで。24時間まで持続させることが可能です。キャンプで1泊する場合は、1杯半~2杯のベンジンを注入すると、調度良さそうです。

    ちなみにハクキンカイロの発熱は、途中でやめさせることができません。基本的に一度注入したベンジンが発散し尽くすまで、発熱は止まりませんので、使いたい時間の分だけベンジンを注入する必要があります。

    ハクキンカイロの上のベンジンカップを90度回転させた状態

    ベンジンカップを90度回転させると、カップ内のベンジンが本体に落ちる。

    ベンジンを必要な量だけカップに溜めたら、カップを90度回転させ、ベンジンをカイロ本体に落とします。

    カイロ内部の脱脂綿にベンジンが吸収されたことを確認したら、ベンジンカップを外します。

    ハクキンカイロに火口を取り付けた状態

    ベンジンカップを外したら、火口を取り付ける。

    外したベンジンカップは、紛失しないように保管しておきましょう。最悪紛失した場合、ベンジンカップも公式サイトから購入可能で、定価は500円以下です。

    外していた火口を、再度取り付けます。

    ハクキンカイロの点火

    火口に火を近付け、加熱する。

    ライターやマッチを使って、火口を温めます。

    ここで注意する点は、あくまで火口は温めるだけ。火をつける訳ではなく、プラチナ触媒の反応を促進するために、火口の温度を高くするだけです。そのため火口に直接火を当ててはいけません。

    火口に火を2~3秒近付けたら、火を消して蓋をします。

    ハクキンカイロと付属のフリースケース

    付属のフリース素材の袋に入れて使用する。

    蓋をしたハクキンカイロは、付属のフリース素材の袋に入れて使用します。約20~30分で温度が最高まで上がり、素手で触るのが困難なほど高温になります。

    ハクキンカイロの発熱量は、使い捨てカイロと比べて約13倍もあるとのこと。袋に入れる事で温度を和らげ、ポケットに入れたり、体に直接当てても問題ない温度になります。

    ただし、体の同じ個所に長時間当て続けると、低温火傷をする恐れがあります。就寝時に使用する際などは、特に安全に気を付けて使いましょう。

    ハクキンカイロ

    ゴミが出づらく、何度も繰り返し使える、エコなハクキンカイロ。

    使い捨てカイロはパッケージの袋がゴミになり、また本体自体も使用後はゴミになります。貼るタイプのカイロの場合は、剝離紙もゴミになりますよね。正直、環境に良いとは言えません。

    その点ハクキンカイロはゴミが出づらく、繰り返し何度も使えるため、エコで環境にやさしいカイロとして、世界各国が注目しています。

    私たちキャンパーも、自然の中でキャンプをする立場である以上、環境にはやさしくなければいけないと感じます。

    繰り返し使えて、見た目もおしゃれなハクキンカイロ。皆さんも使ってみてはいかがでしょうか。

    アサノダイスケ
    私が書きました!
    フリーライター
    アサノダイスケ
    秋田県在住。幼少期に父に連れられて行ったキャンプでアウトドアに目覚め、妻ともアウトドアがきっかけで知り合い、結婚しました。毎週末、妻とキャンプに出掛ける日々を送っています。目下の目標は「雪山での雪中キャンプ敢行」で、それに向けて着々と準備中です。

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