落語界きってのアウトドア派!林家彦いちが語る珍奇な少年時代 - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • イベント

    2020.12.27

    落語界きってのアウトドア派!林家彦いちが語る珍奇な少年時代

    長良川河口堰反対デモに登壇

    カヌーを漕ぐ落語家がいる――知り合いのライター氏からそんな噂を聞いたのは、もう30年近く前のことです。当時『ビーパル』の編集部員で、落語にも興味のあった私はさっそく彼を紹介してもらい、意気投合。新年号で雪中大喜利を披露したり、イベントに出てもらったり、半分仕事、半分遊びの楽しい時間を過ごしていました。

    そんなある日、編集部に1本の電話がかかってきます。私が出ると、低いハスキーボイスの女性でした。

    「アマノと申しますけど、林家彦いちさんに連絡を取りたいのですが」

    電話の主は、作家の天野礼子さん。長良川河口堰の反対デモに、彦いちさんを呼びたいとのことでした。当時、河口堰はほぼ完成していて、本格運用に向けて議論が沸騰。環境保護と税金の使途、ふたつの論点から国会を二分する大問題となり、全国からカヌーイストが長良川に集結するなど、大きな注目を集めていました。

    さっそく彦いちさんに取り次ぐと「何だかよくわからないけど、行きます」とのこと。この決断が、若手落語家(当時)に未曾有の体験をもたらします。

    怒りに燃える聴衆を味方に

    いざ、反対デモのステージに立つと、待ち構えていたのは河口堰に怒るおおぜいの参加者でした。落語家というのは、落語でも聴こうかな、どんな噺が聴けるかなと、楽しい期待を抱くお客の前でしゃべる職業です。ところが、目の前の聴衆はみな闘志にあふれ、怒っている。しかも、落語にはそもそも興味がない。まったくの想定外、そして未経験の状況です。

    「とんでもないところへ来てしまった」

    彦いちさんは後悔しつつも、腹をくくりました。ふつうなら「えー、お笑いを一席」かなんか言ってのんびり話し始めるところを、「扇子と手ぬぐいで、私も闘います!」と宣言し、ステージ上でこぶしを突き上げて雄叫びを上げたのです。すると満場の聴衆も呼応して「おーっ」とどよめきが返ってきました。彦いちさんは聴衆をすっかり味方に付けて、創作落語で狙い通りにデモ会場を沸かせました。

    この様子を見ていたのが、同じく登壇者として会場に居合わせた野田知佑さんと夢枕獏さん。この日をきっかけに交流が始まり、のちにはユーコン川をいっしょに下るほどの付き合いに発展します。 

    ニッポンの田舎感満載の創作落語『長島の満月』

     

    いっぽうで落語家としても、柳家喬太郎、春風亭昇太、三遊亭白鳥、神田山陽と「SWA!」という創作落語のユニットを立ち上げ、落語界では数少ない新作派のひとりとして、さまざまな実験を積み重ねていきます。創作落語は、とくに初披露の場では「スベる」ことも多く、苦心の割に見返りが少ないのですが、「河口堰のステージで舞台度胸がつきました。おかげでどこへ出ても怖くありません」とあとで教えてくれました。

    そんな彦いちさんが、久々にビーパルのイベントに登場して、得意の創作落語を披露してくれました。噺の舞台は彦いち少年が暮らした鹿児島県の長島。鹿児島本土と天草下島の間に浮かぶ島は、毎日がアウトドア。まるで日本から隔絶されたかのように、オイルショックもなければ「アーノルド・パーマー」もありませんでした。林家彦いち作・演『長島の満月』、ぜひご覧ください。

    文/小坂眞吾(小学館プロデューサー、元『BE-PAL』編集部員)

     

    NEW ARTICLES

    『 イベント 』新着編集部記事

    初心者大歓迎!5/31-6/1のBE-PALキャンプイベント「手ぶらプラン」お申し込み方法はこちら!【先着順】

    2025.05.08

    【参加者募集】『BE-PALアウトドア博覧会2025』開催!スノーピーク鹿沼で温泉キャンプを楽しもう

    2025.04.19

    イベントの試乗コースは競輪場!ツーリングバイクからグラベルバイクまで最新スポーツバイクを乗り比べ

    2025.04.05

    フラッグシップストア「ビクトリノックス 銀座店」がリニューアルオープン!スイスのクラフトマンシップを体感

    2025.03.27

    自然写真家・高砂淳二さんの最新写真展が富山・高岡で開催!

    2025.03.23

    汚い、臭いなんてもう言わせない!本物150点が展示された「うんち展」が面白いっ

    2025.03.21

    自動車ディーラーが手掛けるアウトドアイベント!「GOOD OPEN AIRS 2025」の中身をご紹介

    2025.02.22

    日本初の長距離自然歩道「東海自然歩道」を語り尽くすイベント『つなぐ東海⾃然歩道、もう⼀歩!』が大阪で開催

    2025.02.03

    雨の中行われたナイトステージ…盛り上がりは凄かった!「BE-PAL FOREST CAMP 2024 」協賛の皆様もご紹介

    2024.12.25