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1991年5月11日生まれ、北海道出身。2017年にりんたろー。とお笑いコンビ「EXIT」結成。主なレギュラー番組は、「ラヴィット!」「THE 突破ファイル」「ホンマでっか!?TV」「NEXiT!!」「メシドラ~兼近&真之介のグルメドライブ~」ほか。著書に『むき出し』(文藝春秋)など。
低反発枕みたいに、柔軟で硬い。
――連載中、定期的にインタビューされることは、ご自身にとってどんな時間でしたか?
「すり合わせ、でしょうか。自分をこう見せたい、こう見られたいという思いがあって、理想の自分と現実と、どっちがどっちかわからなくなってきます。言語化しないと、自分の中にも入ってきませんし。そうしたことを、すり合わせる時間になっていました。事前に何を話すか考えることはなく、聞いていただいたことに対して、テキトーにしゃべる。だから、そんな話は普段しないな! ということもあります。恋バナとか、生きていてすることはないので」
――ないんですか?
「はい。聞かれて話すうち、自分はこう思っていたんだ! とわかったりするのも楽しいです」
――本を読ませていただいて、ものすごく自分が確立している方だなと。
「ふ~ん、確かに! それでいて生きていたら変化していきますが、変った自分も、そこでまた確立させる。柔軟かつ硬い、って不思議ですよね。型はあるけどちぎれない、ちょっと何かの形にはなるんだけど、ある程度は柔軟。低反発枕みたいなもので」
――連載開始当初は32歳でしたが、老成しているというか。
「それは昔から言われます、頑固じじぃ! って(笑)。自分でも、そう思うタイミングが結構あります。新しいものを嫌うところがあって、携帯とかも変えないですもん。資本主義がどうのとか、日本のものを使えよ! とか。それでもなるべく柔軟になろうと、新しいものも別にいいじゃん? って。例えば、新しい曲が流行り始めると、なんだよ! と思う気持ちと、今はこういう曲が流行っているんだから別に歌ってもいいじゃん、と思う気持ちと。葛藤しますけど」

――改めて書籍として読み、3年の間に変化した部分をどこに感じましたか?
「結婚です。スタート当初は、積極的ではなかったので」
――恋愛や結婚にまったく興味がないというのも驚きました。
「僕もビックリしました。30歳を超えたら男は変るよ、みたいなことを言う人がいますよね。それで、そうなんだ…と思っていて。30歳になったときに、自分が引きました。嘘じゃん、全然変わらないじゃん! と(笑)。でも32歳くらいから急に、周りで結婚する人が増えて。するとその子どもたちと遊ぶことも増えるじゃないですか。それで変ったんでしょうね。子どもが大好きだから、まず家庭というものに気づいて。それをやらないとルール的にダメですよね。自分の子どもを持つには、まず幸せな家庭の形をつくらないといけない、それが世間の普通だろうと」
――今回の本にも、「子どもはこう育てたい」というのが具体的に書かれています。
「ヤバいですよね」
――いや考え抜いていることに驚きました。しかもなるほど! という説得力があって。
「ヘンな話、結婚という制度がなかったら、相手も、子どももいただろうと思います。結婚という制度に縛られていたと」
――結婚という制度に、囚われたくなかったのでしょうか?
「理解していなかったんです。結婚がなければ当たり前に子どもをつくり、人生が形成されていく。でも結婚という制度があることで、それをしなくては家族をなしてはいけない、という縛りになっていません?」
――その制度を理解しないと、結婚できないということですか? 理解できないものに飛び込めないと?
「そうそうそうそう、頑固じじぃなので」
――まさにこじらせてますね! 自分の頭で考え、ちゃんと理解しないと動けないと?
「ああ、そういうことですね。今は結婚というものも理解できています。それから先、長いこと一緒にいるパートナー、コンビみたいなことで。相方がいるからボケが出て、ツッコミが出る。ひとりでは辛い仕事も、コンビだとその辛さも緩和される。そういう支え合いかなと。…昔の結婚の理由を調べたんですよ。昔、男性は外で働き、家のことはできなかった。仕事から帰ると、奥さんが家のことをやっておいてくれるから、二人でいるおかげで生活がラクになった。そうして家族が形成されたと知り、なるほど! と。それで今は男も女も当たり前に働き、社会参加でき、両方が家のことをする。そこに男女は関係ありません。分担の意味がなくなり、そういう意味では基本的に結婚してもメリットがない。それでみんな結婚したくないんだなと。結婚という制度は完全に破綻したと感じました」
――結婚ひとつも、それだけ考えるのですね。まだ結婚していないのに。
「…していないのに(笑)」
――あらゆることに、そうして向き合ってきたと。
「昔からそうでした。気になると、掘り下げちゃう。それこそ結婚に関してなら、ウチは破綻していたので。なのになぜ皆、当たり前に結婚するのだろう? と不思議に思っていました」

――そういう考え方をするから、大人になってから読書にハマったのかもしれないですね?
「そうだと思います。この作者はなぜこのようなことを書くのだろう? この主人公は、なぜこんなことをしたのだろう? そうした掘り下げ癖が昔からありました。子どものころって、そうしたことを聞くと、先生に怒られたりしましたよね。屁理屈言うな! とか、そんなことは気にするな! って。なぜ自分は毎日怒られていたのかな? と思ったら、そんなふうに、なんで? をずっと言ってたんです。先生にしたら生徒全員へ同時に同じことを教えるのに、ひとりだけ、わかんない! と言い出したら腹が立つじゃないですか。僕からしたら、なんで教えてくれないんだ? というイラ立ちがずっとありましたけど」
――それで自伝的な『むき出し』のような小説を書かれた面も?
「ちょっと誇張はしていますけど。いちど書き終えて気づいたのですが、僕のような人はあまりいないので、共感を呼びにくいんですよね。共感を呼ぶ作者、主人公の方がバズるじゃないですか」
――『むき出し』は怒りが根底にあり、孤独を抱えた主人公で。まさに王道の青春モノだと思いました。
「本当ですか!? でもひとつ、自分の表現みたいなものをやり終えて満足したというか、これを何作も書いてもな…と。いろいろな角度で、いろいろな主人公をつくれないと思うんです。いろいろな種類の共感を呼ぶ主人公の心情を提出できない感覚があるというか。やりきった? 良い言い方をすればそうかもしれません。リアルな話をすれば、引き出しが足りない!」

温暖化であっちぃのに、なんでサウナに入る?
――アウトドアにはあまり縁がなかったと書かれていましたね?
「例えば、サウナが苦手なんです、熱いから! 温暖化が進み、こんなにあっちぃのに、なぜ皆サウナでまたあっちぃようにしてるんだ!? って。調べてみたら、夏になるとサウナの人気はちょっと弱まるようで。いやいやいや、皆あっちぃと思ってんじゃん! と(笑)。それが気持ちいいのはわかるけど、例えば、夏に、外はあっちぃなと思って涼しい店に入ると気持ちいいじゃないですか。その落差を楽しむなら、わざわざサウナに行かなくてもいい。でも、それでも、だからと言って否定して、サウナなんか…と言ってるのも嫌で。まずはやらな! と、普通のサウナだけでなく、川の横に建てたテントサウナに行ったりしました。ザ・アウトドアですよね。ジュースを飲みながら、ちょっといわゆる整うってやつを…15セットくらいやって」
――ずいぶんやりましたね!
「楽しかったけど、まあ満足しました。やりきったなと」
――サウナというのがわかった、つぎに行こう、と?
「そうですそうです。テントサウナだけじゃなく、いろいろな種類のものを10か所くらい行きました。もうこれサウナにハマってるみたいですよね(笑)。実際は確かめていたんです。確かめる前に、嫌わないように。わかった気になりたくないんですよ。芸能人が行くような、女子と一緒に入れるサウナ、みたいなところにも行きました。なんであっちぃところに二人で行くんだよ! かわいいサウナハットみたいなのを被って!? と」

――心のなかで、ふーんとか思いながらサウナを楽しんでみたのですね?
「…たぶん、人間のフリをしているんですよ」
――今は人間じゃない!?
「いや、わからないけど(笑)。まだ人間になり切れてない、妖怪人間です。いつか人間になれたらいい。人間らしいことをたくさんして、いつの日か皆と同じようになり、仲間に入れてもらえるように」
――『むき出し』に書かれたような、居場所がない感じが今もある、そんなことはないですよね?
「当たり前に日々が過ごせません。それで、普通はこうなんだ! と、常に当たり前を勉強しています」
――だから年齢より、老成した印象があるのかもしれませんね?
「若い子とは話が合わないんです。幼少期に親がスナックで働いていて、大人と話す機会が多くて。昔から同世代とは話が合いませんでした。反抗期というか、思春期も早くて。小学校4年生くらいで、ちょっと不良みたいになりました。見た目を気にして、だるいな~とか言って。ふつうの子が高校生くらいでなる感じ」
――小4で?
「超だりぃ、また学校? みたいな」
――あらゆることが早いですね! 本が書きたくて芸人になり、小説を出版し、「30歳で俺の人生はいちど終わった」と思えるなんて。
「それで今回の本は男女平等な今の時代、タイトルに“男”とある珍しい本です。30代半ばの人間はそういう教育を受け、そのなかでもちょっとズレてしまった男はどういうことを考えて日々を送っているのか? 男性の視点で言うと、こういう男でも別にこうして生きていけるよ! あなたはヘルシーでナチュラルな人生を送ってるじゃん! という励みになるはず。理解できない男性と日々を送る女性は、そういう男はこうして形成される、理解できない理由はこういうことか! という視点で楽しめます。キモい男の話がいっぱいつまっているので、よかったら読みにきてくださいっ」
『あくまでも個人の見解です。~こじらせ男のひとり言』(小学館)
著/兼近大樹(EXIT)
定価:2860円(税込)
10月30日発売
写真/黒石あみ 取材・文/浅見祥子
スタイリスト/相川留璃(Office Shimarl) ヘア&メイク/五十嵐将寿(晴空日)
レイヤードジャケット132,000円/プリントTシャツ49,500円/レイヤードパンツ63,800円/ソックス3,000円●全てKOH’S LICK CURRO TEL03-6427-1405/その他スタイリスト私物(全て税込価格)




