そんな状況を考慮し、スノーピークが取り組んだのが冷感アパレルだ。ヒンヤリウェアを体験できると聞き、編集部スタッフとともに東京・原宿にあるSnow Peak Tokyo HQ3を訪れた。
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「太陽の下ではテント設営もSUPの準備も、何をするにも汗だくになります。べたつく不快な蒸し暑さ、そして熱中症リスクを低減するよう開発したのが冷感アパレル、Cooling System Wearなのです」(広報・三上昂太郎さん)。
冷感アパレルだってシステム化
日本で初めてファン付きウェアが誕生したのは2004年頃のこと。2010年代になると飛躍的にバッテリーの小型軽量化が進み、炎天下で働く建設現場や熱がこもる工場で安全に働くためにファン付きウェアが広まった。レジャー目的で使われるようになったのは2020年頃から。夏の暑さが深刻化し、今ではイベント会場やキャンプ場でファン付きベストを着ている人を当たり前のように見かけるようになった。
「ファン付きウェアは外の空気を取り入れるので、気温が高い日は衣類の内側がサウナ状態になってしまいます。それにファンによってウェアが膨らんでしまうことを気にする人がいると聞き、Cooling System Wearではより涼しく、単独でもスマートに着られるようにデザインしています」(三上さん)

Cooling System Wearは複数の冷却方式を組み合わせた“着る冷却システム”。
冷たさの度合いは「ペルチェデバイスベスト」が最強。次に「水冷デバイスベスト」、「気化冷却ポンチョ」と続く。「ステンレスクーリングパック」は着ることはできないが、「水冷デバイスベスト」と組み合わせるほか、クーラーボックスの保冷材にもなる。
80年代からシステムデザインを取り入れたギア開発を行っているスノーピークだからただの冷却アパレルではなく、日常の散歩や買い物でも違和感のないデザイン、保冷材にもなるクーリングパックといった“マルチユース設計”にたどり着いたのも納得だ。
試着開始! ペルチェ×ファンの持続するひんやり感は別格
それではいざ試着。まずは「ペルチェデバイスベスト」から。
こちらはペルチェによる“接触冷感”とファンによる“気化熱”を組み合わせていて、ファン稼働時でも膨らみは控えめでスマート。稼働音も静かで猛暑のアクティビティをサポートしてくれる。

ベストだけを手にすると重量は約1800gとずっしり。けれども羽織るとバッテリーやペルチェユニットが身体にぐっと近づくためか重さはさほど気にならなくなる。

ペルチェユニットは首に2つ、背中に4つ。合計6つ配しており触れるたびにひんやり。正直、ペルチェユニットの効果を疑問視していたが、実際に着てみるとファンによる気化熱との相乗効果で非常に冷たい。


「ペルチェデバイスベスト」はファンをメッシュで隠しており“いかにも”な雰囲気がない。
また、ファンを動かしても膨らむのは腰部分だけ。これも日常使いしやすい理由だ。


ペルチェの稼働時間は強なら2.5時間、弱だと4.5時間。一方、ファンは弱で6.4時間、強でも5時間だ。
「ペルチェにはゆらぎモードがあり、これは10分稼働して2分休むの繰り返し。バッテリーの節約にもなります」(三上さん)
ちなみに、ペルチェユニットは接触冷感なので内側はできるだけ薄着にするのが涼しさを得るコツなんだとか。ペルチェ背面から排熱し、腰の位置のファンが空気を取り込むのでバックパックを背負ったりレインウェアを羽織ったりするのは避けた方がいいが、この冷たさなら猛暑に立ち向かえそうな予感。
唯一のネックは価格がかわいくないことだが、作業時だけでなく買い物や観光など日常でもヘビロテできると思えば費用対効果はまずまず。
水冷ならレインウェアを羽織っても涼しく作業を続けられる
続いて試着したのは「水冷デバイスベスト」。背中に水を入れておくと、電動ポンプによって水がベスト全体に循環して身体の熱を下げる。

「ペルチェデバイスベスト」のような強烈な冷たさではなく、じんわり冷たい。それにバッテリーの水濡れには注意が必要だが、空気を取り入れないのでレインウェアの中に着て作業できるのは高ポイント。



背中のタンクに「ステンレスクーリングパック」を1個忍ばせて水を冷やす。常温水を循環させるよりも断然心地いい。気になる保冷時間は1〜2時間。
「水冷デバイスベスト」には保冷パックが2個付属しているので1個はベストに、1個はクーラーボックスで使えるしポータブル冷凍庫があるなら水冷の交換用として保存できる。
もちろん氷を併用したり置き換えてもいいのだが、氷が入ると擦れ合う音が響く。水枕のような音で涼しげだけど、街中だとすれ違う人が振り返りそう。

表面に大小のポケットが装備しているのも実用的。ワンサイズだが両脇のコードで調整できるし、フロントのベルトは高さを微調整可。着心地も悪くない。
水辺のレジャーにうれしい気化冷却ポンチョ
最後の試着は「気化冷却ポンチョ」だ。

水を含ませて絞ったものをすっぽり頭から被れば、気化熱によって身体を冷やすというシンプルな仕組み。頭や上半身を覆うので、頭部の熱こもりを軽減できるという。その効果はと言うと、沢木編集長が肩にかけると同時に「これでいいじゃん」と声を上げたほど。

148×100cm(フード、ずり落ち防止のボタン付き)で大柄な人でもすっぽり包み込むサイズで、UVカット機能つき。身体を冷やすとともに日差しの影響を低減でき、身体への負担は大きく減る。肌離れがよく、水を含んでも軽い点もポイントだ。

少し気になったのは、速乾性の高さではなく保水性を重視した生地だということ。湿ったまま放置するとイヤなにおいが発生する危険が高まるので、使い終わったらすぐに広げて乾かすのが鉄則だ。
マルチユース設計に期待!
ファン付きウェアがレジャーシーンに広まってすでに5年。ワーク系をはじめファッションブランド、アウトドアメーカーが取り組んでおり、スノーピークの冷感ウエアは一歩出遅れた感がある。
けれどもマルチユース設計はスノーピークの強み。猛暑が予想されるこの夏、野遊びで、そして暮らしにどれくらい役立つのか注目したい。
【問】スノーピーク




