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初日の会場は鈴鹿山脈を見渡す蟹江町の河川敷で
名古屋市の西隣に位置する蟹江町は、6本の河川が流れる水郷の町。醸造文化や尾張温泉、100日間続く須成祭(すなりまつり)など、独自の歴史と文化を持つ地域だ。

そんな町に拠点を構えるのが、超精密金属加工メーカーの近藤機械製作所。同社は2010年にスポーツ自転車用のパーツブランド「GOKISO(ゴキソ)」を立ち上げ、驚異的な回転性能を誇るハブが世界的な評価を得た。第3回蟹江町サイクルフェスは、蟹江町とGOKISOを中心に、自転車を通じて町の魅力を発信しようという試みでもある。


1kmの周回コースでテストライド
7日の会場は日光川ウォーターパーク。寒気に包まれた朝にもかかわらず、多くのサイクリストが集まり、普段は自転車走行ができない1周約1kmのラン&ウォーキングコースを使った試乗を楽しんだ。

完成車だけでなく、パーツやアパレル、ケミカルブランドも出展し、メーカー担当者から直接話を聞ける貴重な機会となった。会場にはキッチンカーが並び、ほかにも輪行体験やプロカメラマンによる撮影企画など、参加型イベントも充実していた。




雪が舞う名古屋会場もサイクリストたちの熱気に包まれた
翌8日は名古屋の、ささしまライブで開催。市内は雪に見舞われたが、高架下という立地のおかげで影響は最小限に抑えられた。

前日とほぼ同じブランドが出展したが、この日限定でサイクルアパレルブランドのステムデザインも登場。

試乗受付では改正道交法を解説した冊子が配布されるなど、安全啓発の取り組みも印象的だった。

約200mの試乗コースながら、風の強まるなかでも多くの来場者が最新バイクの走りを確かめ、会場は終始活気に包まれていた。



個性あふれるミニベロの世界。小さくたためて、走りもすごい
2会場で実際に乗ることができた試乗車から、とくに気になった4モデルを紹介する。
iruka/iruka X


会場で注目を集めたモデルのひとつが、東京発のフォールディングバイクブランド=irukaの新作iruka Xだ。これまで内装変速を搭載した2モデルを販売していたが、初の外装変速モデルを投入。メインフレームは、従来モデルと共通するが、後輪を支えるリアフレームを新たに設計することで、外装変速機でもコンパクトになるフォールディング性能を継承した。
折りたたみは、メインフレーム下に前後輪を格納するスタイル。フロントフォークが片持ちなので、折りたたんだときの幅が抑えられている。後輪だけをたたんだ状態で自立するため、スタンド不要で省スペースでの駐輪が可能。前後輪を格納すると、フレーム下側にある小さなキャスターが接地し、サドルを伸ばしたままコロコロと押して歩ける。
走行性能は、18×1.25インチの細いタイヤと高剛性フレームにより、ロードバイクライクな鋭い加速とハンドリングを実現している。洗練されたデザインと機能美も大きな魅力だ。
価格 269,800円
iruka https://www.iruka.tokyo/ja
バーディー/クラシックEVO


ドイツ生まれの名作フォールディングバイク、バーディー/クラシックEVOは、グラベル対応モデルとして進化。18×2インチのシュワルベ/ビリーボンカーズという人気のグラベルタイヤを装着。見た目もSUV風な仕上がりだ。コンポーネントは、シマノ/ティアグラの10段変速と、TRPのメカニカルディスクブレーキを搭載している。
走り出した瞬間にワイドなタイヤによる乗り心地のよさを強く感じた。しかし、走りはもったりとすることなく、ペダルを踏むほどにスイスイと気持ちよく加速する。ハンドリングも自然で、体重移動に対して軽快にカーブを繰り返せる。蟹江町会場の隅にあった未舗装部分を走ってみたが、小径であることを忘れるほどグイグイ走れた。大径のマウンテンバイクほどの走りはできなくても、キャンプ場内の未舗装路での使用や、比較的路面の荒れていない林道をツーリングするのも楽しそう。高い剛性感、変速のスムーズさ、安心できる制動力。フォールディング性能はそのままに、格段に進化した走行性能に衝撃を受けた。
価格 352,000円(カラー:インクチタニウム)
パシフィックサイクルズジャパン https://pacific-cycles-japan.com/birdy/index.html
タイレル/イヴ

ハイスピードで楽しく走れるミニベロを数多くリリースしているタイレル。イヴは、日常的なアーバンユースから、折りたたんでクルマに積んで出かけるような用途にぴったりのカジュアルな1台。変速機は、シマノ/クラリスの8段変速仕様。急な雨や雨上がりのライドでうれしいフェンダーも標準装備されている。試乗車には、オプションの専用リアキャリアが付属していた。小さなキャスターが付いているので、折りたたんだ状態でコロコロと転がして動かせる。また、折りたたまない状態で車体を90度まで起こすと、このラックがスタンドとなり、バイクを直立した状態で保管できる。そう、自宅内での置き場にも困らない設計なのだ。
ハンドルの位置やフレームの設計から、視野の広いアップライトなポジションになる。スポーツ自転車に慣れていない人が、買い物や通勤、通学など普段使いする人にも薦めたい。タイヤサイズは、18×1.5インチ。見た目から想像する以上に加速感が良く、スピーディーなライドを楽しめた。クロモリフレームの恩恵か、乗り心地もよく、細めのタイヤにありがちな地面からの振動を激しく伝えるような感覚もなかった。町の風景にもなじみやすいキュートなデザインと、そんな見た目を裏切るスポーティーな走りが同居した魅力的な1台だ。
価格 本体 239,800円、専用リアキャリア 15,400円
ミズタニ自転車/アイヴエモーション https://www.tyrellbike.com/
ブロンプトン/Gライン

イギリスのロンドンにある工場で生産を続けるブロンプトンは、日本でも多くのファンを獲得している人気ブランド。Gラインは、2025年に日本での発売を開始。特徴は、従来の16インチではなく、20インチのグラベルタイヤを装着していること。さらに油圧ディスクブレーキと、シマノ/アルフィーネの内装8段変速を搭載。フレームの形状や、フォールディングのギミックは、従来品とほぼ同じだが、ステムとシートポストの組み合わせで3種類のサイズが用意されている。
試乗車は、Mサイズ。ブロンプトンらしい、前傾姿勢がきつすぎないポジションは、多くの人に馴染みやすいだろう。体にやさしい乗り心地と、直進安定性の高さから、ゆったりとクルージングしたくなるような走りを楽しめた。タイヤは、シュワルベ/Gワンオールラウンドで、サイズは20×2.1インチ。グラベルも走れるけれど、どちらかというと、サイドタン仕様による落ち着いた雰囲気や、上質な乗り心地を重視したラグジュアリーな路線を狙ったものではないかと想像する。
従来のブロンプトンと比べると、タイヤサイズが大きくなった分だけ、折りたたみサイズも大きくなり、パーツ構成などにより約13.9kg~と重量も増えている。クルマに積んで行き、出かけた先を散策するような使い方がよく似合う。

価格 545,600円(マッドガード、ラックなし)
ブロンプトンジャパン https://jp.brompton.com/
もはや反則級!?回転が止まらない魔法のハブの世界

GOKISOのブースには、ブロンプトン/Gラインなどに同社のハブを装着した試乗車を用意。走り出した瞬間に、ス~っと軽々進む異次元の感覚に襲われた。ペダルを漕ぐ足を止めてもスイスイと走り続ける。前後のハブを交換するだけで、ここまで走りが軽くなるとは。蟹江町の会場に来ていたマウンテンバイクライダーの柳原康弘さん曰く「これ、ほとんどEバイクの感覚だよね。ペダルを踏まないでも進むんだから」と。まさに至高のカスタムだ。ちなみに、ハブの価格は前後セットで30万円オーバー。Gラインに装着する場合は、変速機を外装にする必要もあるので、さらに高額になる。また、GOKISOのハブには、バーディーやタイレルなどに装備できるモデルもあるので、気になる方はショップへ行って相談してみよう。
GOKISO https://www.gokiso.jp/ja/
今後の開催にも期待
ミニベロの進化と多様性を存分に体感できた2日間。両主催者によれば、今後も継続開催を予定しているという。最新情報は公式サイトでチェックしてほしい。
■蟹江町サイクルフェス
蟹江町観光交流センター 祭人 https://saito-kanie.jp/
■ナゴヤミニベロフェス
GO CYCLE https://www.gocycle.jp/







