この時期はね、どうにも寒さに気を取られるといいますか、そのせいでついつい注意散漫になりがちです。冬場は事故やトラブルが起こりやすいとも聞き及んでおりますし、海では海水温の低下が体への負荷を強め、思いがけないアクシデントにつながることも少なくありません。
そんな折、先月になりますが、人工呼吸を含む「心肺蘇生法」を受講する機会がありましてね。今日はその体験を、少しシェアさせていただこうと思います、はい。
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いざという時のために、誰もができるように。救急法を身につける
場所は以前にもご紹介しました、高知県四万十市にある友人のサーファーが運営するキャンプ場「Laki Lani On The Beach」。平野海岸という、高知が誇るサーフポイントのすぐ目の前です。

僕が知る限り、日本で最もポイントに近いキャンプ場ではないでしょうか。視界を遮る人工物はほとんどなく、ただただワイルドな海岸線が続く。その前に立つだけで、自分の奥に眠っている太古の「野生の魂」が目を覚ますような気さえします。
シャワー、トイレ、水回りも十分で、じっくりサーフキャンプを楽しむには最高の環境。ぜひ皆さんにも訪れてみてほしい場所です。
Laki Lani On The Beach
公式HP https://lakilanionthebeach.com/

海や山だけじゃない「その時」は突然やってくる
この日の海は少し荒れ気味でね、残念ながらサーフィンには至りませんでした。しかし、その代わりに得た体験が素晴らしかった。むしろ、ある程度海で経験を積んだサーファーこそ身に付けておくべきスキルかもしれません。それが、緊急時の「心肺蘇生法」を学ぶことでした。
「海の救急法」と題された講習は、僕のライブの日に合わせて日中に開催されました。講師は四万十消防署に勤務されている上岡さん。彼自身サーファーということでね、変に緊張することもなく、最初から親しみのある空気感の中で参加できました。

実は今年の春ごろ、父が風呂場で倒れたことがありましてね。あの時はさすがに血の気が引きましたよ。ただ、学生時代にプールの監視員として働いていたことがあったので、気道確保や声かけ、心臓マッサージなど、ぼんやりとした記憶のおかげで、一応は落ち着いて行動できたと思います。幸い父はすぐに意識を取り戻し、その場は何とかしのげたのですが、曖昧な知識のままでは心許ないと強く感じたのです。その思いもあって、今回の受講は本当にありがたいものでした。
だって、しっかり身につけることができればね、人の命を救うことができるのですから。僕が暮らす九州・熊本も比較的災害の多い地域です。僕の生活圏は田舎ですが、交通事故だって稀に起こります。そんな時に確かな知識があれば、迷わず現場へ駆け寄ることができますものね。
まずは声を掛ける! これが救急救命の第一歩
さて、いよいよ上岡先生の講義が始まります。この日は普段の講習でも使用されるダミーの上半身と、AED(自動体外式除細動器)を持ってきてくださいました。
ここからは、上岡先生の監修のもと、救命の手順を簡潔にまとめておきます。

【救急救命の手順】
● 周囲が安全と判断できれば、倒れている人へ駆け寄る
● 「どうしました? 大丈夫ですか?」と声を掛ける
● 反応がなければ、周囲への協力依頼
・「誰かいませんか! 手を貸してください!」
・「あなたは119番に電話してください」
・「あなたはAEDを持ってきてください」
(個別に指示した方が動いてもらいやすい)

● 呼吸の確認
相手の顔に自分の頬を近づけて呼吸を感じ取る。胸やお腹の上下も確認する。
● 呼吸がなければ心臓マッサージ
胸の横にひざまずき、両掌を胸の真ん中に重ねて垂直に押す。
3秒間に2回(1分間に100回)のペースで30回。
● 30回の後、人工呼吸を2回
顎を上げ、鼻をつまみ、胸の膨らみを確認しつつ行う(6秒で1回が目安)。
● その後、再び心臓マッサージ。これを繰り返す。
● AEDが到着したらすぐに使用
説明アナウンスに従うだけでよい。
(なお人工呼吸は必須ではなく、ためらう場合は心臓マッサージのみでもよい)
以上が一連の救命行動となります。
心臓マッサージは、思ったよりも力が要る!
さて、実践して驚いたことがいくつかあります。
まず心臓マッサージ。記憶よりもはるかに力が要る。しっかり押さなければダミーの胸は凹まないように設定されていて、思っていた以上の力が必要でした。優しいタッチで済むような甘いものではありません。

上岡さんによれば、高齢者の場合など、肋骨を折ってしまうこともあるとのこと。しかし骨折を心配して手加減をしてはならない、と。いや、本当に受講してよかった。知らずに現場に遭遇し行動を起こしたとしても、心配停止の人の胸をさすってるも同然の、とんでもない間抜けな人になっていたかもしれませんからね。
余談ですが、上岡さんの声の力強さ、要点を射抜く言葉、無駄のない動作。それらはまるで、三島由紀夫が東大の学生に向けて行ったあの演説を彷彿とさせるほどでした。ただ、上岡さんの講義が違うのは、その行動が“本当に命を救う”という点ですのでね、比べるまでもありませんが。最近、「三島由紀夫語録」なるものにハマってるので、つい。
さてさて、さらに重要なのは、周囲への声かけ。確かな知識を持っている人間が、はっきりと指示を出す。救急車が来るまでの数分が生死を分けるわけですからね、うん。
たった1時間の講習。だけど人の命が救えるかもしれない
そしてAEDの存在ね。これは、人による蘇生法よりも最優先されるべき道具だそうです。迅速に使われたときの生存・社会復帰率は「約40〜50%」とも言われています。
ただし現実には、目撃者・AEDの所在・ショック実施がそろうケースはそれほど多くないみたいです。だからこそ、通報、心臓マッサージ、AED使用を、少しでも多くの人ができるように知識を共有することが、救命率を上げるカギになるのだと思います。

そしてね、意外だったのですが、わりと簡単だったのです、AEDの使用については。アナウンスに従えば迷うことはまずありません。実際に触ってみるまでは、医療従事者だけのものかと思っていたのですが、完全に誤解でしたね。無知って本当に恐ろしいものです。
講習は数名の参加者がそれぞれデモンストレーションを行い、指摘し合い、時折上岡さんにアドバイスをいただきながら、およそ1時間で終了しました。短いながらもとても充実した時間でした。

とはいえ、人は忘れる生き物。まして本番となれば緊迫感も桁違いです。だからこそ、定期的に学び直すことが大事だと感じました。年に一度とは言わないまでも、思い出した時に枕やクッションなんかを使って練習しておこうと思います。
サーファーとしてだけでなく、社会生活者の一人としてね。万が一の場面に備えておくために。

今回のおすすめの一曲
Way Dynamic「Hurricane」
東田トモヒロNEWS
【2025.12.26(FRI) 東田トモヒロ&SLOW JAM 「 Year End Live 」@ 横浜THUMBS UP】&SLOW JAM 「 Year End Live 」@ 横浜THUMBS UP】

■日時、会場、料金
2025/12/26(FRI)@横浜THUMBS UP
OPEN 18:00/START 19:00
ADV¥3500/DOOR¥4000
※小学生以下無料、学割2000円
1ドリンク+1フードのオーダーをお願いします。
■LIVE
東田トモヒロ&SLOW JAM
小山善章(Bass)
三好正晃(Gt)
山口大輔(Drums)
■DJ
EZZY
■TICKET&INFO
横浜THUMBS UP
横浜市西区南幸2-1-22 相鉄Movil3F
TEL:045-314-8705
https://www.stovesyokohama.com/







