
11月6日夜から7日にかけて、おうし座のプレアデス星団(すばる)の星々が月に隠されるプレアデス星団食が起きます。月は満月に近く、観測のハードルは高いのですが、双眼鏡や望遠鏡を使ってトライ!
望遠鏡で観察したいプレアデス星団食
「食」というのは、ある天体が別の天体を隠す現象のことです。月は見かけが大きな天体ですから、惑星や恒星の前を横切って隠すことはよくあることです。月の通り道は太陽の通り道(黄道)に近いので、黄道付近の星座の星が隠されることもよくあります。今回隠されるプレアデス星団は黄道十二星座のおうし座にある星団です。
今年は3月5〜6日、8月16〜17日、そして今回と、3回のプレアデス星団食がありました。実は12月31日にも見られます。その中で今回はいちばん難易度が高そうです。というのも、月齢16と、ほぼ満月に近いからです。すばるの星の一つ一つは暗いため、明るい月の光にかき消されてしまいます。

プレアデス星団はアトラス・プレイオネ夫妻の一家集合
プレアデス星団は若い星が集まった散開星団です。日本では「すばる」の名で知られますね。月明かりがない日なら肉眼でも見ることができますが、青く輝いて見えることでしょう。生まれて1億年くらいの非常に若い星たちです。

プレアデス星団の由来はギリシア神話です。プレアデス星団の星々は、天球を担いだ姿で有名なアトラスの神と海の女神プレイオネとの間に生まれた7人姉妹たちの星です。かつては肉眼で見やすかった7つの星が7人姉妹と同一視されていたと考えられています。
現代では6等より明るい9個の星に父アトラスと母プレイオネ、そして7人姉妹の名前がつけられています。つまりプレアデス星団はアトラス・プレイオネ一家なのです。実際には、一家どころの数ではなく、少なくとも数百個以上の星の集まりです。
今回、東京から見た場合に月に隠される星はアステローぺやタイゲタ。また、ケライノーが月の淵をかすめながら隠れていきます。隠される星は、地域によって増減します。
月の光がかなり明るいため、これら星が隠れる瞬間や、かすめる瞬間を観察するのは肉眼ではムリで、双眼鏡でもきびしいかもしれません。できれば望遠鏡で観察したいところです。もっとも、どのように見えるかは実際に見てみないことにはわかりません。満月過ぎの月と7人姉妹の駆け引きをお楽しみください。

食は7日の深夜1時頃に終わります。その頃の夜空には冬の星座が勢ぞろいしています。今年はふたご座の近くに木星もいて、豪華な冬の星座がいちだんとにぎやかです。
構成/佐藤恵菜








