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教えてくれた人 シュラスコクイーン 貝原那奈さん

教わった人 編集 ハラボー

シュラスコはノウハウよりもハートが大切!
「Olá!!(こんにちは)」
人懐こい笑顔とハグで迎えてくれたのは、ブラジル出身、シュラスコクイーンの貝原那奈さん。シュラスコを通じて、ブラジルの食文化を日本の食卓に届けるべく、日々奔走している。
シュラスコとは、串に刺した塊肉をじっくり炭火で焼き上げる、シンプルな肉料理。いわゆるブラジル版BBQだ。今回訪れたイベント会場にも、これでもか! といわんばかりに塊肉がズラズラ〜ッと鎮座。6時間かけて焼く巨大肉もあるとか。
「ブラジルでは、毎週末のように、シュラスコをやっていますよ。大切な家族や仲間と楽しい時間を過ごすのに欠かせない、イベントのようなもの。パーティー感覚でワクワクを楽しみたいときにみんなで集まります」
どうやら、シュラスコはただの肉料理ではなく、ブラジルの食文化そのもののようだ。今回は編集部イチの肉好きハラボーが、そんなシュラスコを体感すべく、貝原さんに弟子入り!
「早速ですが、シュラスコに欠かせないものってなんですか?」
「串と塊肉と笑顔! ハッピーなら、何を食べても美味しい!!」
「それなら私にもできそう!」
笑顔には定評があるハラボーが、満面の笑みで応える。
「ノウハウよりもハートが大切」
これぞラテン系!! が、このノリで6時間乗り切れるのか!?
HOTなシュラスコイベントに潜入!

日本シュラスコ協会が主催するイベントで、本場シュラスコを体感! サンバが流れる会場は、炭火の炎も合わさり熱気ムンムン。6時間かけて塊肉を楽しんだ。

どこからともなく、サンバのリズムが聞こえてくる
串に肉を刺し、塩をふって炭火で焼くシュラスコ。実に原始的で、一見簡単そうに見える。
「大切なのは焼き方。同じ肉でも、焼く人によって味が全然違うんです」
と、貝原さん。そこで活躍するのが、この焼き台。なんと収納ラックを活用したオリジナルだ。
「ラックの高さが調整できるので、簡単に弱火強火をコントロールできるんです」
下段は強火ゾーン、真ん中は弱火ゾーン。上段は煙で燻しながら肉を温かくキープできる。
「でも、石でカマドを作ってもいいし、高さがコントロールできればなんでもいいんですよ」
肉をほったらかしにはできないが、「もう少し焼いてみよう」「もう焼けたかな?」と、仲間でワイワイ楽しみながら、気楽に焼けばいいのだとも。
「決まり事はありません。切ってみて火が通ってなければ、また焼けばいいんですよ」
炭火の前で肉と対話すること数時間。ビール片手にとはいえ、炎天下ではなかなかの苦行。やっと焼き上げ、ホッとひと息。のつもりが……どこからともなく、サンバのリズムが流れだす!
「ほらほら、行くわよ!!」
貝原さんに手をとられ、みんなの輪の中に。
「シュラスコに欠かせないモノがもうひとつ! Let’sダンス!!」
「こんなご褒美(!?)もあり〜」
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ナイフ

塊肉なので、刃渡りの大きいもののほうが切りやすい。肉の繊維を壊さないように、毎回研いで切れ味を保っておくことが大事。
スキュアー


全長65㎝前後のステンレス製の串。肉の大きさに合わせて、太め&細め、ソーセージ用のツインバージョンやグリル網もあると便利。
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収納棚を使ったオリジナル焼き台

収納棚のフレームを使えば、焼く高さを3段階に調節できる。最下段には棚板を設置して火床に。ほかの棚板も風除けとして活用。


炭を円柱形に積み上げ、新聞紙を捻った着火剤を中央に入れて点火。
シュラスコの作り方
肉の掃除をする

肉の筋は加熱時に肉が縮む原因になるので、太いものは取り除いておく。食感も良くなる。脂が多すぎる場合は削っておくといい。
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塊にカット

指4本分の幅に合わせて切ると、ちょうどいいサイズになる。繊維を壊さないよう、よく研いだナイフを使って1〜2回で切り落とす。
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スキュアーに刺す


脂身の部分を外側に向け、U字になるように少し丸めて串に刺す。お腹を支点にして串を支え、肉の中心にゆっくりと串を通す。
ソーセージの刺し方

太めのソーセージを10本ぐらい並べる。長いものは、二股に分かれた串を使うといい。
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串の間に指を2本入れ、刺していくうちに幅が狭まらないよう、しっかり固定して刺す。

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塩をふる

全体に岩塩をふりかけ、よくもみ込む。時間をかけて焼くので、粒が粗いほうがゆっくりと塩が溶けて、肉に少しずつしみ込む。
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焼き上げる

まずは下段で強火に当て、焼き目をつける。牛肉はそのまま脂がカリッとするまで炙る。豚肉は中段に移し、弱火でじっくり火を通す。

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仕上げ&カット

焼き上がった串を上段に上げ、しばらく肉汁を落ち着かせる。余分な塩を落とし、ナイフを使って外側から薄く削ぎ落とす。


鶏モモ肉
コーシャ・デ・フランゴ
崩れやすい鶏肉は、網に挟むと焼きやすい。淡白なのでスパイスと絡めても◎。

鶏ハツ
コラソン・デ・フランゴ
鶏の心臓部分。プリプリした食感が楽しく、一度食べるとクセになる味わい。

牛バラ
コステラ
あばら骨がついた、最も大きな塊肉。5〜6時間かけて焼く。骨ごと切り分けていただく。


持てない〜。

パイナップル(上の写真・上段右)
アバカシ
口の中をサッパリさせるフルーツも人気。好みでシナモンをふるのもいい。

サラダ・デ・フェイジョン(同・上段中右)
毎日のように食べられる豆。茹でて生野菜と合わせ、お酢とオリーブオイル、塩コショウで和える。
ヴィナグレッチ(同・上段中左)
シュラスコソースの大定番。野菜をお酢とオリーブオイルで和え、塩コショウで味付け。
ソーセージ(同・下段右)
リングイッサ
太くてボリューミーなブラジル式生ソーセージ。粗挽きのプリッとした食感が◎。

豚肩ロース(同・下段中央)
ロンボ・デ・ポルコ
きめ細かで柔らかな肉質が特徴。パンチのあるソースと合わせると美味。

チミチュリソース
アルゼンチン発の酸味のあるソース。タマネギ、パセリ、ニンニク、青唐辛子などが入っている。
イチボ(同・下段左)
ピッカーニャ
シュラスコの代名詞ともいえる部位で、いちばん人気。レアでいただきたい。

旨い SIDE DISH

岩塩だけのシンプルな味付けなので、酸味のあるソースと合わせることが多い。

ポンデケージョやボリーニョなどの惣菜も一緒に。
※構成/大石裕美 撮影/三浦孝明
協力/日本シュラスコ協会 https://jpchurrasco.com、ラテン大和 https://www.latinyamato.co.jp/
(BE-PAL 2025年11月号より)







