
- Source
ご褒美♡満腹グルメハイクin 山口県周防大島

高校卓球部(遠い昔)の部長ぶっしゅと平部員で現ライターまつのコンビ。ぶっしゅは屋久島での登山経験もあり余裕。まつはひざ痛で不安度200%だが、下山後のグルメを鼻先にぶら下げて出発~!
極上の下山グルメをめざして3座制覇にチャレンジ!

日本でアルプスといえば本州中央部の3つの山脈をさすが、あるんです、瀬戸内海にも!
「瀬戸内アルプス」の愛称で親しまれ、標高650m前後の4座をつなぐルートが整備されているのは、山口県東部の周防大島。広島県と愛媛県に接する県境の島だ。本土とは大島大橋で結ばれていて、アクセスも楽。日帰り登山にはもってこいだ。
「縦走すれば、下山後は島のグルメを食べ放題(でしたよね?)」、という編集部の指令を受け、3座(文珠山~嘉納山~嵩山)の縦走にトライすることにした。同行してくれるのは高校の同級生、ぶっしゅ女史。体力も気力も満点だ(私と違って)。
3座縦走は往復約5時間半と、自分の体力を考えるとかなり厳しい。が、裏ワザがあった! 車2台で現地に入り、ゴールの嵩山駐車場に1台を駐車。もう1台でスタート地点の文珠堂に向かい、往復を回避する方法だ。所要時間を2時間ほど短縮できる。とはいえ、私は、30分で登れる標高266mの山を90分かけて登った女である。肥満体型かつひざ痛持ち。登りは心臓、下りはひざが悲鳴を上げる仕様の体の持ち主なのだ……。
朝7時すぎ、不安を抱えたまま文珠堂登山口を出発した。ゴールの目標は14時。目当てのラーメン屋の閉店時間、15時を考えると、それがギリギリだ。
登山口から文珠山までの標準コースタイムは40分。ほぼ登りで、急な階段や坂道が続く0.9㎞の道のりだ。ワンゲル部出身のカメラマンO氏が「ゆっくりでOKだよ」とスローペースで先導してくれたので、苦しいながらも進むことができた。ただ、自分でも引くほど、大量の汗が出るのには参った。
文珠山頂上へは1時間ほどで到着。このペースならまずまずかもと、20分ほど休憩して、2座目の嘉納山へ向かった。このルートは緩やかなアップダウンの繰り返しだ。ハァハァしながらも最後尾をマイペースで進む。ちなみにぶっしゅ女史は息も切らさず、足取りも超軽やか。まったく、うらやまし~。
瀬戸内アルプスの最高峰、嘉納山頂上へ着いたのは9時40分。あと1座と思うと、頭の中にラーメンが浮かんできた!
しかし、このあたりから私の体に想定外の悲劇が起きた。ひざ痛は想定内なのだが、あまりの汗のかきっぷりに、アブがぶんぶん体の周りにまとわりつき、あわよくば刺そうとしてくるため、歩きに集中できない(涙)。
休憩もそこそこ、アブに追い立てられるように、ゴールとなる嵩山に向かって出発した。標準タイムは1時間40分、距離にして4㎞だ。このペースなら、ゴールは12時前後⁉ 島グルメ、食べまくるぞー。うししし。
と、思ったが、人生は甘くない。事前に入手した資料には、嘉納山~嵩山は「登ったり下ったりを繰り返す」と記されていた。しかし、ひざ痛持ちの私にとっては「急な下り坂の連続」だった。トレッキングポールの助けを借り、ヨイショ、ヨイショ、とつぶやきつつ、アブを払い、一歩一歩、進んでいく(辛)。
こんなに下りが続くってことは、最後はきっと……、と思ったら、やはり最後の1㎞はつづら折りの登りだった。ヒー。
最終的には秒速20㎝にスピードダウンしたものの、ゴールの嵩山には瀬戸内海を一望する絶景が待っていた! 最後の最後にこんな風景が見られるなんて、神様と自分の体に感謝せねば。カメラマンO氏も「よく頑張った、えらいっ! まっちゃん、歩くだけで歩荷訓練(重い荷物を背負って山を登るトレーニング)だもんね」ですと(泣)。
嵩山でおやつ休憩をとったあとは、念願の島グルメ食べ放題へ! いりこ出汁の名物ラーメンを皮切りに、個人的に大好きな大島産ひじきの中でも極上品を使ったピザ、島で育てた新鮮なフルーツで作るジャム屋さんの果実たっぷりスイーツと、時間の許す限りグルメや買い物を満喫。最後は海水を汲み上げて沸かす伝統の「潮風呂」で疲れを癒やし、帰途に就いたのだった(ぶっしゅの運転で)。
COURSE TIME 3時間20分
瀬戸内アルプス 684.9m

文珠山・嘉納山・源明山・嵩山の4座は瀬戸内アルプスと呼ばれ、ハイキングコースとして親しまれている。今回は源明山をのぞく3座の縦走を目指す。どの山も標高は650m前後。文殊堂~文珠山(0.9㎞)~嘉納山(2㎞)~嵩山(4㎞)。
スタート地点、文珠堂で登山の安全を祈願!
7:20 短いけど緩急があるルート

弘法大師によって開山されたと伝わる文珠堂。安全と無事にゴールできるように参拝をした(知恵の神様だけど)。
↓

境内にある急な階段が登山口。文珠山までは約40分、のはず。
↓

ほぼ登りで、汗ダラダラ。案内標識に「急登がんばって」の文字を見つけ、元気をもらう。

↓
8:20 文珠山山頂到着~!

標準時間より遅れること20分で到着! 360度のパノラマのはずが、何も見えず……。
文珠山 標高662.7m

↓

頂上にある展望台。1階は避難所になっている。2階には無料の望遠鏡も設置されている。
↓
嘉納山へ出発~!

8:50 起伏が少なく歩きやすい!
文珠山~嘉納山

嘉納山へは標準タイム約1時間。コースは緩やかな登りや下りで、ひざへの負担も少なく歩きやすい。ぶっしゅは余裕の表情。
↓

嘉納山まで800mの標識を見つけ、しばし休憩。要所要所に案内板があるので、道に迷うことはない。
↓

草ボーボーの場所に黄色い三角の札を発見! まさかここが頂上⁉ 拍子抜けしたが、三角点だった(汗)。
↓
9:40 山頂には旧日本軍砲台跡が!
嘉納山山頂到着! 標高684.9m

周防大島の最高峰で4座の中心、嘉納山に到着。頂上は旧日本軍の砲台跡を利用した広場になっている。2座を制覇し少し余裕ができた。
本当の地獄はここから始まった!
9:55 急な下りの連続に体が悲鳴を上げる!
嘉納山~嵩山

残りは1座。嵩山を目指してスタート。周防大島は噴出したマグマによって作られた島。道中、大小の岩石塊を多数含む巨大な集塊岩を発見!
↓

下っても下っても急な階段が続き、スローペースに拍車がかかる。
↓

歩道終点まで300m。嵩山山頂までの表記じゃないのが不安……。
↓

終わった。。。
竹林の下り地獄。地面がフカフカで歩きづらい。余裕があれば「京都みたい♡」と叫びたいところだが。
↓
最後の登りにガクゼン

あれだけ下れば最後は登り? 予想どおり、最後1㎞はつづら折りの登りが待っていた。
↓
12:30 ヘロヘロながら、ついに3座を制覇!
GOAL
嵩山山頂到着! 標高618.5m

「生きてここまでたどり着けた。。。」
嵩山山頂は快晴! 展望台から瀬戸内海の多島美を満喫。このあと絶景の展望テラスに移動し、おやつタイム♡


山頂で至福のおやつタイム

周防大島はミカンの栽培が盛ん。誰もいなかったので、展望テラスでミカンのお菓子でティータイム。
みかん羊羹 ¥1,100
みかん最中 ¥170
みかん島 ¥170

↓
体力ゼロから20000まで回復⁉ 下山後のごほうびメシを満喫♡
地元民で大にぎわい!
いりこラーメン

いりこの豊かな香りが広がるさっぱり味の中華そば。分厚いチャーシューも美味。700円。
たちばなや
住所:山口県大島郡周防大島町西安下庄真宮1-1
電話:0820(77)0132
営業時間:11:00~15:00
定休日:月、火、水曜日

海を眺める薪窯料理店
超希少! 新芽の極上ひじきを使ったピザ!

沖家室ひじきと自家製スモーク鯛のピザ。玄米粉を配合した生地は薄めでパリパリ。唯一無二の味わい。2,300円。
沖家室ひじき

間違いなし!
サルワーレではピザに使っているひじきを販売。最高の新芽を厳選。1,100円。
島生姜シロップ

激うまドリンクに!
自家栽培生姜に橙とてんさい糖を加えて煮込んだ濃密なシロップ。サルワーレや道の駅などで購入可能。1,200円。
サルワーレ
住所:山口県大島郡周防大島町志佐1-1
電話:090-7136-8094
HP:https://saruwa-re.com/

島のフルーツをアレンジしたジャム&スイーツ!

地域活性化に貢献しているジャム専門店で、カフェも併設。旬の果実を使ったデザートは絶品。疲れが吹き飛ぶ~。
ジャムトースト
¥600

まるごと桃のヴェリーヌ
¥1,180

ジャムズスカッシュ
¥550

瀬戸内ジャムズガーデン
住所:山口県大島郡周防大島町日前331-8
電話:0820(73)0002
HP:https://www.jams-garden.com/

おみやげを買うならココ!

いりこやひじきなどの海産物をはじめジャムやみかんなど、島グルメを一挙にゲットできる。レストランもある。

道の駅 サザンセトとうわ
住所:山口県大島郡周防大島町大字西方1958-77
電話:0820(78)0033
HP:https://sazan-seto.com
下山後は汗を流してさっぱり~♨

入浴施設は3か所。今回は海水を汲み上げて沸かす「潮風呂」に入ることに!
グリーンステイながうら 潮風呂保養館
住所:山口県大島郡周防大島町大字椋野1144-1
電話:0820(79)0021
営業時間:10:00~20:00
定休日:火曜
※構成/松村由美子 撮影/奥田高文
(BE-PAL 2025年10月号より)
ハイクに良い季節!どこかに行きたくなったら…ビーパル10月号をお見逃しなく!

※一部地域では発売日が異なります。
※電子版には特別付録が付きません。
※付録は赤・緑のどちらかが入っています。