クモの巣拓、捕虫網づくり…自然界の凄腕ハンター、身近なクモと遊んでみよう! | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

自然観察・昆虫

2025.09.26

クモの巣拓、捕虫網づくり…自然界の凄腕ハンター、身近なクモと遊んでみよう!

クモの巣拓、捕虫網づくり…自然界の凄腕ハンター、身近なクモと遊んでみよう!
多彩なキャラがひしめく甲虫やチョウに比べると、同じムシでも地味さを否めないのがクモ類。でも、遊び相手としては最高に面白いヤツらなのだ。

日本にいるクモはおよそ1600種類!

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水にも潜れる
ハシリグモ
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どうです、
このセンス!

「6本脚の昆虫にはけっこうシンパシーを感じますけど、クモを興味の対象と考えたことはないですねえ。脚が8本あるということは……えっ、つまりダニの仲間じゃないかあ!」
 
あまり気乗りのしない顔でやってきた編集・オガチン。クモという生き物の奥深い魅力を知らないようだ。アウトドア誌の編集者がそんなことでは、世のムシ嫌いは増えるばかり。そういうときは徹底した座学からだ。
 
日本には約1600種類のクモがいるとされる。ひとくちにクモといっても、じつにさまざまな習性を持っている。
 
クモといえば、糸で放射状の網をつくり、獲物がかかるのをじっと待っている印象が強い。だが漫然と巣を張っているわけではない。猟師が足跡から獣の行動を推測するように、クモも獲物の昆虫が飛ぶコースを見ているのだ。網をつくるときも、足場にする経糸には粘らない糸を、緯糸には捕獲機能の高い粘る糸をというふうに使い分ける。
 
粘らない糸で迷路状の巣をつくり、そこに獲物を誘い込むトラッパー(罠師)みたいな種類がいるかと思えば、道具(網)に頼らず、高いフィジカル能力で獲物を捕捉するクモもいる。

「なるほど~。狩猟になぞらえると習性がわかりやすいし、面白いですね」(オガチン)
 
生存戦略にも知恵がいっぱいだ。理論上、羽のないクモは遠くへ移動することが難しい。にもかかわらず、同じ種類が広範囲に分布する。これにも糸が関わっている。クモの幼体は独り立ちの時期が来ると高い場所に登り、尻から糸を吹き出す。その糸を風に乗せて空を飛ぶのだ。
 
今回は、このクモの巣を使った3つの遊び(イタズラ)にチャレンジ。インターネットでは体験できない“リアルネット”ならではの興奮をお届けしよう。

クモの巣を使った遊び3選

1 巣拓をとってアート作品に!

基本の道具

霧吹き+水 巣の大きさと形を確認する

黒紙 B5サイズ以上のものがよい

白のスプレー塗料(水性)透明な糸を目立たせる

段ボール紙 塗料の余分な飛散を防ぐ

透明スプレー塗料(水性)写し取った巣を被膜で守る

スプレー糊 巣を黒紙に密着させる

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透明な糸は
霧で可視化
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クモの巣はかすみ網※のように透明で見えにくい。巣拓をとる前に霧吹きで水を吹きかけると、巣の形や大きさがよくわかる。写真は迷路状の巣を水平につくるサラグモの巣。

※かすみ網…かつて野鳥の猟に使われた、見えにくい極細の糸でつくられた刺し網。乱獲を助長することから、1947年以降は禁止猟具に。
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巣拓をとりやすいのはほぼ垂直の円網をつくるアシナガグモ(写真)、ジョロウグモ、オニグモ、コガネグモ。霧吹きの水滴が乾いたらクモを移動させ白のスプレー塗料を吹きかける。
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巣の輪郭がはっきりしたら、スプレー糊を吹きかけ黒紙に写し取る。その後、透明スプレー塗料で表面を保護する。

ゴミグモは寝袋ごと!

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円網中央の寝袋状の物体。じつは、食べたムシの残骸を集めたものだ。寝袋の主はゴミグモ。袋の中に潜み、捕食者の目を逃れている。

2 クモの巣と針金で即席捕虫網づくり

昭和のわんぱく小僧がやっていたムシ捕りの技法がコレ。捕虫網はお坊っちゃんしか買えなかったので、針金で自作した丸い枠を竹にくくりつけ、粘着性のある蜘蛛の巣を張り重ねた。破れやすいのが難だが、よく捕れる。クモの巣がたくさんないとできないが、かなり面白い遊びだ。

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捕れる気が
しないけど……

半信半疑のオガチンだが、昔の遊びの知恵を知って感心しきり。「なんでも買って済ますグッズ依存症、反省します」
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シオカラトンボ捕れた!

針金の枠にクモの巣を絡ませる。大型のクモの巣なら3枚分くらいが目安。捕まえやすいのは木の幹に止まっているセミ。細いものに止まることが多いトンボはクモの巣が破れやすいが、ためらわずに押さえつける。

3 最強のコガネグモを毛バリで騙す

あまたいる日本のクモの中でも横綱級の大物がコガネグモ。その巣に毛バリを振り込んだらどうなるかが、この実験だ。

コガネグモ

黄色と黒の帯が目印!

コガネグモは開けた明るい場所を好む大型のクモ。造網性のクモの中では特に攻撃性が強く、毛バリにもよく反応するので面白い。

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クモは昆虫食だから、渓流魚を釣る毛バリにもアタックするはず。実験してわかったことは、反射的に飛びつくが、ニセモノと知るとすぐに学習して無関心になることだ。ネコジャラシ(エノコログサ)の穂をムシに見立てた毛バリもどきは最初から見破った。ネコより賢いかも。

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えい!
さあ、食いに来い!

自信のあるクモほど引っかかる! リアル「ネット詐欺」

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獲物キターッ!
スルスルスル~
ポトリ

テンカラの要領で巣のやや縁に毛バリを落とすと、すぐに駆け寄ってきた。ムシ感を出すため、少し竿を動かし毛バリを振動させてみる。

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グルグルグルグル~
それ巻け、やれ巻け!

獲物と認識した。毛バリを足で回しながら、尻から大量に出す束状の糸でぐるぐる巻きにした。ここまで本気にさせたら人間の勝ち。

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ちくしょー、引っかかった!
撤退……

「いただきます!」とばかりに噛みつくも、体液も出なければ味もしない。すごすごと元の位置へと帰っていく姿が滑稽だが、次からは騙されない。学習能力は魚並みである。

クモの俊敏さに超びっくり!

クモを間近に観察する機会がなかったので、獲物を糸でぐるぐる巻きにするときの速さにはとても驚きました。
あっ、そういえば巣拓アートはじつは2度失敗しています(笑)。失敗は成功のもと! ですね〜。(オガチン)

今月の里山クイズ

初秋に道端で見かける丸くて白い花。実は誰もが知るあの野菜。その正体は?

里山クイズの答え

答えはニラ。強健なニラは野生化しやすく、畑の近くの土手はもちろん、都市のちょっとした土にも群落をつくる。別の毒草をニラと見誤って誤食する事故が後をたたないが、花の時期は花とにおいのふたつからチェックできるので間違いにくい。食べるなら、今!

※構成/鹿熊 勤 撮影/藤田修平

(BE-PAL 2025年10月号より)

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