
CINEMA 01
純沖縄産のラム酒を! ある爽やかな挑戦
『風のマジム』
(配給:コギトワークス、共同配給:S・D・P)
●監督/芳賀 薫
●脚本/黒川麻衣
●出演/伊藤沙莉、染谷将太、尚玄、シシド・カフカ、眞島秀和、肥後克広、滝藤賢一、富田靖子、高畑淳子
●沖縄県先行公開中、9/12~新宿ピカデリーほか全国公開
©2025 映画「風のマジム」
©原田マハ/講談社


豆腐店を営む祖母と母と暮らし、通信会社の契約社員としてなんとなく働く伊波まじむ。祖母と通うバーでラム酒にハマったまじむは、沖縄のサトウキビでラム酒をつくろう! と思いつき、社内ベンチャーコンクールに応募するが──。
実話を基にした原田マハの小説を「虎に翼」の伊藤沙莉主演で映画化。一見、サトウキビ畑だらけの沖縄で、それを原料にしたラム酒づくりはすんなりいきそう。けれど蒸留所づくり、醸造家探しとつぎつぎに壁が立ちはだかる。特に切れ者でも野心家でもないまじむがあたふたと懸命にもがく姿に、周りの人間はナチュラルに巻き込まれていく。
「人の口に入るものをつくるのは簡単なことでねぇ」と教える祖母、「何かを思いついた人間は覚悟を持たないと」と背中を押す上司。
沖縄の方言で真心(=まじむ)という名前のヒロインが「あきらめたらそこで終わりやからさ」と突き進み、周囲のまっとうなオトナたちに見守られながら成長していく爽やかな人間ドラマ。サトウキビジュースだけでつくられるというまじむのラム酒、どんな味がするのだろう?
CINEMA 02
メキシコ、砂漠のオフロードレース
『デザート・セッド・ダンス』
(配給:レイドバック・コーポレーション)
●監督/リンカーン・カプリス
●9/26~ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
©2021 Mojave Productions

世界最難関といわれる耐久レース「バハ1000」で、約1600㎞に挑むライダーたちを追う。
コースは予想以上に過酷で、こぶこぶな道をスキーのモーグルみたいに進んだり、砂煙を巻き上げて爆走したり。広大な自然、砂漠の美しさを目撃しながら、ただ完走することに集中して雑念が消える静けさ、自分の限界を超えた! と思える充実感と興奮を追体験することに。オートバイが好きでたまらない彼らの、体を酷使してきたからこその説得力ある言葉に注目。
CINEMA 03
いろんな意味で希望! 営農型発電の現場
『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』
(配給:小原浩靖)
●企画・製作・監督・脚本・撮影・編集・主題歌作詞/小原浩靖
●ポレポレ東中野公開中、全国順次公開
©小原浩靖2025

農地に太陽光発電設備を設置し、持続可能な形で農業を行なう「営農型太陽光発電」。耕作放棄地問題を解消し、発電した電気は収入となり、兼業農家の新しいカタチを実践する。原発事故から復活を遂げ、自らの手でエネルギーづくりを始めた若き農業者を追う。
農業者のイキイキと働く姿、芯のある言葉、人をハッとさせる強い笑顔。理想を現実のものにしようと具体的に行動を起こし、確実に前へ進む若者の姿を前に、営農型発電っていろんな意味で希望! と確信。
※構成/浅見祥子
(BE-PAL 2025年10月号より)