それがなんと「洞窟」になっているんです! その大理石の洞窟体験ツアーに参加してきました。さてどれほど王宮感溢れる洞窟なのでしょうか?
どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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前回はこちら↓
いろいろな意味で「想像を超える世界」でした(雪遊び王国オーストリア旅・その4)
場所は前回紹介した「氷の宮殿」からゴンドラを一つ降りた駅から歩いて7~8分程度下った場所。3250メートルから標高は少し下げたけれども、まだまだ軽い高山病状態なのか、下り坂なのにだるさが残ります。

ふと「こんな絶景の中、なんでわざわざそれが見られなくなる洞窟に入るのか」という疑問が浮かんだ私。いやいや、そりゃもう「大理石洞窟」だからです! 迷ったのはたぶん軽い高山病のせい。

その小屋で専用の頑丈そうなコートを羽織り、その裏手にある入口から洞窟に入ります。

他の参加者もいた前回の「氷の宮殿」と異なり、今回はフォトグラファー氏(田所優季さん)と私の2人だけです。
入ってすぐにガイド氏がこんな説明をしてくれます。「この洞窟が形成されたのは1万年以上前。その前はこの洞窟に水が流れていて、その水で岩が削られました。だからこんなグランドキャニオンのような美しい光景が洞窟内で見られるんです。
でも安心してくださいね。現在の水脈はこの下にあるんで、ここでおぼれたりすることはありません。もちろん隙間から雨水が入って流れるくらいのことはありますが」。

なるほどなるほど。今回の洞窟をつくっている「大理石」と見た目がよく似た岩石に「御影石」というのがあります。
「御影石」は風雨にさらされる石材などに使われるのに対して、石灰(炭酸カルシウム)が主成分な「大理石」は酸性雨に弱く風化しやすいため屋内使用が基本。
そんな大理石だからこんなふうに水に削られて、ちょっとグランドキャニオンのような風景を作りあげているのです! すっ、すげえ。

今回は「撮影」と「ボイスメモ」での取材に加えて「軽い高山病」と闘います。
「平行線街道」を突っ走るガイド氏と私。涙
さて洞窟に入って早々「偏光レンズのサングラスではなく普通のメガネにした賢い私」のつもりでしたが…それでも暗い。鳥目がちの私にはこの暗さが辛すぎるのです。正直言うとほとんど足元が見えません。
「ヘッドランプとかないんですか?」と訊いたら「もっと長い探検ツアーのときはつけますけど…」との答え。日本風の明るい洞窟に慣れている私としてはつらいです。
まあ、「レストランとかの照明が我々には暗すぎると感じるのに現地の白人たちには平気」とか「ホテルの部屋が暗すぎる」というのと同じ「ヨーロッパあるある」ですね。
というわけで特に鳥目勝ちの人には「足元を照らすためのヘッドランプ」を持参することをお勧めします!
次にはガイド氏「この中は二酸化炭素の充満で窒息したりすることはありません」と胸を張ります。その理由はもちろん空気の流れがあるから。暖かい空気は軽いので上に、冷たい空気は重いので下に行く。それで夏は上のほうの隙間から冷たい空気が下のほうに流れ、冬は逆に暖かい空気が下から上に流れる。常に空気が循環しているから二酸化炭素中毒になることはないのだそうです。
だ~け~ど!
「洪水」とか「窒息」とか、妙なところで安全性を強調するガイド氏。普通に営業しているんだからそこを心配する客はあまりいないと思ったのですが…今振り返ってみるとここもウケて笑うか「窒息なんてするかいっ!」とツッコミを入れてほしかったのかもしれません。「日本人、ジョークが通じないな」と思われたかな?涙
洞窟の中でチーズも熟成させたそう。確かに「洞窟熟成チーズ」、おいしそうですよね。昨シーズンは50個のチーズを熟成させたけれどももう全部売り切れたとのことで、今年はもっとつくる予定だとか。
「ああ、ここでは人間はアンチエイジングですが、チーズはエイジング(熟成)するんですね」。…一瞬うまいことを言った気分になりましたが、笑ってくれませんでした。なんかジョークがかみ合わない2人。涙
謎の「卵」とか「骨」が登場!
洞窟の中には水たまりがあり、夏はそこで泳げるそう。実際に「嬉々としながら泳いでいる人たち」映像をスマホで見せてもらいました。まあ洞窟の中で空気も水も季節に関係なく気温はほぼ一定なので冬でも泳げるはずなのですが、外に出たあとに夏ならカラダが温まるからOKということなのでしょう。

ドラゴンのような岩があるからで、水の底に卵型の岩があって「ドラゴンエッグ」と呼ばれているのだとか。

ハイキングでも吊り橋があるだけでテンションがあがりますが、洞窟内ということでなおさらです。いよいよ、「探検感」が出てきました。



ここでようやく最初の小屋で頑丈そうなコートに着替えた理由を理解しました。着替えないと自前の服が破れたり傷ついたりするからでしょう! ガイド氏、ナイス!


何かで磨いたかのようにピカピカ感が若干「川口浩探検隊」方向に寄せられてしまっている気がしないでもないですが…「人骨」じゃないから関係ないか。笑
それと相変わらずたとえが古くてすみません。
これらの骨はオオカミとキツネとアルプスに住む小動物マーモットのものだとか。オオカミはもうこのあたりに棲息していないけれどもキツネはいて、今朝も洞窟の中で足跡を見たと言います。

「ん? 馬が洞窟の中に? もしかしたら…」と一瞬ガイド氏の「演出」を疑ったのですが…。
この馬の骨は砂の中に埋もれていて、洞窟発見のときにたまたま出てきたそう。で、ここの歴史に詳しい人に聞いたら、「ケーブルカーができる前に山に物を運んでいたもの。雷雨で死んだものを埋めた」とのことだったそうです。
一方羊の骨は実際にこの洞穴で見つかったもので、おそらくキツネが運んできたとのこと。ここは温度がずっと2度くらいなので、生肉も冷蔵庫のように保てるから狩った獲物の肉を運び入れたのだろうと。
なるほど。一瞬とはいえ「演出」を疑って申し訳ない。すみません、すみません。


この洞窟探検ツアーでは様々な発見がありましたが、その一つが…。ガイド氏は質問に対して、ときおり「ヨー、ヨー」と相槌を打つのです。「それって英語のYes,YesというかYa,Yaみたいな意味ですか?」と問いかけたところそうだとの返事。
じつはフィンランドでも「そうそう!」という意味で「ヨー、ヨー」という人たちに何人か出会いました。なんとフィンランドとオーストリアのこの旅が「ヨー、ヨー」という言葉でつながりました。頭に浮かんだフレーズは「ヨーヨーの国からヨーヨーの国へ!」。…特に名キャッチフレーズでもないですな。笑
さてツアーの終わり。ガイド氏は私とフォトグラファー田所さんの3人で撮った写真をインスタに上げるそう。そのときの説明書きは「地球の反対側の日本とオーストラリアから2人を救出してきました」にするとのこと。座布団1枚あげたくなりました。ようやくジョークが通じ合った~。涙



事前に思っていたのとは違うけれども、様々な新たな発見があった今回の「大理石洞窟探検ツアー」。それもまた旅です。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
取材協力:MOUNTOPOLIS (THE MAYRHOFNER BERGBAHNEN WORLD OF ADVENTURE)
https://www.mayrhofen.at/en/pages/mountopolis-starting-page-winter
マイヤーホーフェンエリアの「冬のアクティビティ」に特化したサイト。
Mayrhofen-Hippach holiday region
https://www.mayrhofen.at/en/
「夏のアクティビティ」も含むマイヤーホーフェンエリアの総合サイト。
オーストリア観光公式(冬のオーストリア旅行について)
https://www.austria.info/ja/inspiration/skiing-and-winter/
Spannagelhohle(大理石洞窟)
https://www.spannagelhoehle.at/english-1/
フィンエアー/Finnair
https://www.finnair.com/jp-ja
「日本から一番近いヨーロッパ」であるヘルシンキ経由で、欧州約70都市へ。羽田・成田・中部・関空の4空港就航。
写真/田所優季
旅行写真家、トラベル・ライフスタイルライター、ファッションデザイナー。









