
キャンプと登山はウェアや調理器具まで、とても似た道具を扱います。そのまま使える道具もあれば、似ているけど登山には向いていないものもあり、新たに道具を揃えるか悩みます。
今回は、登山でもそのまま使えるキャンプ道具と、新たに揃えるべき道具をご紹介します。
キャンプ道具と似た登山道具

キャンプをしていると見える目の前の山々。はじめは「綺麗だなぁ」と眺めていたのが「登ってみたいな」と思い始める方も少なくないのではないでしょうか。キャンプと登山は、どちらも自然の中で過ごすアクティビティであり、共通する道具も少なくありません。
例えば、悪天候から身を守るためのウェア、食料や道具を運ぶためのバックパック、クッカーなどは共通して使用できる道具として挙げられます。しかし求められる性能は、それぞれの活動の特性に合わせて異なります。
快適性や居住性を重視するキャンプ道具と、限られた荷物で安全かつ効率的に山を移動するために、軽量性、コンパクト性、そして悪天候への対応力が重視される登山道具。この違いを理解することがとても大切です。
そこで今回は、「キャンプ道具で登山ができるか?」をテーマに、登山にも使えるアイテムや、買い足すと便利な道具をご紹介します。
登山にも使える道具
アウトドアウェア

アウトドアウェアは、キャンプと登山で比較的兼用しやすく、追加で買い足さなくても登山に使える場合が多いです。特に、防水透湿性に優れたレインウェアや、体温調節に役立つフリース・ダウンジャケットなどは、登山にも使える機能や素材を備えていることが多いです。
この他、吸水速乾性を有する化繊系のTシャツやストレッチ性が高いパンツなど、低山の日帰り程度であれば十分対応できます。
登山にも対応したバックパック

キャンプ場周辺の散策用で入手した背負心地の良いバックパックや、高い耐久性や荷重分散など、長距離の移動に必要な機能を有する大型のバックパックは、登山でも兼用できる場合があります。登る山によって左右されますが、半日程度で整備された登山道のハイキングなら負担なく行動できます。
一方で、終日行動するハードな登山や、トレイルランニングや沢登りなどの特化した登山の場合は、登山向けや専用のバックパックが必要になります。
シングルバーナー

キャンプで使用するガス缶を使用したシングルバーナーは、登山でもそのまま活用できることが多いアイテムです。キャンプ向けにセッティングされたバーナーもありますが、軽量コンパクトなモデルは登山でも十分通用するモデルが多いです。
基本的には、OD缶と呼ばれる専用のカートリッジを使用したシングルバーナーがおすすめですが、低山で短時間のハイキング程度なら、カセットボンベ(CB缶)を使用したバーナーでも対応できます。
サコッシュやマルチツールなどの軽量コンパクトアイテム

サコッシュやスタッフバッグ、マルチツール、ヘッドライト、ファーストエイドキットといった軽量でコンパクトなアイテムは、キャンプと登山で兼用できるものがほとんどです。これらはどのアクティビティにおいても、利便性や安全性を高める上で重宝するので、登山でも活用したいアイテムです。
登山では使えない道具
キャンプ向けのテント

キャンプ用のテントは堅牢かつスペースが広く、快適性も重視されています。その分重く、収納サイズも大きい傾向があります。登山で使用するテントは、軽量コンパクト、かつ悪天候でも持ちこたえる耐久性を有するなど、キャンプとは違うコンセプトで作られています。
キャンプ用のテントを登山に持っていくと、重たいことで移動距離が短くなり、体力の消耗も激しくなります。足を捻って怪我をする可能性も高まるので、登山用のテントを入手するのがおすすめです。
大型の寝袋

軽量で保温性のある寝袋の中には、キャンプと登山の両方で使えるものもあります。ただし、封筒型と呼ばれる広めのタイプや、ダウンや化繊綿を使っていない寝袋は、登山には不向きです。
登山では、限られたスペースに収納できて、軽量かつ保温性を持つ寝袋が必要です。標高の高い場所や冬山では、より高い保温性に加え、かさばりにくさや濡れへの対策も重要です。そのため、シュラフカバーなどの対策も必須になります。
鉄などの重い調理器具

キャンプでは、ダッチオーブンやスキレットなど、鉄製の重い調理器具を使うことがあります。調理しやすく、かつ美味しくなる調理器具がキャンプでは好まれますが、登山では不向きです。
登山においても、調理は重要な位置づけにあります。調理器具はアルミやチタンなど軽量な素材が使われており、バックパックに収まりやすいようコンパクトに設計されています。
登山用ではじめて調理器具を導入する場合は、深型の鍋で簡単なフライパンにもなり、また食器としても使えるアルミ製のコッヘルがおすすめです。
綿などの水を吸うもの
綿素材の衣類や小物は、キャンプでは快適に感じられます。一方、登山では道具をドライに保つことが生死にかかわる重要な要素です。綿は一度濡れると乾きにくく、体温を奪い低体温症のリスクを上げるなど、できるなら避けたい素材です。
登山では速乾性があり、汗冷えを防ぐ化繊素材のウェアが推奨されます。靴下なども同様で、吸湿速乾性に優れたアウトドアブランド独自の化繊素材やメリノウールなどが最適です。
軽量コンパクトでタフなアイテムは使えるものが多い

ここまで登山で使えるキャンプ道具、不向きな道具を紹介してきました。この他にも「これは使えるかな?」と迷う道具がたくさんあるかと思います。登山で使えるかは「軽量でコンパクト」「過酷な環境でも使える耐久性」をひとつの基準として選ぶとよいです。
また、この基準を元に「鍋としても食器としても使える」「ダウンパンツを寝袋代わりに」など、汎用性重視して選択すると、より登山でも活用できる道具が選べるようになります。
キャンプからの登山は必要に応じて買い足しを!

いかがでしたか。キャンプと登山は自然の中で活動するという点では同じですが、似ているようで異なるアクティビティです。道具も同じく併用できそうで難しいものがありますが、活用できるアイテムもあります。今回ご紹介したことを参考に、ぜひお手持ちのアイテムを登山でも使ってみてください。