
ブッシュクラフトって何?
言葉を聞いたことはあっても、意味をよく知らない人に向けて、ブッシュクラフトの定義を解説します。似た概念である、サバイバルとの違いも押さえていきましょう。
自然にあるもので道具を作ること
ブッシュは英語で『茂み』『叢林』、オーストラリアやアフリカなどの『未開地域』『奥地』を意味し、クラフトは『技術』を意味します。
つまり、ブッシュクラフトとは、『奥地における技術』です。自然の奥地において自然の中にあるもので食料を調達したり、火をおこしたり、生活道具を工作したりすることなどを含む、自然生活の技術全体を意味しています。
ブッシュクラフトでは、鉈・ナイフなどのギアを用いて焚火をおこし、現地調達した小枝などを材料に風雨を防ぐシェルターを作り、野営に必要な設備を自作します。あえて便利さを捨て、人間古来の知恵を使って生活するのがブッシュクラフトの醍醐味です。
ブッシュクラフトとサバイバルの違い
ブッシュクラフトとサバイバルは、自然生活の技術という点で重なる部分が少なくありません。とはいえ、目的が異なります。サバイバルは、文字通り「生き延びること」が目的です。
困難な状況をを乗り越え、生き延びるためのサバイバル技術は、グリーンベレーのような特殊部隊員はもちろんのこと、探検家やレスキュー隊員にとっても必須の技術といえます。
一方のブッシュクラフトは、人間の生活に根源的に必要な技術を見極め、その技術の習得・実践を重視します。最小限の道具で必要なものを現地調達する点は同じですが、多くの場合、その目的は「生き延びること」ではなく、生活技術の獲得であり、自然との対話です。
ブッシュクラフトは、あくまで楽しみの範囲で行う点が、サバイバルとの大きな違いです。
ブッシュクラフトの魅力
ブッシュクラフトは、キャンプにハマった人であれば、一度は挑戦したくなるような魅力を持っています。ここでは、ブッシュクラフトの魅力を三つの観点から紹介します。
キャンプ本来の楽しみ方である自給自足ができる
ブッシュクラフトは、キャンプ本来の楽しみといえる自給自足や、不便さを楽しめるアクティビティです。
現代のキャンプギアは、高性能化が進んでいます。化学繊維で作られた防水透湿性の高いウエアを着て、軽量で多機能なアイテムを駆使するキャンプは確かに快適です。
しかし、便利なアイテムに囲まれて過ごすのは、キャンプ本来の楽しみからは離れた行為かもしれません。
最低限の装備を持って自然と向き合うブッシュクラフトは、原点に立ち返り、キャンプの楽しみを改めて実感するよい機会になります。
キャンプスキルが向上する
ブッシュクラフトで必要な道具を自作するスキルが身に付けば、文明の利器に頼らずともキャンプを楽しめるようになります。道具を忘れても臨機応変に対処できたり、友達とキャンプに行く際に活躍できたりと、メリットが多いでしょう。
一度ブッシュクラフトに慣れると、持っていくギアの取捨選択の基準も変わり、キャンプ力の向上を実感できるはずです。スキルアップによって気持ちに余裕が生まれ、さらにキャンプにハマるきっかけにもなります。
初心者でもできる範囲で始められる
ブッシュクラフトでは、あくまで『楽しむ』ことが第一です。いきなり全てを自作するなど、過度に自分を追い込む必要はありません。
初心者の場合、今使っているキャンプギアの一部を自作したり、火おこしを自力でやってみたりなど、できる範囲から始めてみましょう。
例えば、火おこしの際に、今まで市販の着火剤を使っていたところを、自作の着火剤に置き換えてみるだけでも立派なブッシュクラフトです。
できることが増えていくにつれ、持っていく荷物も減ります。「今日はこれだけの装備でできた」と、上達が目に見える形で現れるのも魅力です。
まずはここから!ブッシュクラフトの始め方
ブッシュクラフトに興味があっても、何から始めたらよいか分からない人も多いでしょう。ブッシュクラフトの基本動作である、ナイフの扱い方と火のおこし方を紹介します。
まずはナイフの扱い方を覚える
ナイフは、ブッシュクラフトの必携アイテムです。薪割りやフェザースティック作りをはじめ、さまざまなシーンで欠かせないため、初めに扱い方をマスターしておきたいところです。
ナイフの基本的な扱い方は、角材の角を取り除く『面取り』の練習で身に付きます。面取りのやり方は、以下の通りです。
- ナイフと柔らかめの角材を用意する
- 指の股でナイフを握り、角材の角に45度の角度で刃を当てる
- 体の手前から外に向かって刃を当て、角材が丸くなるまで削る
面取りの技術は、フェザースティック作りにも応用できるので、火おこしと併せて練習するのがおすすめです。上級者になると、ナイフを使って食器やカトラリー、チェアまで作れることもあるので、チャレンジしてみましょう。
火おこしのやり方
火おこしは、キャンプでの必須スキルです。ナイフの扱い方と同時に、火おこしのスキルもマスターしておきましょう。ライターやマッチを使わない火のおこし方は、以下の通りです。
- 薪と火口(着火剤)、フェザースティックなどのたき付けを用意する
- メタルマッチで火口に着火し、火をフェザースティックに移す
- 徐々に大きいたき付けへと火を移していき、薪が安定して燃えるようになったら成功
着火剤は、薪を細かく削ったカスや枯れ草などを使えば、現地調達が可能です。燃焼には酸素が必要なため、最初はフェザースティックのような空気との接触面が多い小さなたき付けに火をつけ、徐々に大きな薪へと移していきます。
ブッシュクラフトにおすすめのツール
ここでは、ブッシュクラフトにおすすめのツールを紹介します。ナイフやメタルマッチ、カトラリーの基本装備から、あると重宝する浄水器もピックアップしました。
ユニフレーム「UFブッシュクラフトナイフ」
刃が持ち手の末端にも通っている、『フルタング構造』のナイフです。通常のナイフよりも強度が高く、薪割りにも使えるタフさを誇ります。
腰に装着できるベルトループが付いており、必要なときにサッと取り出せるのも便利です。メタルマッチに対応しており、火おこしにも使えるため、1本あると重宝するでしょう。
ステンレス製でさびに強く、上級者になっても長く使えます。初心者が初めに手にする1本として、申し分ない機能を持ち合わせています。
- 商品名:ユニフレーム「UFブッシュクラフトナイフ」
- 公式サイト:商品はこちら

ブッシュクラフト「メタルマッチ」
メタルマッチとは、可燃性の高いマグネシウムやフェロセリウムなどの金属でできた、火おこしに使う器具です。ナイフや付属のブレードで、ロッドを着火剤に向かって思い切りこすり、火花を発生させて着火します。
ブッシュクラフトの『メタルマッチ』は、約1万2,000回使用可能で、リーズナブルな上に長持ちします。
迫力のある大きな火花が発生するので、初心者でも着火しやすいでしょう。防水仕様のため、水分を拭き取ればすぐに使えるようになる点も便利です。
- 商品名:ブッシュクラフト「メタルマッチ」
- 公式サイト:商品はこちら

パスファインダー「カンティーン クッキングセット」
水筒とクッカー、ボトルストーブの3点セットです。ソロキャンプやブッシュクラフトに必要なアイテムが無駄なくそろっており、スタッキングが可能なので持ち運びもしやすくなっています。
ステンレス製の無骨なデザインは、他のキャンプギアともマッチしやすいでしょう。クッカーは、水を入れやすいように口が広くなっており、料理がはかどります。
直接火にかけられ、使い込むほど焼けたステンレスの風合いを楽しめる点も魅力です。
- 商品名:パスファインダー「カンティーン クッキングセット」
- 公式サイト:商品はこちら

パスファインダー
カンティーン クッキングセット
カンティーン(1150ml) 約20.5×13×7.5cm、重量 約320g カップ(740ml) 約11×13.5×9cm、重量 約240g ストーブ 約8×13×8cm、重量 約120g
ソーヤー「ミニ SP128」
山水を、安全に飲むために使える浄水器です。ブッシュクラフトでは、飲み水も現地調達するケースがあります。
山水は一見きれいに見えても、寄生虫や細菌、化学物質などが含まれている可能性があり、そのまま飲むのは避けた方が無難です。
浄水器があれば、煮沸の手間なく山水をろ過できるので便利です。ソーヤーの『ミニ SP128』は、シリーズ最軽量で持ち運びしやすく、小さいながらも高い浄水力を誇ります。
キャンプだけでなく、旅行先の衛生面が不安なときや災害時にも活躍するため、一つあると重宝するでしょう。
- 商品名:ソーヤー「ミニ SP128」
- 公式サイト:商品はこちら

ソーヤー
ミニ SP128
PointONEミニフィルター:約41g、全長13.5cm 最大部分の直径約3.5cm 約0.5Lパウチ:約19g、約22.5×12.5cm (キャップ部分を除く)
ブッシュクラフトを行うときのマナー
ブッシュクラフトを行う際は、通常のキャンプとは少し別の観点でマナーを守る必要があります。最後に、ブッシュクラフトならではのマナーを二つ見ていきましょう。
私有地で勝手に行わない
より本格的なブッシュクラフトをするために、キャンプ場ではなく、誰もいない山の中に行こうと思っている人もいるでしょう。
しかし、どれだけ田舎であっても、基本的に所有者のいない場所は存在しません。私有地で勝手に野営すると不法侵入になるため、注意しましょう。
ブッシュクラフトは、野営が認められている場所を探して行うのが無難です。より不便さを追求したいときは、あえて設備が最小限の野営地を選ぶとよいでしょう。
自然破壊をしない
現地調達の材料は、枯れ葉や落ちている小枝のような、生木を傷つけないものを選ぶのが原則です。
無理やり生木を削ったり、周囲の草を刈り取ったりするような行為は、自然破壊につながります。じか火が禁止されているケースもあるので、事前にルールを確認しましょう。
野営地によっては、トイレが設置されていないケースもあります。トイレ以外での排泄も、悪臭や環境破壊につながる可能性があるため、携帯トイレを持参し、排泄物は持ち帰って処分しましょう。
まとめ
ブッシュクラフトは、キャンプ本来の楽しみを実感できるアクティビティです。サバイバルほど過激ではなく、楽しむことを本分としているため、初心者でも挑戦しやすくなっています。
初めての人は、まず丈夫なナイフとメタルマッチをそろえ、木の削り方や火のおこし方を習得しましょう。紹介したツールを参考に必須アイテムを準備し、上達とともに徐々にキャンプギアを減らしていくのがおすすめです。
また、ブッシュクラフトは自然を利用する活動のため、マナーを守ることが重要です。自分も土地の所有者も気持ちよく過ごせるよう、節度を持った行動を心がけましょう。