野外において、自然の素材を利用し、自らの手で道具を作ることや、技術そのものをブッシュクラフトと呼びます。
例えば、ナイフ一本で薪を割ったり、木を削ってテント用のペグを作ったり……。そのようなことができれば、アウトドアの楽しみも広がりますよね。いざというときに役立つ知識にもなるでしょう。
とはいえ、「難しそうで自分には到底できない」と思ってあきらめてしまっている方も多いのではないでしょうか。
あまり難しく考えず、まずは木を削るだけの“ぷちクラフト”体験をやってみるのがおすすめです。
今回は、初心者におすすめのやり方をお伝えします。ブッシュクラフトに挑戦したいと思っている方は、ぜひ参考にしてもらえればと思います。
必要なものとナイフの選び方
まず、“ぷちクラフト”体験では以下3つの道具を用意します。

たったこれだけでOKです!
- ナイフ
- 手袋
- 削りたい木材(薪、端材、割り箸など)
ナイフは、ホームセンターやネットで3,000円程度で売っているものでも十分です。
ナイフを選ぶときの目安は、以下の通りです。
- 切れ味が良いもの
- 素材がステンレススチールであること(錆びにくく、手入れがしやすいため)
- 刃渡りが10~15cm、全長が20~30cm程度であること
- 刃厚が3.5mm以上あること(なるべく厚みがあるものを選びましょう)
手袋は、ナイフで手を切ってしまわないよう、保護の目的で着用します。ホームセンターで売っている作業用手袋でも大丈夫です。アウトドア用品店で好みのものを探してみても楽しいですよ。
木材に関しては、大きすぎるものは持ちにくく扱いにくいため、小枝や割り箸などの細い木を用意しましょう。
ナイフを使った木の削り方の基本

力は、強過ぎず弱過ぎない程度にします。
“ぷちクラフト”体験をする上でおさえておきたい、木の削り方の基本を紹介します。これさえ知っておけば、簡単に木を削ることができます。
まずは利き手でナイフを、反対の手で木材を持ちます。ナイフを木材に当てる際、木材を持った手の親指で、ナイフの背の部分を押さえましょう。
そして、ナイフの背に添えた親指に力を入れて、ナイフを押し出すようにして木を削っていきます。
ぷちクラフト1.割り箸を削ってみよう
子どもの頃にカッターや小刀で鉛筆を削っていた人もいるのではないでしょうか。あの頃を懐かしんで割り箸を削ってみましょう。
割り箸を削ってみるだけでも、ブッシュクラフトの体験としては十分です。ここで自信をつけることで、もっと難しいブッシュクラフトに挑戦してみようという気持ちが湧いてきます。

柔らかい木材として、割り箸を使用します。
割り箸を割って、そのうちの片方を使います。

バキッと折れないよう慎重に。
割り箸は柔らかいので、力を入れすぎると折れてしまいます。力加減を意識しましょう。
また、刃を立てすぎると刃先が木に食い込んで削れません。木の表面に沿って薄く削ぐようにするのがポイントです。
程よい角度で刃を入れることができれば、親指で軽くナイフを押すだけでスーッと削れていきます。

削りかすを見ると、達成感が得られるはず!
初めて体験する方にとっては、少し削れるだけでもとても感動するはずです。
「何を作ろう」と考えることなく、とにかく削ってみる、これだけで十分達成感がありますよ。
ぷちクラフト2.薪を削ってみよう

細めの針葉樹の薪がおすすめです。
割り箸で慣れてきたら、次は薪を削ってみましょう。割り箸でできた方は、薪も難なく削れるはずです。
細めの薪を用意しましょう。広葉樹はかたくて削りにくいので、針葉樹がおすすめです。

ゆっくりゆっくり削っていきます。
慣れないうちは焦らずに、細かく削っていきましょう。

周囲に飛んだ削りかすは、後で忘れずに集めて処理しましょう。

薪を削るのは少し大変ですが、その分、できたときの喜びも大きいです。
コツをつかむまで時間がかかるかもしれませんが、回数を重ねて腕を上げていきましょう。
なお、薪が上手に削れるようになると、「フェザースティック」と呼ばれる、天然の着火剤が作れるようになります。
フェザースティックは、木の表面を何度も薄く削り重ねることで羽の形のように仕上げる、ブッシュクラフトの定番です。興味のある方は、調べて挑戦してみてくださいね。
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ぷちクラフト3.バトニング
ここまでできた方は、バトニングに挑戦するといいでしょう。
バトニングとは、「ナイフで木を割ること」です。木を割ると聞くと、斧でスパーンっと豪快に丸太を割るイメージが思い浮かびますが、小さな木であればナイフで簡単に割ることができます。
コツさえ掴んでしまえば、初心者の方でも簡単にできてしまいます。

端材は、ホームセンターで無料もしくは数十円で買えることがほとんどです。
今回はホームセンターで購入した端材を割っていきます。
バトニングでは、ナイフを打つための木材も必要です。かための棒状の木材を一つ、別途用意しておきます。

端材は細ければ細いほどやりやすいです。
まず、台となる平たい石を見つけます。
その石の上に端材を立てて置き、割りたい位置にナイフの刃を置きます。
反対の手でもう一つの木材を持ち、その木材でナイフの刃先をカンカンと打ちましょう。木に徐々にヒビが入り、割れていきます。
無事に割れたら割り箸や薪と同様、先端を削りましょう。自分で割った木材で“ぷちクラフト”体験をすると、達成感もひとしおです。
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5分もあればできる!
ブッシュクラフトと聞くと「凄いものを作らないといけない」と思ってしまい、ハードルが高く感じられてしまいますが、今回のやり方であれば、ナイフ一本と身近な木材で簡単に雰囲気を味わうことができます。
今回の“ぷちクラフト”体験を通して「もっとやってみたい!」と思われた方は、実際に道具作りにチャレンジしてみてくださいね。
