1杯のコーヒーに秘められた”知られざる”ドラマとは!? | BE-PAL

1杯のコーヒーに秘められた”知られざる”ドラマとは!?

2015.12.14

キャンプやピクニック、森の中・・・野外でいただくコーヒーは格別の味。現在発売中のBE-PAL1月号では、野外でコーヒーを楽しむための”30の道具”を紹介している。

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豆選びや焙煎の仕方、挽き方、淹れ方、そのプロセス、ひとつひとつにこだわって味わうのも、コーヒーの楽しみ方のひとつ。今回は、そんな奥深いコーヒーについて学ぶことのできる映画をご紹介しよう。

飲む人がおいしいと満足できる最高のコーヒー(=スペシャリティコーヒー)を求めて、道を究めようとするプロフェッショナルたちの姿を追うドキュメンタリー映画『A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』が公開される。

なにげなく手にしたこの一杯にそれほどのドラマが⁉――映画を観たあとに、そんなかぐわしい余韻をもたらす1本だ。

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映画は豆の収穫と精製、流通、焙煎、そしてドリップまで、味の好みによってそれぞれに異なる方法で、これぞ! と思う一杯を求めるプロの姿を追っていく。まず豆の生産地であるルワンダやホンジュラスの畑でコーヒーチェリーが収穫される場面を目にし、見慣れた茶色のコーヒー豆も、もとは真っ赤な木の実であることを再認識させられる。畑で働く人びとがじっとカメラを見据える顔もまた味わい深い。

つぎにチェリーの果肉を取り除いて生豆にするにも、発酵させて水洗いする「ウォッシュド」と、チェリーを乾燥させてから果肉を脱穀する「ナチュラル」がある等、まずは生豆になるまでの工程を追う。

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生産者と直接取引をする「ダイレクト・トレード」等の新しい動きも出てきた豆の流通や、豆の個性を引き出すために繊細な作業が求められる焙煎などの工程にも凄腕のプロがいて、その眼差しは真剣そのもの。ときに科学者のように求道家のように豆を扱う人たちの姿に心打たれる。それは映画から聞こえる「コーヒーは生きもの」で「コーヒーにかかわる者全員が味に影響を与える」という言葉が大げさではない証でもある。

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CMディレクターで自身もコーヒー中毒というブランドン・ローパー監督はニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、東京でロケを敢行していく。そうして世界のコーヒー・カルチャーのいまを見ていくと、日本のそれが独特の進化を遂げていることに気づくのだ。

それを象徴するのが2013年に閉店した「大坊珈琲店」のオーナーである大坊勝次がコーヒーをいれる姿。最後までカメラ目線も口に出す言葉もなく、ひたすら目の前の一杯に神経を集中する姿は間違いなく美しい。無駄を完璧に排除し、すべてが流れるように進むその動きは、もはや見るだけで価値があるような、茶道のような格調高ささえ感じさせる。

おいしいコーヒーが飲みたい――とてもシンプルでささやかに思える欲求を追及する人たちの姿は、本当に好きなものを究めようとする人間の幸福に満ちている。そしてやっぱり映画を観たあとは、おいしいコーヒーが無性に飲みたくなるだろう。

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『A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』(メジロフィルムズ)
●監督/ブランドン・ローパー ●12/12~新宿シネマカリテモーニング&レイトほか
© 2014 Avocados and Coconuts. 

文/浅見祥子

 

 

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