ゴミを出さない「ゼロ・ウェイスト」から生まれた「子供竹ストロー」

2020.06.19

私が書きました!
編集・ライター
ニイミユカ
兵庫県出身、浅草在住。よく食べよく動く、編集者・ライター。衣食住など生活にまつわる地に足のついた企画をメインに、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆しています。instagram @yuknote


無理なく続けられる範囲で、自分や周りの人たち、さらには地球環境にもいい塩梅の選択をしていく。そんな「エシカル」な物事をご紹介している連載『今日からできるエシカル生活』。今回は、結婚を機に、地球に寄りそう暮らしへ舵を切った女性に、お話を伺いました。

第8回:まずは家族が心地よく、楽しいこと ーINTERVIEW|「子供竹ストロー」主宰・田村ゆにさん

「ゼロ・ウェイスト」をご存知ですか? 無駄・ごみ・浪費 をなくすという意味で、 廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方です

使い捨てをしない。長く使えるものを選ぶ。自分で手入れする。食材も、食べられない部分は、堆肥化させたり、生活用品として再活用したりする……など。つまり、創意工夫して自活するすべが詰まっているのです。

この考え方を調べていた筆者は、ある日「子供竹ストロー」というアイテムに辿りつきました。冒頭で登場した写真のストローです。ホームページを見ると、青森で子育てをする、田村ゆにさんという女性の手づくり。材料は、青森産の無農薬で育った竹のみ。しかもその方は、ゼロ・ウェイストの実践者とのこと。

ゼロ・ウェイストに取り組んでいるかたが手がけていることもあり、俄然興味津々! そこで、「子ども竹ストロー」のこと、日々の生活、考え方など、さまざま伺ってみることにしました。

限りある資源を、いま生きる土地の中で循環させたい

今回、お話を伺った田村ゆにさん。

ーーはじめまして。まずは、田村さんがこれまでどんな暮らしをしてきたか、聞かせてください。

「わたしは、札幌出身で、高校卒業後、歌手を目指して上京して、10年くらい東京に住んでいました。青森に移り住んだのは、夫との結婚がきっかけです」

ーーそもそもは、都会っこなんですね。

「そうですね。地球環境とか、自然素材とか、あまり意識したことはありませんでした。

自然とともに暮らす生活へ目が向いたのは、東京暮らしも7〜8年めに差し掛かったころ。アーティスト活動の傍ら、着物を着る機会に恵まれたんです。

きっかけは、山本哲史先生という、日本の社会を哲学的に書かれているかたです。山本先生曰く、着物はその土地の素材を使った合理的なもの。確かに、土地ごとに使う素材や染める材料が違ったり、四季よって合わせ方も違ったり。直線でつくられたシンプルな衣類だから、丈をつめたり緩めたりすれば、何年も着られる。こういう気づきを含め、衣食住の衣から、自然に目が向きました」

自分でブレンドした野草のハーブティー。

「現在の暮らしにシフトしたのは、夫がきっかけです。2016年4月。ちょうど30才になるタイミングで、婚活に力を入れようと。そうしたら友人が、こんな人いるよと、SNSで花嫁さん募集をしている夫の存在を教えてくれたんです。

彼は、地元・青森で2011年から小屋状の家を建てながら、食べ物を自給自足して、さらにデザイン業などさまざまな仕事も楽しんでいて。そんな彼のライフスタイルに興味が湧いて、応募して5月には会い、そのまま移住を決めました」

ーーよほどピンときたんですね。 

「はい(笑)。同じ年の秋には、結婚を決めて青森へ引っ越しました」

20名ほどの花嫁応募者から、唯一「会ってみたい」と連絡をもらい、ゴールイン!

「移住した翌年からは、わたしも野菜づくりをスタート。最初は、農薬や人糞堆肥、化学肥料などを一切使わない自然農法でやってみたんですが、草まけしちゃって。いまは農薬と化学肥料を使わない自然栽培にシフトしています。

あと、夫が建てている家は、ガスも電気も水も引いていません。電気は自家発電だから、つねに電力を消費する冷蔵庫は持たず、調理方法や保存を工夫して……とかって言うと、仙人みたいな生活をしてるようにイメージされるかもしれませんね(笑)。スーパーでも買い物するし、夫の実家を拠点の一つにしているので、今は完全に自給自足なわけではありません。

ただ、こうしていろいろやってみる中で、自分が生きる土地にあるものを土地の中で循環させたいと考えるようになったんですよね。ゼロ・ウェイストも、この考えが始めたきっかけです」

ゼロ・ウェイストで実践していること

夫がコツコツ建築した自宅。

ーー具体的に、どんなゼロ・ウェイストを実践されているのですか?

「私が、一番気になっているのはプラスチックが引き起こす環境問題。だから、プラスチックに頼らない生活につながるような物事を試しています。

たとえば、買い物。製品自体はもちろん、梱包材など、多くにプラスチックがついてきますよね。だから、欲しいものがあれば、まず買うのではなく身近なもので代用してみる。それが、プラスチックに頼らない生活の一歩になればいいなと思っています。

一方で、わが家は家族揃って大豆食品好き。とくに納豆が好きなんですけど、市販品は発砲スチロールのパックに入っていますよね。納豆の容器は、洗ってもリサイクルできないし。だから、手づくりしてみました。最初は藁じゃなくて、麦の葉で代用してみたんですけど、においが強烈で(笑)! この冬に、藁で再チャレンジ。低温で熟成したら、とっても美味しかったです。

あとは、どうしても出てしまうプラスチックは、自宅で処理してみようと挑戦中。発砲スチロールを食べて分解するという、ミルワームという虫を飼って、コンポストにしています」

「必要」は、まず「自分の手で生み出せるか?」から考え始める

田村さんがつくる「子供竹ストロー」。現在は、大人サイズもラインナップ。

ーーさて、ここからは「子供竹ストロー」について、聞かせてください。これをつくり始めたのも、プラスチックを使い捨てることが気になったからですか?

「いえ、実はそうじゃないんです。確かに、世界的にプラスチック製の使い捨てストローをやめる動きがありますよね。でも、私自身は、普段からそういうものを使う環境にはいなくて。

つくろうと思ったのは、2018年秋生まれの息子がきっかけです。つくり始めた2019年の夏は、まだ息子にストローは早くて、必要ありませんでした。でも、これから成長とともに使う機会が訪れるはず。その時に、市販品が便利だからと頼るのもなあ。できれば、子どものものは手づくりしたい。そんな気持ちで、自然素材でつくろうと考えました」

野草を活用した冷却用湿布。

ーー他にも手づくりされているんですか?

「はい。布おむつや、息子用の石けん、化粧水など、必要で、自分の手でつくれるものは挑戦しています。だから、ストローも、そんなに突飛なものではなかったんですよね。

ただ、最初から青森の竹を選んだわけではなくて。まず浮かんだのは、国産の、身近な材料でつくること。近所に生えているアシや萱の一部を切り取って、実験的につくってみました。すると、乾燥する時に割れたり、数回で壊れてしまったりする。これじゃあ感覚的に使い捨てと変わりません。

そこで目を向けたのが、日本の竹の一種であるスズタケ。高地や寒い地域に多い品種だそうですが、近所の竹林からわけていただいたら、想像以上によくて。竹って、寒い地域だと、繊維が密でコンパクトに育つそうなんです。しかも、農薬などを使っている畑からは離れた場所にある竹林だったので、口にするものに使うにも安心。

竹は、とても強い植物なので、育ちすぎて困っている人たちもいます。私も、少しでも刈って、手入れできればという気持ちで使わせていただいています」

丁寧にやすりをかけてあり、すべすべとした優しい触れごこち。

ーー息子さんがきっかけだった「子供竹ストロー」。必要を自分で生み出すことで、結果的には、ごみなど無駄が出ず、土地の恵みを上手に使い、循環させている。三方よしなアイテムですね。販売しようと思ったのは、なぜですか?

「子供向けの使い捨てじゃない自然素材のストローって、売っていそうで見つけられなかったんです。本当は、自分でつくりたい。でも、私のように、身近に材料があったり、つくる時間が取れるお母さんばかりではありません。そうした方々の、手の代わりになれたらなって。

1人で少しずつつくっているので、たくさんはできません。でも、同じような気持ちのかたがたの役に、少しでも立てたらと思っています」

ある年の田植えにて。自然とつながることは心地いい。

こうしたほうが、気持ちいいから。家族が楽しめるから。そっちのほうが大切で、決してストイックに環境を追求しているわけではないーー。ゼロ・ウェイストを実践する田村さんは、そんなふうに話してくださいました。

何か地球によいことをしようと考えると、とかく「こうであるべき!」と意気込みがち。普段の自分から離れた物事や、厳しい決め事は、なかなか続きません。大切なのは、自分や周囲の人たちに馴染むこと。今回のインタビューでは、そんな大切なことを教えていただきました。

子供竹ストローWEBサイト http://www.竹ストロー.com

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