青森ヒバの魅力を知ってほしい。アパレルブランド『Cul de sac(カルデサック)』の新たなプロダクツ

2019.12.27

私が書きました!
編集・ライター
ニイミユカ
兵庫県出身、浅草在住。よく食べよく動く、編集者・ライター。衣食住など生活にまつわる地に足のついた企画をメインに、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆しています。instagram @yuknote
自然と人と動物が心地よく共存できる世界であるために、できることや選べるものがあります。そんな「エシカル」な物事をご紹介する、連載『今日からできるエシカル生活』。今回は、あるアパレルブランドの国産木材を使った製品づくりについて。

第5回:知ってもらうことで、後世に残していく。青森の樹木「青森ヒバ」をブランドに。

アパレルブランドの『Cul de sac』が、「青森ヒバ」という樹木を使った製品をつくっている。そんな噂を聞きつけ、東京は世田谷区にある工房兼ストアを訪ねました。

東急世田谷線・松陰神社前駅から歩くこと3分。住宅街の一角に、大きな切り株が! 『Cul de sac』デザイナーの村口みねこさんにお話を伺うべく、お邪魔します。

壁には「AOMORI HIBA WOOD」の文字が。

地元の大切な資源を知ってもらうことで、未来を明るくしたい。

ーーそもそも、なぜ青森ヒバを使ってプロダクトづくりを始めたのか、聞かせてください。

「大きな理由は、青森ヒバをブランド化したいからなんです。なんでブランド化したいかっていうと……そもそも青森ヒバって、知ってます?」

ーーいえ、実は今回取材をするまで知りませんでした。

「そうですよね。青森の方以外では、そう答える方がほとんどです。

私は地元が青森なんですけど、青森ではメジャーなんですよ。独特の香りと抗菌力の高さで、シロアリなんかの虫がつきにくくて、水に濡れても腐りにくい。寺社仏閣にも使われている木材で。

実家は製材業と養豚業を営んでいたんですけど、それを引き継いだ父が、製材業で出た青森ヒバの木屑を、病気やにおい対策として豚小屋に撒いていたんです。実際、豚たちは健やかな状態で、においもグッと抑えられて。それで、これはいいぞと、青森ヒバの製材業に家業を絞ったんです」

ーーまずは、お父さまが青森ヒバの魅力に取り憑かれた。

「そう(笑)」

ーー村口さん自身も、青森ヒバで何かしたいなって、ずっと思っていたんですか?

「いえいえ。私は実家を出て、東京でアパレルブランドを始めて、少しずつ忙しくなって。父から青森ヒバの相談を受けたり、家業の話しをしたりはしていたから、なーんとなく気にかかってはいたけど、中途半端に何かするのはよくないなって思っていました。

でもある日、一緒に働くスタッフが『青森ヒバってすごいね』と。ほんと、何気ないひと言だったけど、その言葉に『こんなプロダクトをつくりたいんだよ』って返したら、やろうよ! となって。

そこからですね。スタッフと実家の協力を得て、半年ぐらいで30型ぐらい製品をつくって。2015年9月には、アパレルと青森ヒバを両方並べて、いろんなバイヤーさんに見てもらえる合同展に出店しました」

元は劇団の稽古場という、天井の高い一軒家が工房兼ストア。ドアを開けると、製品が棚にずらりと並ぶ。

ーー急展開ですね! でも、30型もつくれたということは、やると決める前から村口さんの中で随分イメージしていたからでは?

「はい。じわじわとは、考えていましたね。

今のベースになっているものの多くは、この時の30型に含まれてるんですよ。精油とか、チップとか、まな板とか。

青森ヒバから取れる油から皮まで、余すことなく、木の部位に合わせてつくってます」

併設された工房では、専業のスタッフが、木材を加工中。

ーー青森ヒバの魅力を丸ごと感じられるんですね。プロダクトをつくって、木材自体をブランド化することで、どうなってほしいんでしょう?

「青森ヒバのことを、まずは知ってもらいたいんですよね。それがゆくゆくは、青森ヒバを始めとする、国産木材に関わる人たちの未来が明るくなることに繋がればいい」

床材や天板など、木材も購入できる。

ーー日本の林業を取り巻く現状は、今どんな風なんですか?

「ちょっと矛盾が起きちゃってるんですよ。木は溢れてるのに、建築に使われない。それは、外国から安い木材が入ってきてることが大きいんですけど。伐採せずそのままだから、自然災害や花粉症も増えていく。適切に伐採して使うことが大切なんです。

青森ヒバ自体は計画的に植樹して、育てて、切ってってやっているので、そういうことは起きないんですけど。でも、だからって今のままだと、知らない人が増えて、使われなくなって、存在そのものがなくなってしまうかもしれない。そうしたら、青森ヒバに関わっている人たちは仕事がなくなって、いつかは地元が元気じゃなくなっちゃうかもしれない。

だから『Cul de sac』として青森ヒバでものづくりをすることで、まずは知ってもらう。それがゆくゆくは、明るい未来に繋がればいいなって思います」

青森ヒバの天然の魅力が生きたプロダクツ

ここからは、村口さんがアウトドア好きな人におすすめするアイテムをご紹介します。

成木になるまで、100〜200年かけて、じっくりじっくり育つ青森ヒバ。丈夫でしなやかかつ、その独特の香りと優れた抗菌力が特徴です。自宅はもちろん、キャンプやハイキングなどでも活躍しそうなラインナップ。来年の春に新たに発売されるアイテムも、気になります! 

樵煙(虫除け)/KIKORI NO KEMURI _REFILL(1,100円)

「地元の80を超えたおじいさんから聞いたんですけど、かつて青森の樵(きこり)は青森ヒバの皮を頭に巻いて、火をつけて虫除けとして使っていたそうです(村口さん)」。

そんな伝統的な手法を、『Cul de sac』ではアレンジ。乾燥させた皮を使いやすいサイズにカットすることで、自宅を始め、キャンプなどのアウトドアでも使いやすく仕上げています。さらに、空気を含みやすいように手作業で叩いて仕上げているので、非常に手間暇もかかるのだとか。

CUTTING BOARD 青森ヒバまな板・正方形(12,000円)

青森ヒバは抗菌・防虫・防カビ力の高さや、消臭作用、病原性大腸菌O-157 への抗菌力も実証されてるんです。さらに、耐水性もあるし、適度な硬さで包丁の刃当たりもいい。肉や魚など生物を切るのにも安心で、屋外で調理するキャンプ料理にもおすすめです(村口さん)」

無垢の柾目(まさめ)でとった板を、熟練の職人が1 枚1 枚手カンナで仕上げています。1辺がななめにカットされているから、持ち上げやすい!

フィリバ

「2020年の春からスタートする、アパレルです。青森ヒバの抗菌力を活かした繊維を開発するところから始めました。においの原因が出にくいから、梅雨時や暑い季節など、活躍すると思いますよ(村口さん)」。

カットソーやタオル、ソックスなどをラインナップ。キャンプの焚き火臭や、夏場のハイキングでかく汗対策にも期待できるはず。

遊び心を忘れずに、真剣に。

動物用のフードボウルやスプレーなど、ラインナップは幅広い。

取材中、村口さんから、こんな言葉が出ました。「いつだって真剣だし、真面目につくってるけど、ふざけるところが『Cul de sac』。コンセプトは『真面目にふざける』なんです」。

それはつまり、遊び心を忘れないこと。どんな素晴らしい物事も、真面目一辺倒じゃ疲れてしまうし、時に伝わりにくかったりします。そこに、ふっと口元が緩んでしまう何かがあることで、すっと馴染んだり受け入れられることもありますよね。

ギフトにも喜ばれそうなお箸。「HIBA CHOPSTICKS 2set ヒバくびれ箸 2膳」(1,650円)。

『Cul de sac』が提案する、青森ヒバらしさが活きたプロダクツ。それは美しく、ストイックだけど、一方で愛らしさを感じたり親しみが湧く。そんなラインナップでした。

<『Cul de Sac_WORKS』概要>

住所:東京都世田谷区若林4-24-20
営業時間:11:00〜19:00
定休日:土日祝
Tel:03-6413-8473

WEB:http://culdesac.jp/

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