車椅子の友人ファミリーとキャンプしてきました!【ユニバーサルキャンプのススメ】

2020.12.11

関美奈子プロフィール
私が書きました!
アウトドアライター/デザイナー
関美奈子
美術大学卒業後、絵画・工作教室経営を経て、現在は簡単DIY、自然や人に優しいキャンプのアイデアを発信中。ガールスカウト世界連盟ジャンボリー日本代表(1982年)、ガールスカウト日本連盟キャンパーズライセンス(野外活動指導者資格)取得。アトリエばく代表。Instagram:@minako_seki_atelierbaku
焚き火を囲むW夫妻

ニックネーム・しもしもさん(左) ぎりあんさん(右)

車椅子でも便利なら、みんなにも便利なんです!

よく晴れた秋の1日、車椅子の友人ファミリーのキャンプに同行しました。障がいのあるなしや、障がい者と世話をする人の区別なく、誰もが一緒にキャンプを楽しむ「ユニバーサルキャンプ」。そんな動きが今、広がりつつあります。

取材に応じてくださったのは、千葉県在住のWさん夫妻とそのご家族。奥様のしもしもさん、ご主人のぎりあんさん共に、普段は多忙な会社員です。休日には愛車の三菱デリカD:5を駆って、キャンプに出かけるアクティブ派のおふたり。

おばあちゃんとまーくん

おばあちゃまと、まーくん

そして、長男のまーくん(取材当時2歳2ヵ月)と、今回は、おばあちゃまもご一緒に参加してくださいました。

まさに「ユニバーサル」な面々が揃う!

みんなで焚き火

筆者スタッフ(左端)とともに、みんなで焚き火

普段、車椅子を使用しているしもしもさん、おばあちゃまに幼い息子さん。宿泊したキャンプ場は、参加した誰にとっても優しく、過ごしやすい設備が整っていました。

そして、W夫妻の愛車や、しもしもさんの車椅子にも、あっと驚く工夫が。その具体例も併せてご紹介していきましょう!

愛車拝見!運転しやすい工夫も

三菱デリカ D:5にパーツを追加

三菱・デリカとトヨタ・タンク

左:三菱デリカ D:5 右:トヨタ タンク

千葉県夷隅郡大多喜町の「グリーンファームおおたき戸田オートキャンプ場」にやってきました。深い竹林に囲まれ、個性的なオーナーがお1人でコツコツ造られた、静かなキャンプ場です。

W家の愛車、三菱デリカ D:5です。筆者のトヨタ・タンクと並ぶとさすがに大きくて無骨。デリカには、車椅子のしもしもさんが運転しやすいよう、様々な工夫が。

デリカの運転席はこうなっている!

デリカ運転席

夫婦おふたりで使用するデリカ D:5。しもしもさん用に、両手だけで運転できる「アクセル・ブレーキ操作用手動運転装置」が付けられています。ハンドルにはノブがあり、片手で操作が可能。

障がいの程度に合わせ、購入時にセミオーダーで取り付けてくれるとのこと。設置にあたっては、地方自治体による助成金もあるそうです。

後部ハッチにはロープを設置

リアのロープを引く

最後部のハッチには、しもしもさんが開け閉めできるよう、ロープが取り付けてありました。簡単で便利な工夫ですね。

ルーフボックスとヒッチキャリアを架設

デリカ後部

「子育て真っ最中で、何かと荷物が多く、ルーフボックスと、後部にヒッチキャリアを付けました。電動車椅子を使っている友人とドライブするときは、友人は中に、場所を取る電動車椅子はヒッチキャリアにくくりつけて運ぶんですよ。」(ぎりあんさん)

度肝を抜く!自作のオフロード仕様パーツ

フレームと極太タイヤは、ぎりあんさん作!

車椅子用オフロードタイヤ

ぎりあんさんが車の中から持ち出し、見せてくれたのは、車椅子用のオフロードタイヤとフレーム。なんと、ぎりあんさんがDIYしたもの! 材料は、矢崎の「イレクターパイプ」と、ホームセンターの部品。しもしもさんの車椅子にボルト留めして使います。

「砂利が敷いてあるキャンプ場だと、車椅子のタイヤがめり込んでしまうんです。これを取り付けると、楽に進めるんですよ!」(しもしもさん)

それでは、次に「グリーンファームおおたき戸田オートキャンプ場」の、ユニバーサルな設備をご紹介しましょう。

手作り感満載!使いやすい障がい者用設備

滑り止め付きのスロープ

トイレ入り口のスロープ

管理棟内のトイレに向かうスロープは幅も広く、滑り止めのプレートが敷かれています。この角度なら、自力で上り下りしやすいとのこと。誤って滑り落ちないよう、端には細い縁も付いています。

「バリ“ヤ”フリートイレ」

バリヤフリートイレ、案内

「グリーンファームおおたき戸田オートキャンプ場」の車椅子用トイレはこちら。柱に油性ペンで書かれた「バリヤフリー」の文字に、なんとも温かな手作り感が溢れています。

引き戸式のトイレドア

トイレの入り口

トイレのドアは引き戸式。「引き戸だと、開いたドアに邪魔されずに出入りできるので、楽なんですよ。」(しもしもさん)

車椅子が方向転換しやすい広さ

障がい者用トイレ内部

中は、車椅子が方向転換できる空間を確保。要所には手すりも設置されています。

W夫妻は「グリーンファームおおたき戸田オートキャンプ場」のリピーター。理由は、「かなり以前から障がい者用のトイレやスロープ完備だった。」から。

オーナー自ら車椅子使用者の意見を聞き、使いやすく工夫されているとのこと。実際に使う人にヒアリングし、改良を重ねてくださるのは嬉しいことですね。

広さがあるから、ベビーカーと一緒に入れますし、手すりもあり、杖を使う人にも安心。車椅子で使いやすければ、誰にとっても使いやすいんです。

みんなで設営!

まずはタープから

タープを立てる

タープ:ニューテックジャパン「カンタンタープ 300」

タープは、ニューテックジャパンの「カンタンタープ 300」。フレームを広げてタープ本体をかぶせ、脚を伸ばすだけと、文字通り作業工程が簡単。夫婦ふたりでも立てられるそう。

テントは「月明かりで立つ」モンベルの逸品

テントポールを組み立てる

ポールを組み、シートを広げる

テントは、手早く立てられることで定評のある、モンベルの「ムーンライト 7型」。しもしもさんの担当はポールの組み立て。

「スリーブに長いポールを通すタイプのテントは作業が難しいんですが、これはポールをA型に組めばいいので楽ですね。」(しもしもさん)

みんなでテントを組み立てる

それぞれがやり易い作業を分担し、テントが形になってきました。テントを見るのが初めてのまーくん、おばあちゃまと一緒に、固唾を飲んで見守っています。

できました!

テント完成

テント:モンベル「ムーンライト 7型」

20分ほどでテントが立ちました。「おうち!」と呟いて、早速テント内に走り込むまーくん。

ぼくのおうちだよ!

テントの中のまーくんとパパ

まーくんにとって、今日は記念すべきキャンプデビューの日。「まーくん、今夜はここで寝るんだよ!」

ベビーカーでお昼寝タイム

ベビーカーでお昼寝中

新しい出来事に大興奮だったまーくん、夕ご飯の準備中に、ベビーカーでお昼寝です。

このキャンプ場は段差や階段がほとんど無く、芝も短く整えられ、車椅子での移動にも支障がありません。ということは、ベビーカーの移動にも問題がないんです。こういったキャンプ場なら、小さなお子さん連れのファミリーや、高齢者にも安心。

お待ちかねのBBQタイム

ハマグリ〜ぱかっ!

焼きハマグリ

「ほらほら〜もうすぐパカッと開くよー!」「……!?」

日が暮れ、九十九里浜の地ハマグリを炭火網焼きで。房総半島ならではのご馳走を堪能しました。

みんなで朝ごはん

火を熾し、お湯を沸かして朝のコーヒー

焚き火の番をするしもしもさん

焚き火台:LOGOS「ROSY メッシュファイヤーピット」

「焚き火の世話とコーヒーは私に任せて!」

LOGOSの「ROSY メッシュファイヤーピット」は、火床がステンレスメッシュ製で冷めるのも早く、片付けも手早くできます。チェックアウトは午前11時、ギリギリまで焚き火を楽しんで。

お子さん連れには、安全な囲炉裏テーブルを推奨

まーくんと焚き火

囲炉裏テーブル:尾上製作所「マルチファイアテーブルII」

焚き火台を囲むように設置できる、尾上製作所の「マルチファイアテーブルII」は、ガードの役割も果たします。

「とっさの時に、子どもが焚き火に突進するのを阻止してくれるので、オススメです。」(しもしもさん)

コーヒーが入ったよー!

コーヒーをどうぞ!

「皆さん、コーヒーをどうぞ!」しもしもさんが、豆から挽いて淹れてくださった目覚めのコーヒー。絶品でした!

朝食はホットサンドと芋煮汁

ホットサンドを作る

スタッフお手製のホットサンドと、昨夜の残りの山形風芋煮汁を温め直して、朝ごはんです。食後は全員で手分けをして撤収し、名残を惜しみながら帰途につきました。

どんな人でも利用できる「ユニバーサルキャンプ場」を!

笑顔のW夫妻

怪我や病気、老いを迎えて歩行が難しくなったとき…。段差がなく、トイレや炊事場へのアクセスがよければ、キャンプを諦めなくても済みますね。

新規の所はもちろん、既存のキャンプ場でも、これからは誰でも利用しやすい設備を整えた「ユニバーサル」なキャンプ場を目指してもらえればと期待します。

工夫を重ね、アウトドアを積極的に楽しむご夫妻。笑顔の絶えないWさんご一家とキャンプをともにして、すっかり元気をいただいた2日間でした!

取材:2020年11月
撮影地:グリーンファームおおたき
戸田オートキャンプ場

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