この記事では、ベース・ミドル・アウターのレイヤリングの考え方と、気温別(10〜15℃、5〜10℃、5℃以下)の具体的な服装例を紹介します。
寝るときの格好や汗冷え、焚き火の火の粉、足元の冷えへの対策もやさしく解説。
キャンプ初心者でも安心して、冬ならではの静かなキャンプや星空、焚き火時間を満喫できるようになる内容です。
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キャンプの服装は冬こそ万全に!
冬キャンプでは服装を万全にする必要があります。服の選び方ひとつで、その日のキャンプの質が大きく左右されるからです。夏であれば、多少の選択ミスは「少し暑い」「少し肌寒い」といったレベルで済みます。
一方で、冬は冷え込むと眠れない夜になったり、焚き火を楽しむ余裕がなくなったりします。その結果、キャンプそのものを楽しめなくなり、体調を崩すリスクもあります。
冬キャンプでは、昼はおおよそ10℃前後でも、夜になると一気に5℃以下まで冷え込むことも珍しくはありません。山間部や海辺では、風の影響もあって体感温度がさらに下がる場合もあります。
このような温度差に対応するためには、厚手の服を一枚着てがまんするのではなく、何枚かを重ねて、暑くなったら一枚脱ぐという調整しやすい着方が重要です。
冬キャンプの服装はレイヤリングにこだわる
冬キャンプの服装でまず覚えておきたいキーワードが「レイヤリング」(重ね着)です。レイヤリングは、肌に触れる一枚目のベースレイヤー、体温をためる中間着のミドルレイヤー、風や雨・雪から守る外側のアウターレイヤーという三つの層を意識して服装を組み立てる考え方です。この三層を頭に入れておくだけで、どの場面で何が足りないのか、どこを強化すればよいのかが見えやすくなります。
ベースレイヤー

ベースレイヤーは、肌に直接触れるインナーにあたり、汗を素早く逃がして体を冷やさない役割が求められます。速乾性に優れた化繊インナーや、調湿性と保温性に優れたメリノウールのインナーを選ぶと安心です。綿のインナーは汗を吸っても乾きにくく、時間がたつと体温を奪うため、着用は控えましょう。
トップスだけでなく、タイツもベースレイヤーとして取り入れると、腰や太ももの冷えを抑えられます。まずは「汗でびしょびしょになって冷えてしまわないインナーを選ぶこと」が、冬キャンプの服装づくりの第一歩です。
ミドルレイヤー

ミドルレイヤーは、ベースレイヤーの上に着る中間着で、体温をためてあたたかい空気の層をつくる役割があります。たとえば、フリースやウール・化繊のニット、薄手のダウンジャケット・ベストなどです。
選ぶ際のポイントは、前が開くなど、脱ぎ着しやすく体温調節がしやすいデザインであること。また、動きやすさが確保されていることです。テントの設営や撤収のときは動きやすさが求められ、体を動かすので暑くなりやすく、こまめな着脱が必要になるからです。
具体的には、前開きのフリースやボタンタイプのダウンジャケットなどがおすすめ。分厚い一枚のトップスに頼るより、少し薄めのものを二枚重ねるほうが、温度調節の幅が広がるとイメージしましょう。
アウターレイヤー

アウターレイヤーは、いちばん外側に着るジャケットで、風や雨、雪から全身を守る役割があります。ここが弱いと、どれだけ中に着込んでいても、強い風に吹かれた瞬間に一気に体温が奪われてしまいます。冬キャンプでは、防風性を重視しつつ、必要に応じて撥水性や防水性も備えたアウターを選ぶことが重要です。
具体的には、防風性と撥水性を備えたハードシェルのジャケット、防風性の高い厚手のダウンジャケットなどが候補になります。
腰回りまで隠れる丈や、裾や袖口をきゅっと絞れるデザインであれば、冷気が入り込みにくくなります。雨や雪が心配なときは、防水透湿素材のレインジャケットをアウター兼用として持っていくと、天候の変化にも対応しやすくなります。
気温別の冬キャンプの服装例

気温10℃〜15℃未満
気温が10℃から15℃に満たないくらいのときは、昼間に体を動かしているとそこまで寒さを感じない温度帯です。トップスは、長袖の吸汗速乾インナーの上に長袖Tシャツやシャツを重ね、さらに薄手のフリースやカーディガンを羽織る構成をイメージするとよいでしょう。
その上から、ライトな中綿ジャケットや、防風性のあるマウンテンパーカのようなアウターを用意しておくと、夕方から夜にかけての冷え込みにも対応しやすくなります。
ボトムは、ストレッチ性のあるパンツの下に薄手のタイツを合わせるスタイルや、裏起毛のアウトドアパンツを一枚で履くスタイルが目安になります。
足元は、クッション性のあるスニーカーやローカットのトレッキングシューズでも問題ありませんが、厚手のソックスを合わせると、夜の時間帯も足先が冷えにくくなります。
気温5℃〜10℃未満
気温が5℃から10℃に満たないくらいは、多くの人が「寒い」と感じる温度帯です。日中でも上着がないと長時間外にいるのがつらくなり、夜はさらに冷え込みが厳しくなります。
この温度帯では、ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーの三層構成をしっかり意識して服装を組み立てる姿勢が大切です。
トップスは、防寒性の高いインナーを上下で着用し、その上に中厚手のフリースや薄手のダウンジャケットといったミドルレイヤーを重ねます。
さらに、防風性のあるハードシェルジャケットをアウターとして羽織れば、風からしっかり体を守れるようになります。テント設営などで体を動かす昼間はアウターを脱いで調整し、食事や焚き火で座って過ごす時間や夜間は、三枚すべてを着込むイメージで考えるとわかりやすいでしょう。
ボトムは、厚手のタイツの上にアウトドアパンツを履く組み合わせや、中綿入りパンツを選ぶスタイルが目安になります。
また、この温度帯からは、防寒小物を加えるとより快適です。ニット帽やビーニーで頭を覆い、ネックウォーマーで首元を温め、手袋で手先を冷えから守ると、同じ服装でも体感温度がかなり変わります。頭、首、手首、足首という四つの「首」の部分を冷やさないことを意識してみてください。
気温5℃以下
気温が5℃を下回り、夜は0℃前後まで下がることもあるような環境では、本格的な冬キャンプの装備が必要になります。都市部での服装の感覚だけで考えると、防寒が不足しやすい温度帯です。
トップスは、厚手の機能性インナーや厚手のメリノウールインナーをベースに、その上に厚手のフリースを重ねます。さらに必要に応じて中綿ジャケットを間にはさみ、その上から防風性の高いダウンジャケットやハードシェルを羽織る三〜四層構成を前提に考えると安心です。
風を通さないアウターと、十分な中綿量を持つミドルレイヤーの組み合わせは、長時間の焚き火タイムや星空観賞の心強い味方になります。
ボトムは、厚手のタイツの上に中綿入りパンツを履くスタイルや、スキーウェアに近いしっかりした防寒パンツを選ぶスタイルが有効です。
靴は、保温材を内蔵したウィンターブーツや、保温性と防水性を兼ね備えたアウトドアブーツを選びます。厚手ソックスを履くことも前提になるため、靴のサイズは少しゆとりのあるものを選ぶと快適でしょう。
さらに、カイロやダウンパンツ、電熱ベストなどの一段上の防寒アイテムも、この気温帯では積極的に取り入れたい装備です。
気になる寝る時の服装について
寝るときの服装は、たくさん着込めばよいというものではありません。寒さが不安で何枚も重ねてモコモコになってしまうと、寝袋の中で体を動かしにくくなり、寝袋本来の保温力がうまく引き出せない場合があります。
基本的には、機能性インナーの上に薄手のフリースやスウェットを重ね、ボトムは機能性タイツとスウェットパンツといった、動きやすくて適度にあたたかい組み合わせを目安にするとよいでしょう。
足元は、締め付けの弱い厚手ソックスを一枚履く程度にとどめ、血行が悪くならないように意識します。頭や首からは熱が逃げやすいため、ニット帽やネックウォーマーを着けて寝ると、体感温度がぐっと上がります。
寝袋に表記されている使用温度はあくまで目安でしかないので、インナーシュラフやブランケット、毛布などを用意しておき、その日の寒さに合わせて重ねられるようにしておくと安心です。
冬キャンプの服装で注意すること

冬キャンプの服装で特に注意したいポイントは、汗冷え・焚き火の火の粉・足元の冷えの3つです。
汗冷えとは、テント設営や薪運びなどでかいた汗が服に残ったまま冷えて、体を急に冷やしてしまう状態です。吸汗速乾インナーを活用するとともに、汗をかきやすい人はインナーの着替えを一枚用意しておくと安心です。
また、ナイロンなどの化繊素材の衣類に焚き火の火の粉が当たると、簡単に小さな穴があいてしまいます。焚き火のそばにいるときだけでも、綿素材を多く使ったジャケットや、難燃素材のエプロンなどに切り替える、難燃素材のブランケットを羽織るなどして対策しましょう。
さらに、足元の冷えも見落としがちなポイントです。地面からの冷気は意外と強く、足先が冷えると、体全体が冷えます。厚手のソックスとあたたかい靴を用意するだけでなく、テント内ではダウンブーツやルームシューズを履き、さらにマットやラグを敷いて地面の冷たさを遮断するなど、足元まわりの対策も意識してみてください。
キャンプの服装は冬こそ力を入れて!

冬は、服装の準備さえきちんとできていれば、キャンプを快適に楽しめる季節です。人が少ない静かなサイトや、澄んだ空気、きれいな星空、そして焚き火のぬくもりは、冬ならではの魅力といえます。
その入口になるのが、ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーというレイヤリングの考え方や、気温別の服装イメージ、寝るときの服装や注意点などの基本的なポイントです。
少し多いかなと感じるくらい防寒アイテムを用意しておけば、当日も心に余裕を持って過ごせます。次のキャンプでは、ギア選びと同じくらい冬の服装にも力をいれて、楽しい冬キャンプをお過ごしください。







