登山やハイキングに必ず持参したい!行動食の選び方と作り方

2020.07.15

私が書きました!
里山トラベラー
宮本将弘
山歩きと暮らしをテーマに各地の里山を巡る里山トラベラー。2015年に山歩きに取りつかれて以来、週末に登山する日々を続ける。2017年から自身のWEBメディアの運営を開始。記事の執筆やSNS(@masa_yco)にて山歩きと里山の魅力を発信しています。

こんにちは、里山トラベラーの宮本です。登山やハイキングにおける行動食をご存知でしょうか。行動食とは歩きながらでも手軽に食べられる高エネルギー食品のことを指しており、バテずに長時間歩き続ける登山には欠かせない重要なものになります。

今回はその行動食についてのお話です。管理栄養士「中道 麻智子」さんに監修いただき、行動食の秘密に迫ります。簡単な行動食も作ってみましたので、そちらにも注目ください!

行動食とはバテないための高エネルギー食品

日帰りの登山やハイキング、1泊2日の山旅では、登りや下りを繰り返しながら数時間ずっと歩き続けます。全身を使った有酸素運動になるため、汗で水分を失うと同時に体の中のエネルギーも激しく消耗していきます。

山の頂上で食べるご飯が格別に美味しく感じるのは景色のほか、体が栄養を欲しているからではないかと思えるぐらいです。

山で食べるごはんは登山の楽しみの一つですね。主食をいつ何をどれだけ食べるのかのにもより、行動食の考え方も変わります。写真はラーメンにウインナーを入れた単純なものですが、美味しかったです

ただ、朝早くから出発して頂上に着くのがお昼ごろの場合、歩くコースの標高差にもよりますが、途中でエネルギー補給しないと「シャリバテ」を起こしてしまい、場合によっては歩けなくなり、事故の原因にもなります。

「シャリバテ」とは登山用語でシャリ=ご飯、バテ=バテるを指しており、主食になるご飯が不足してしまって体がバテてしまう状態になります。

せっかく楽しみにしていた登山…バテて嫌な思い出になるのも悲しいですよね。そんなときに必要なのが行動食です。

行動食の3つの条件

登山における行動食は食べ物ならなんでもいいというわけではありません。主に3つの条件が必要になります。

①高エネルギー
②保存性
③携行性

この条件を満たしているものが登山の行動食として適したものになります。

①高エネルギー

人間の活動エネルギーを作る3大栄養素「糖質」「脂質」「たんぱく質」を軸に「ビタミン」「ミネラル」を含んだ5つの栄養が豊富に含まれた食品が必須です。

体の一番のエネルギー源になりもっとも即効性の高い「糖質」は主食となるご飯やパンから摂取するようにします。行動食としてよりも、登山前日の夜ごはんや当日の朝・昼ごはんに食べることで一日分のエネルギーを確保します。

糖質はエネルギー消費も早いため、消費量が多い登山では糖質だけでは足りません。脂質は糖質ほどではないですが、エネルギーを作り、たんぱく質は体を作るために重要な栄養素の一つになります。それらを補う働きがあるのがビタミン、ミネラルになります。

5つの栄養素をバランスよく摂取することがシャリバテを起こさない秘訣になります。

②保存性

登山のハイシーズンは世界遺産の富士山が賑わう夏(7月~9月)ですが、気温が高いと痛んでしまう食べ物は行動食としてはNGです。

お腹が空いて何か軽く食べようとしたときに痛んでしまっていては、食中毒や下痢などで体調を崩してしまう可能性もあるため、賞味期限が当日のものも危ういですね。

気温に左右されずに、ある程度ほかっておいても問題ない保存性の高い食品が行動食として望ましいです。

③携行性

行動食は読んで字のごとく行動しながら食べるものです。つまり小休憩や歩きながらでも食べられる持ち運びしやいものが相応しいです。

お湯を沸かしたり、調理しなければ食べられないものは朝昼晩のご飯用として準備しましょう。

また、登山では一度にたくさん食べるよりも小まめに食べる方がエネルギーが持続できるため、歩きながらでも取り出しやすい小さなものが好ましいです。

食べるのが楽しみになることも大事

行動食の3つの条件の他に、個人的に大事にしているポイントは「食べるのが楽しみになるもの」です。上記の条件を満たしていることが前提になりますが、ただエネルギーを摂取するだけのものではなんだか味気ないですよね。

例えば新作のお菓子を持って行く、色々なお菓子を組み合わせて美味しくするなど自分なりの楽しみを行動食に取り入れると「早く食べたい!」とワクワクして登山がさらに楽しくなります。

1回の登山で必要な行動食の量

1回の登山やハイキングで必要な行動食の量は計画によって変わります。日帰りの往復3時間コースと1泊2日の山旅では持っていく量が全然違うということです。

日帰り3時間コースなら、主食は別にしてアメやチョコレート、ドライフルーツを少量でも十分ですが、1泊になると移動時間も増えるためナッツやドライフルーツが組み合わさったトレイルミックスや飲料ゼリーなどがあると役立ちます。

登山計画と同時に食料計画も考えなければいけません。どのくらいの食料が必要になるかの目安になる計算式がありますのでご紹介します。

登山で必要なエネルギー量=基礎代謝+登山で消費するエネルギー量

基礎代謝とは人間が1日に必要なエネルギー(kcal)を指していて、年代や性別によって異なります。

18~29歳    男性1,520kcal 女性1,110kcal
30~49歳   男性1,530kcal    女性1,150kcal
50~69歳   男性1,400kcal 女性1,110kcal
70歳以上 男性1,290kcal    女性1,020kcal
※参考:https://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html

基礎代謝を参考に登山で消費するエネルギーは下記の計算式によって割り出すことができます。

消費するエネルギー=7メッツ×体重×時間

メッツという言葉は聞きなれないですがMetabolic equivalentsの略で活動や運動を行ったときに平常時の何倍のカロリー消費をしているかを表す単位のことです。

登山は7メッツ前後とされているので、キリの良いところで7メッツとしています。この7メッツに対してご自身の体重と運動時間をかけ合わせることで、1回の登山消費するエネルギー量を計ることができます。

例えば僕の場合

男性、年齢40歳、体重64kgで5時間の登山を予定

基礎代謝=1,530
登山で消費するエネルギー量:7×64×6=2688kcal 
登山で必要なエネルギー量:1,530+2,688=4218kcal

4218kcal必要ということになります。思ったより多くてびっくりですが目安となる指標になります。

この数値を基準に主食と行動食の量が決まってきます。もちろん登山中にこれほどのkcalを摂取しなければいけないという訳ではなく、前日や当日の朝に何をどれだけ食べたかも関わります。

僕はいつも某マンガに影響されて、登山前日に大盛りパスタをで食べることが多いです。パスタは糖質をたくさん含んでるので理にかなってるのですね。

高糖質の栄養を細かく摂取するのがおすすめ

【管理栄養士からのポイント】登山中にポイントとなるのは高糖質のものを食べることですが、一度に食べてしまうと血糖値が急上昇するだけでなく内臓に負担がかかりますので、1時間あたり300~600kcal程度を目安にこまめに食べることがおすすめです。食べてからエネルギー源になるまでは少し時間がかかりますので、小腹が空く前に食べるようにしましょう。

行動食として適切な食品

行動食として適切な食品をご紹介します。いずれも一つだけでは栄養が足りないので、何個か組み合わせて持っていくのがポイントです。

ミックスナッツ

ナッツ類は脂質を多く含んでいる栄養素の高い食品です。スーパーやコンビニでもミックスナッツとして販売されているので、日帰りで短いハイキングには1袋持って行くだけでも足ります。

マカデミアナッツ、アーモンド、カシューナッツの順にカロリーが高く、ピーナッツやくるみもレスベラトロールという代謝を高める栄養が含まれているため、もし何を買っていいのかわからない場合は、保存性も高いのでミックスナッツを準備することをおすすめします。

唯一難点をあげると歯に挟まる…でしょうか。

ドライフルーツ

ドライフルーツは果物が持つ栄養がそのまま含まれているので、行動食として人気も高いです。体への吸収が早いとされる果糖やブドウ糖も豊富なためプロスポーツ選手からも利用されています。

果物ごとの特性から一つではなく、種類を混ぜて食べるのがおすすめです。

ゼリー飲料

ゼリー飲料の最大の魅力は即効性のある飲み物飲料ということです。登山中にバテてきたなと思ったときに摂取するとたちまち体が元気になります。

もちろん個人差はありますが、僕は何度も助けられてます。往復7~8時間するコースや1泊する山旅には必ず持参するようにしています。

羊羹

羊羹は和を感じることができる昔懐かしい味が美味しいですよね。温度に左右されないことや水分を含んでいるので口の中でパサパサしません。カロリーも十分ですので甘いものを食べたいときは行動食として最適です。

せんべい

行動食だけではなくおやつにもなる日本ならではのお菓子です。原料は米でできているため、カロリーは高く保存性も高いです。

チョコレート

恐らく多くのハイカーから好まれるチョコレート。糖分だけではなく、ビタミンEやカルシウム、マグネシウムも含んでいるため栄養素としても申し分ないです。

頭を使う仕事中にチョコを食べると集中力が増すと言われますが、同じように登山中でも脳を活性化させることで道迷いや状況判断を鈍くさせないように補助してくれます。ただ、気温が高いと溶けてしまうのが難点ですね…。

行動食は複数の栄養素を組み合わせることが大事

【管理栄養士からのポイント】行動食の中でもエネルギー源となる糖質が多く含まれるせんべいやチョコレートなども重要ですが、糖質はビタミンやミネラルと一緒に摂ることによってより早くエネルギー源に変わりやすくなります。組み合わせとしては、ビタミンやミネラルが添加されているゼリー飲料とチョコレート、代謝を高める効果のあるナッツとせんべいなどがおすすめです。

登山では汗をかくことで体内のミネラルも失われやすくなります。簡単に食べることができるミネラルやビタミンがバランスよく含まれたプロテインバーなども効果的ですよ!

手軽で簡単!行動食の作り方「グラノーラバー」にチャレンジ

行動食は市販のものでも十分事足りますが、欲深い僕は手作りの行動食を作ってみたくなりました。行動食のレシピは色々ありますが、今回はもっとも簡単なグラノーラバーを作ることにします。素人がチャレンジするものなので、温かく見守ってください。

■材料

・グラノーラ(240g)
・ドライフルーツ(適量)
・マシュマロ(60g)
・バター(30g)
・はちみつ(大さじ1)

■作り方

1)マシュマロとバター、はちみつを耐熱ボウルに入れる。そのままレンジで1~2分

2)あたたかいうちにマシュマロとバターとはちみつを混ぜる

3)グラノーラを加えて、さらに混ぜる

4)トレイにクッキングシートを敷き、ドライフルーツを下に敷く。そのあと(3)を入れて、上からお好みでドライフルールをのせる。冷蔵顔で30分程度冷やします。

5)冷蔵庫から取り出して、食べやすいサイズにカットします。登山やハイキングでは一口でも食べやすいサイズがおすすめです。

完成です!ドライフルーツはお好みとしてましたが、グラノーラだけでは口の中がパサパサになるのでフルーツが入っていた方が食べやすくなります。

一度はやってみたかった手作り行動食。料理が苦手な人でも材料を揃えるだけで簡単に作れます。自分で作った行動食を登山やハイキングに持って行くのはとても楽しみです!

応用としてチョコレートを混ぜるのもおすすめ

【管理栄養士からのポイント】グラノーラは食物繊維が豊富に含まれる全粒粉やライ麦・押し麦などが使われている物がおすすめです。雑穀に含まれるビタミンやミネラルも摂ることができます。バターの代わりに血液サラサラ効果のあるココナッツオイルやオリーブオイルに変えるアレンジも風味が加わり美味しいですよ。さらに糖質が多く摂れるチョコレートを加えるのもおすすめです。

非常食としても役立つ行動食

登山やハイキングにおける行動食はバテないためにするものですが、登山で食べきれなかったり、買いすぎて使わなかったりしても非常食としても使えますので、家に常備しておくといざというときに役立ちます。

これは僕の実体験なのですが、非常食と言っても永久的保存ができるものではないので、いつかは賞味期限が切れます。備えとして購入したものを久しぶりにチェックしたとき既に1年ほど切れていて、もし本番だとしたら食べるのに躊躇してしまう…と思いました。

今後はそんなことのないように比較的新しいものを取り入れていこうと思ったのですが、そんなに毎回買うものではなかったのでどうしたもんかと悩んでいました。

それでふと登山で使う行動食は非常食にもなると気づいたのです。それなら適度に循環させることができるので、一石二鳥となったのです。主食にはならないけど、体を維持する補助食としての行動食は個人的にも極めていきたい分野です。

登山後に疲労した筋肉を回復させることも忘れずに

【管理栄養士からのポイント】行動食はエネルギー源となる高糖質であるドライフルーツやゼリー、糖質をエネルギー源に変える際に必要なビタミンやミネラルが豊富に含まれるチョコやナッツ類を組み合わせて摂ることが必要です。また、登山後では活発に筋肉が使われるため筋肉の疲労が起こり、筋肉の回復のためには筋肉の材料となる肉や魚、卵や乳製品、大豆製品などのタンパク質を摂ることが必要です。手軽にタンパク質を豊富に摂ることができるプロテインは特に筋肉の疲労回復に効果的ですよ。

登山では欠かすことが出来ない行動食。食べることがワクワクするような行動食を選び、登山をより楽しめるようになると良いですね。

この記事の監修
管理栄養士 中道 麻智子さん
ママ管理栄養士。料理教室講師を経験後、委託給食会社で小学校や保育園の管理栄養士として献立作成やカロリー計算、大量調理を経験。その後妊娠出産を機に独立し、300名以上のダイエットサポートやジムに通う方の食事指導、記事執筆や食の専門家のコミュニティ運営を行っている。
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