【b*pみそ部】あれから1年。「完熟みそ」ができました! | ナチュラルライフ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2021.05.25

    【b*pみそ部】あれから1年。「完熟みそ」ができました!

    b*p

    おひさしぶりです。「b*pみそ部」です。

    昨年11月にジップロックで仕込んだ、ぼくらの手作りみそ。1年たって、どうなっているのでしょうか?

    ちょうど一年前に仕込んだみそは、こちら。

    【みそ1】 富山代表 →中辛・やや塩分控えめ
    ・大豆350g
    ・富山「石黒種麹店」の米こうじ400g
    ・塩120g

    【みそ2】 越後代表 →やや甘口・塩分控えめ
    ・大豆350g
    ・新潟「越後みそ西」の米糀500g
    ・塩80g

    【みそ3】 東京・埼玉代表 →辛口・塩分控えめ
    ・大豆300g
    ・「みやここうじ」300g(1袋半)
    ・塩60g

    「麹」の種類と「塩分」の量をそれぞれ変えて、3種類のレシピで仕込みました。

    ●詳しくはこちら↓
    ・【b*pみそ部】ジップロックで「みそ」をつくろう。
    https://www.bepal.net/archives/257766

    ・【b*pみそ部】「手作りみそ」3か月後。酸味があって…う、ウマいっ!
    https://www.bepal.net/archives/257765 

     

    1 富山代表:芳醇な風味と余韻の長さ。すばらしすぎる!

    まずは、富山の麹で仕込んだみそをチェック。

    3種類つくったなかで、熟成がもっとも早く、最後までジップロックで完走できたのは、このみそだけでした。

    ご覧ください、ジップロックのまま、完熟のみそが出来上がっております!

    さっそく味噌汁に仕立ててみたのですが、む、この味は……、驚異的においしいではないですか! 

    馥郁たる上品な香りと、非常にのびやかな余韻。

    味わいも、甘み、旨味、酸味がハーモニーになって、ナチュラルワインのような複雑かつ緻密な味わいです。とてもジップロックでつくったとは思えません。

    とはいえ、ジップロックのままだと料理に使いづらい。

    ということので、ほうろう容器に移し替えて、冷蔵庫に保管することにしました。

    2 越後代表:肉味噌に合いそうな、まろやかな旨み!

    さて、お次は越後麹で仕込んだみそ。塩分量をかなり少なめにした減塩タイプです。

    当初、ジップロックで仕込んだのですが、1ヶ月後に、袋の中のつぶした大豆の端っこにぽつぽつとカビが発生したため、タッパー的な密閉容器に移して発酵させました。

    越後麹のみそは、富山麹よりも固くて濃い色に仕上がりました。水分が少なく、がっちりと硬めの仕上がりです。

    香りはおだやかで、まろやかで上品な旨味。むむむ、おいしい。味噌汁のほかに、油を使った料理、たとえば肉豆腐炒め、肉味噌なんかにも超絶合いそうです!

    3 東京・埼玉代表:「豆鼓」のような、こくのある味!

    ラストは、「みやここうじ」で仕込んだみそ。こちらは越後代表以上に塩分控えめにしました。

    減塩仕様ではありますが、麹の量も少ない(米:麹比率1:1)の、辛口みそタイプです。

    「たまり」とよばれる水分がいちばん多く出ていました。

    仕上がりもやわらかく、クリーミーです。色は、3種類の中でいちばん濃く、黒っぽいみそになりました。

    香りは穏やかで、塩味はほとんどしませんが、味は中国の調味料「豆鼓」(とうち)のような、こくのある風味があります。

    こちらも麻婆豆腐、肉味噌炒め、野菜炒めなどに合いそうです。

    良くも悪くも、みそっぽくないので、和食以外にも相性がいい。洋風の野菜スープに加えてみると、とても上品な味わいになりました。ビーフシチューの隠し味にも合いそうです。

    市販の「速醸みそ」より「手作りのみそ」がおいしいのはなぜか?

    一度つくってみて、ほんとうに実感できたのですが、手作りのみそは、風味、香りがまったく違います。もう、ほんとうに伸びやかでよいにおいがするのです。

    市販のみそと、手作りのみそ、いったい何が違うのでしょうか?

    市販のみその多くは、「速醸」(そくじょう)と呼ばれる製法で造られています、発酵タンクを保温することで、発酵を促進させる製法で、この方法だと、半年~1年かかる発酵熟成が、1~3ヶ月ほどに短縮できます。

    また、腐敗を防ぎ、効率よく発酵させるために、採取した優良な酵母を培養した「培養酵母」と、同じく天然の優良な乳酸菌を培養した「醸造用乳酸菌」を添加して、醸します。

    速醸の製法がうまれたのは、大正時代でした。1915年に河村五郎が熱仕込みといわれる速醸法を開発。「早づくりの仙台みそ」として広まりました。1944年には長野県の中田栄造が、わずか20日間でみそを熟成させる醸造法で特許を取得しました。おりしも太平洋戦争のまっただなか。戦地で必要とされたタンパク源を、速く効率よく製造する方法として広まり、以降、信州みそが全国に普及していきます。

    一方で、手作りのみそづくりは、「天然醸造」です。みそは一年中仕込めますが、冬場は気温が低いため、発酵が非常にゆっくりとしか進みません。大豆・麹・塩を混ぜた「みそのもと」は、空気中や仕込んだ人の手に棲んでいた「天然の乳酸菌」「天然の酵母」をとりこみながら、四季の気温の変化と連動した自然のリズムで、ゆっくりと発酵を進めていきます。

    もともとは、日本の多くの家庭でみそは手作りされていました。昔は、麹も使わずに、大豆を茹でてまるめた「みそ玉」を軒先につるしておいて、天然のカビや菌類が付着するのを待ち、みそを醸したのだそうです。

    今回、ぼくら「b*pみそ部」が実践したように、手作りのみそでも、じつは3ヶ月くらいから食べることができます。できるのですが、上記のような完熟味噌になるまでには、半年から1年くらいかかります。

    最も発酵しやすい温度にキープし、醸造用に選抜されたサラブレッドのような酵母・乳酸菌を添加することで、その発酵時間を最短にする手法が、「速醸」なのです。

    日本酒における「生酛づくり」、ワインにおける「ビオ」

    もうひとつ、手作りみそと市販のみその違いがあります。市販のみそは、熱を加えるなどの殺菌工程をへて、店頭に並びますが、手作りのみそは、いわば「生」のまま。発酵を担ってきた酵母も乳酸菌も、まだバリバリ生きています。

    醸造用の酵母や乳酸菌を添加せず、温度も酵母も乳酸菌も何から何まで自然まかせなので、みその中には、発酵によって自然につくりあげられた「微生物の生態系」(細菌フローラ)ができています。そう、みその中には、細菌たちの生態系がある。腸内に細菌フローラがあるのと同じです。

    そうしてできたみその味は、ひとつひとつ違います。ひとつとして同じみそはできません。

    だけど、醸し出す風味、香りのパワーは圧倒的です。味わいにも酸味やいろいろな甘みが感じられ、余韻も長い。

    市販のみそは、腐敗やカビなど、発酵の失敗を避けることを何よりも重視しなくてはならないため、発酵力が強い「サラブレッド的な醸造用酵母」や、雑菌駆逐力が高い「アスリート系の醸造用乳酸菌」を添加します。

    ちなみに、こうした酵母や乳酸菌も、もとは天然空間から採取されたものなので、人体への悪影響はまったくありません。そのような酵母・乳酸菌できるみそは、毎回同じ味になります。市販商品では、同じ味を再現することは、とても重要なことです。

    それにたいして、醸造用の酵母・乳酸菌を添加しない、手作りのみそは、アスリートでもサラブレッドでもない、種々雑多な酵母や乳酸菌をとりこんで、天然の菌フローラを作り出します。それら非アスリート系の無名の酵母・乳酸菌が、みそに、ふくらみのある複雑な味を生み出すのです。

    以上のような製法の違いから、市販のみそは、すっきりとしていて「みそらしい」おいしさに、手作りのみそは、ふくらみや余韻も含めた複雑な風味のみそになることが多い。

    市販のみそは、最新の技術と長年の智恵を結集した「人」が主役のみそですが、手作りのみその場合、主役は「人」ではなく、「自然」なのです。

    手作りしたみそは、酵母や酸を添加しない伝統的なワイン醸造法や、乳酸菌や酵母を添加しない日本酒に似ています。手作りみそは、ワインでいうところのビオ(ナチュラル)ワイン、日本酒でいうところの「生酛(きもと)造り」「酵母無添加」の日本酒なのです(たとえば「新政」「純青」「仙禽ナチュール」)。

    手作りのみそは、「ビオみそ」「みそナチュール」なのです。時間もかかるし、効率は悪いけれども、うまくできると、市販のみそを超える圧倒的なおいしさになる。自然仕込みの、何から何まで天然育ち、それこそが、手作りのみその魅力です。

    来シーズン、「b*pみそ部」は、ほうろう容器で仕込みます

    手作りのみそは、香りがすばらしく、味も風味も抜群です。酵母が生きているせいなのでしょう。スーパーで購入しているみそとは、まったくレベルが異なる味だと感じました。

    今回つくってみて、このような本格的においしいみそを、ジップロックやタッパーウェアのような密閉容器で、簡単につくれることが実験的に確かめられました。

    また、塩分を控えめにしても、ちゃんとみそができることが実証されました。塩分を少なくすると、こくと独特の旨みをもつみそができるのです。

    しかしながら、反省すべき点もあります。

    ジップロックの仕込みは簡単なんだけど、そのまま冷蔵庫にしまうと、なんだかビンボー臭いのです。できたあとの保管や美的な観点から総合的に考えると、やっぱり最初から、見栄えの良い機能的な容器で作るのがよいのかもしれません。

    もうひとつ、ジップロックでみそを仕込むときに難しい点があります。それは、カビへの対処です。

    タッパーウェアや、ほうろう容器などで仕込む場合、カビが生えるのは表面(上面)の空気に触れている部分だけなので、そのカビを削れば、まったく問題ありません。

    一方、ジップロックの場合は、袋の中で、みそのもとがずれるので、あらゆる部分にカビが発生する可能性があります。袋の下の方にカビが発生した場合、それを削りとっても、みそのもとの上下左右にある袋とのスキマに、またカビが発生してしまう可能性があるのです。

    そのようなわけで、次回、この秋に仕込むみそは、あの「ほうろう容器」を使って挑戦します!

    (つづきます)

    ・【b*pみそ部】ジップロックで「みそ」をつくろう。
    https://www.bepal.net/archives/257766

    ・【b*pみそ部】「手作りみそ」3か月後。酸味があって…う、ウマいっ!
    https://www.bepal.net/archives/257765

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