博物館に展示してある剥製や標本は、どうやって作られる? その裏側が読める漫画『へんなものみっけ』の作者にインタビュー!
博物館研究助手から漫画家に!標本は100年後に繋がる命かも知れない
『月刊! スピリッツ』で連載中の漫画『へんなものみっけ』は、博物館の裏側を描いた物語だ。そこで働く超個性的な研究者たちは日々生きものと向き合い、標本づくりに勤しんでいる。作者である早良朋(さわら・とも)先生は、なんと実際に国立科学博物館で標本をつくる仕事をしていた。
「今も空いている時間には、標本つくりの助手や、鳥の研究所でバイトをしているんです」
昆虫採集好きの父親に連れられて、小さいころから虫を捕まえに行っていたことがきっかけで生きものに興味がわき、北海道の野生動物を研究する大学に進学。そのときに先輩の紹介で標本をつくる研究所のバイトを始め、標本のおもしろさを知った。
「生きているものを遠くから愛でているだけではわからないことがたくさんあります。交通事故などで死んでしまった動物たちを標本として残し、研究することで、私たちができることが見つかるかもしれない。剥製で残せないときには、皮、骨と残せる部分だけを標本にします。大事な命を無駄にはできません」
例えば交通事故の場合には、なぜ道路まで出てきたのか、死んだ原因はなんだったのかなどの背景が見えてくる。また、昔と比べて大きさに変化があれば、その原因も探っていく。
「研究者たちは、基本的に生きものが大好きだから、努力は惜しまない人が多いです。100年後の未来に命を繋げるために標本の研究は必要なもの。漫画では、彼らの信念をもっと伝えていけたらと思います」
博物館のお仕事漫画『へんなものみっけ』
STORY
市役所から博物館に出向になった主人公の薄井透は、研究員の清棲あかりと衝撃的な出会いを果たす。そして、標本の意味を知っていく…。痛快!ミュージアムコメディー。
作者 早良朋(さわら・とも)
福岡県出身。2016年『月刊!スピリッツ』にて『へんなももみっけ』でデビュー。国立科学博物館で働いていた経験をもとに博物館の裏側を描く。現在1、2、3巻が発売中。
『へんなものみっけ』
※構成/中山夏美
※この記事は、ビーパル12月号に掲載された記事を再編したものです。