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    2020.04.22

    街乗りからはじめて山道まで。改造が楽しみな多機能スポーツバイク

    私が書きました!
    自転車ライター
    山本修二
    1963年東京生まれ、名古屋在住。自転車が得意なフリーランスライターとして、本誌を中心に25年以上東京で活動。2015年に名古屋へ移住し、スポーツバイクの輸入代理店に勤務。2019年12月に再びフリーランスとなり、アウトドア遊びのパラダイス=名古屋から、ディープな情報をお届けします。著書『スポーツ自転車でまた走ろう』(技術評論社) http://yamabon.jp

    インディーズブランドならでは小粋な工夫を満載!

    「多用途、丈夫、長持ち」というテーマをウリにした新しいバイクブランドが東京で生まれた。「Pep cycles」は、メッセンジャーや、自転車店・自転車メーカー勤務を経て独立した海老根拓さんが2018年に立ち上げた。販売する自転車は、現在、1モデル(完成車とフレーム&フォークの販売がある)のみ。フレームの設計からパーツ構成の決定、試作品のテスト、台湾の業者への発注、そして、販売店への営業までたった一人で行なっている生粋のインディーズバイクブランドだ。

    完成車のカラーは、この3色。サイズも3種類用意されている。右からS、M、Lサイズ。Sサイズは、身長155㎝ぐらいから乗れる。完成車の税別価格は、105000円。

    用途の変化にも対応できる高い拡張性

    「自分自身、サイクリングに行ったり、MTBで山を走ったり、レースに出たり、街をのんびり流したり、いろいろな自転車の楽しみ方を経験してきました。年齢や住環境、気分など、その時々で、乗りたい自転車や走る場所って変わっちゃうんですよね。そのたびに自転車を買い足すのも悪くないですが、様々な用途に幅広く使える拡張性の高い自転車が1台あったら、それでいいんじゃない? なんて考えたんです。そんな自転車を作るなら、競技車に求められる軽さよりも、丈夫で長持ちするほうがいいじゃないですか。そうやってカタチにしたのが、NSというモデルです」と、海老根さんは、自身のブランドのルーツを丁寧に説明してくれた。 

    Pep cyclesの創始者・海老根拓さん。長年に亘り東京でメッセンジャーとして走っていたため、メッセンジャーの間でも彼が生み出した自転車のファンは多い。

    フレームは丈夫なスチール製

    この自転車のフレームは、クロモリというスチール素材でできている。カーボンのような強烈な軽さはないが、そこそこ軽く、乗り心地が良く、丈夫で、それほど高価ではない。スポーツバイクのなかでは、長年に亘り根強い人気を誇る定番のフレーム素材だ。完成車として販売されているNS-S1は、アップライトなハンドルに、あえて変速機がないシングルスピード仕様とし、これにちょっと珍しい27.5×1.5インチのタイヤを装備している。パーツ構成により、シンプルな見た目に演出されているが、じっくりとフレームを見ると、拡張性を高めるためのマニアックな工夫の跡が各所に見られる。 

    完成車は、フレーム、フォークともにクロモリと呼ばれる丈夫なスチール素材でできている。標準装備のタイヤは、街乗りにおけるスムーズな乗り心地を引き出す。

    雨でも安心のディスクブレーキ

    フレームの大きな特徴は、ディスクブレーキ仕様という点。天候に左右されない高い制動力を得られるだけでなく、径の異なるホイールの搭載が可能になる。さらに、後輪の軸を受ける部分(リアエンドスロット)を、水平にデザインすることで、後輪の位置を前後に18mm調整できる。これにより、650B27.5インチ)と700C(29インチ)という、2サイズ(BCは、それぞれ規格名)のホイールに対応している。ちなみに、装着できるタイヤ幅は、650B2インチ(約50㎜)まで、700C45㎜まで。

    装着するホイールのサイズに合わせて、後輪の軸とディスクブレーキ双方の位置を前後にスライドできる。この設計のおかげで、650B(27.5インチ)と700C(29インチ)、2種類のホイールと互換する。

    カーボンフォークへの交換も考えた設計

    ハンドル直下に位置するヘッドと呼ばれるチューブは、上が細く、下が太くデザインされた「テーパードヘッド」と呼ばれるタイプを採用。スチール製のノーマルフォークから、カーボンフォークへの交換を可能にするため、そして、フロント周りに荷物を積んだときの剛性をあげるためという。このヘッドのおかげで、カーボンフォークのみならず、グラベルバイク用のサスペンションにも交換できる仕掛けだ。ほかにもリア変速機、ラック、泥除けを取り付けるための台座など、各所に工夫が凝らされている。 

    購入後にカーボンフォークなどへのアップグレードができるよう設計されたフレーム。テーパードヘッドという、上下で径の異なる規格を採用。

    この日、海老根さんが用意してくれたのは、完成車のNS-S1と、フレーム&フォークで販売されているNS-FSにご自身でパーツを組み込んだもの。それぞれを乗り比べてみた。 

    リラックスしたポジションで乗れる!

    NS-S1は、アップライトなハンドルと適度にソフトなサドルのおかげで、視界が広く快適なポジションで乗れる。細すぎない1.5インチのタイヤは、少々荒れた路面でも、心配なく走れる。もちろんアスファルトの上なら軽快に進む。変速機はないけれど、ギア比が重すぎないので、坂道も平地も無理なく乗れる。むしろ変速をする手間や、変速するタイミングを考える作業がない分、楽に乗れるくらいだ。

    このハンドルのおかげで前傾姿勢にならないから、街中でも視界が広く、ユル~く走れる。

    完成車として販売されているNS-S1。シンプルなパーツ構成でまとめているが、フレーム自体は、拡張性やデザイン的な個性を盛り込んだなかなか凝った作り。

    完成車をベースに海老根さんが改造したサンプルバイク。フロントラックは、市販を目指す試作品。スケートボードラックは、社外の市販品。

    どうしても変速機が欲しい、という方もご安心を。リアハブ(後輪軸の部分のパーツ)は、あとから変速機を取り付けることを想定し、多段用のハブにスペーサーを使ってシングルギアに変換しているので、ホイールを交換することなくそのまま多段ギアを組み込める。ハンドリングについては、若干のクセはあるが、慣れれば問題ないレベル。変速機がない完成車で105000円(税別)というのは、割高な印象を与えるが、そのままで乗っても気持ちよく、後々様々な改造がしやすいことを考えれば、悪くない価格設定である。

    好みのパーツで組めるフレーム&フォーク販売もあり

    フレーム&フォーク販売モデルを使い、グラベル&バイクパッキング用に組み立てられた試乗車。キャンプ道具を満載することを想定し、2本脚のスタンドも装備。フレーム販売モデルは、カーボンフォーク仕様となる。

    NS-FSにも試乗させてもらったが、これはお世辞抜きに素晴らしい。NS-S1と同じフレームだが、カーボンフォークを搭載しているため、路面から受ける振動が格段に少ない。スチールフォークのモデルよりも、しっかりと地面を抑えているような感覚も心地よい。700×40Cという大径かつ幅広のタイヤとの相性も良く、完成車で感じたわずかなハンドルのクセもきっちり消されていた。しかも、グイグイと進む。乗った瞬間にバイクパッキングに出かけたくなった。このフレームセットが、75000円(税別)というのは、大手ブランドでは真似ができない破格では? 

    Pep cyclesは、現在、全国約40か所の販売店で購入できる。詳しい商品情報、販売店検索、今後の試乗会スケジュールなどは、Pep cyclesWEBでチェックできる。

    Pep cycles

    http://pepcycles.com/

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