5000円と50万円の薪ストーブの違いとは? | 薪ストーブ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2019.12.22

    5000円と50万円の薪ストーブの違いとは?

    やりたいことがいろいろあって、田舎暮らしを始めた。自分で家を建てることとか、畑で野菜をつくることとか、ヤギやニワトリを飼うこととか。それから、寒い冬を薪ストーブで過ごすこともそうだ。

    田舎暮らしを始める7~8年ほど前、長野県白馬村に暮らす友人の家で初めて薪ストーブの暖かさに触れた。それは、電気や石油が生む熱とは明らかに違う、それまで体験したことがない自然の優しいぬくもりだった。何より家の中で薪を燃やし、火を眺めて過ごせるというのが素晴らしかった。

    人は、長い人生の中で、それまでの生き方や考え方を変えるような出来事に何度か出会うが、このとき私はそれをちょっと感じてしまった。薪ストーブとの出会いにはそれくらいの感動があったのです。

    薪ストーブを導入するための絶対必要条件とは?

    薪ストーブには焚き火と同じロマンがある。ただし、ひとときの焚き火と違い、冬の間薪ストーブを日常的に使うためには覚悟もいる。燃料を切らさないように薪を作り続けるという覚悟だ。

    薪作りは体力勝負の労働であり、それには多大な時間も費やされる。お金を払って業者から薪を購入することもできるが、そうすると薪は石油より、電気より、とても高い燃料になってしまう。自前の山でもあれば、そこから切り出すこともできるが、残念ながら我が家にはない。


    それで私は田舎の情報網と自らのアンテナを駆使して、あちらこちらの伐採現場に出かけ、一升瓶を手土産に、処分に困った伐採木を譲り受け、燃料をまかなっている。手間のかかる仕事だけれど、最近じゃツテが広がって「木を切ったから引き取ってくれ」と連絡をくれる人も多くなり、大いに助かっています。

    大変な薪作りもアウトドアアクティビティのようなもの。疲れるけれど、結構、楽しい。

    50万円の薪ストーブが持つ価値とは?

    薪ストーブは、鉄の箱の中で薪を燃やしてその輻射熱と対流熱で部屋を暖めるというシンプルな道具だ。実際、ホームセンターには、まさに鉄の箱そのものと言っていい薪ストーブが5000円以下で売られている。これが鋳物になると5万円。そして、欧米製のいわゆる高級薪ストーブだと、一気に40~50万円に跳ね上がる。煙突や設置費用も含めるとざっと100万円にもなってしまう。

    おいおい鉄の箱とステンレスの筒だろ、なんでそんなにすんのよ。いくら何でも高過ぎるんじゃないの?無理だ。とても手が出ない。初めてその金額を聞いたときは、正直そう思った。


    でも今は、50万円の薪ストーブにはそれだけの価値があると自信をもって言える。まず、デザインが美しい。炉の中で燃える炎は、エンターテイメント的でさえある。薪ストーブは家の中心に据えられる核になるものだ。火を焚かない夏の間もインテリアとしてそこにあり、毎日眺めて過ごす。そういうものはケチっちゃいけない。暮らしがつまらなくなる。自分がこれだと信じられるものだったら、そこは投資すべきだ。5万円の薪ストーブはどうしたって5万円のデザインを越えられない。

    なんてことを言ってはみるけど、欧米製の薪ストーブももうちょっと安価になってくれると嬉しいのですが。

    本体よりも煙突が大事! 煙が排出されなくちゃ火は燃えない

    薪の燃え方は、同じ薪ストーブとは思えないほどの違いがある。安価なそれは単純に鉄の箱の中で薪を燃やしているだけだ。煙突は煙を排出できればいいという程度の薄っぺらい筒で、あまり重要視されてはいない。

    しかし、薪ストーブの燃焼性能というのは、実は煙突に大きく左右される。どんなに高性能な薪ストーブでも、薪が燃えて発生する煙が効率よく外に出ていかなければ、新鮮な空気が入ってこない。酸素がなければ薪は燃えないのだ。で、いい煙突というのは煙が外に出るまで冷えないように断熱材が入った二重構造になっていて、抜群の上昇気流を発生させる。これがちょっと高価なんだ。

    煙突というと、そこから白い煙がもくもくと立ち上る様子を思い浮かべるが、高価な薪ストーブの場合、実際は焚き始めてしばらくすると、煙はほとんど確認できない。かげろうのような空気の揺らめきが見えるだけだ。

    これは、薪ストーブの二次燃焼システムによる。薪が燃えて発生する不燃性ガスをもう一度燃やす仕組みだ。その燃焼効率は80~90%以上。薪のエネルギーはほとんど無駄なく熱に変えられるのだ。これが鉄箱的廉価ストーブと本物の薪ストーブの大きな違いだ。つまり、より少ない薪で効率よく部屋を暖められ、排気もクリーンというわけ。アメリカやヨーロッパでは、車と同じように薪ストーブにも厳しい排出ガス規制が設けられている。それをクリアし、極めて高い暖房効率を実現しているのですよ。


    我が家には、母屋と、書斎にしている古民家と、多目的小屋にそれぞれ一台ずつ、3台の薪ストーブがある。冬の暖房はそれだけだ。一台でそれぞれの建物全体を暖めることができる。で、ランニングコストはゼロ円だ。

    ピザやダッチオーブン料理もおまかせあれ

    薪ストーブは料理ができるのもいいところだ。ストーブトップではいつでもやかんの湯がたぎり、火が落ちついて燠がいっぱいになった炉はオーブンになる。炉の中にダッチオーブンやスキレットを突っ込んでピザやグラタンが焼ける。

    薪ストーブには灰を取り出すための受け皿がついているが、そこで焼きイモを焼けるのも最近知った。時間はかかるがイモは60~80℃の熱でじっくり火を通すと甘くなる。

    薪ストーブの心地よさをワンシーズンでも体験してしまったら、もうそれがない冬は考えらない。毎日、家の中で燃える炎を眺めて過ごせる。寒い冬にこれ以上の娯楽はないじゃないか。

    私が書きました!
    自然派ライター/セルフビルダー
    和田義弥
    1973年生まれ。主に、アウトドア、DIY、田舎暮らし、家庭菜園などのジャンルで記事を執筆。これまで延べ3年3カ月をかけてオートバイで世界一周したほか、自転車ではアラスカ、フィリピンを野宿ツーリング。2011年から茨城県筑波山麓の農村で田舎暮らし。自宅のセルフビルドや野菜づくりなど、できることは何でも手づくりの生活を実践中。著書に「キャンプの基本がすべてわかる本」(枻出版社)、「野菜づくりを基礎から学ぶ 庭先菜園12ヵ月」(実業之日本社)、「ニワトリと暮らす」(地球丸)、「菜園DIY入門」(地球丸)など多数。 http://www.wadayoshi.com/

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