軽キャンピングカーで、地球半周中です。稚内からロシアへ渡り、モンゴルで道草してから中央アジアへ。イラン、ヨーロッパと抜けてアフリカに上陸。西アフリカのプチ地獄をくぐり抜けて、南アフリカの喜望峰にゴールイン。日本に向かって走っています。
謎の王国は、金太郎飴的絶景
アフリカ18カ国目は、レソトです。
ご存じでしょうか?
南アフリカにぐるりと360度を囲まれた、小さな王国です。
国全体が山脈のなかにあるので、標高は1400メートル以上。ほとんど平地はありません。
どこをどう走っても(といっても幹線道路は少ないです)、金太郎飴的に絶境の絶景です。地球の裏側まで見渡せそうな見晴らしですが、軽自動車には鬼門でした。
上りは、エンジンが唸るほどアクセルを踏んでも、時速15kmが精一杯。ギアチェンジのタイミングを間違えると、下がります。
長い下りともなると、ブレーキパッドが焼きつきそうで怖くてブレーキを踏めません。天国の門に激突しそうな猛スピードになります。
国境でのイミグレとカスタムは、やる気のない職員のやる気のない審査ですぐに終わりましたが、これがのちに問題となりました。
鴨が歩く川辺のキャンプ場(Semonkong Lodge/一泊約2,700円)
小さな集落の先に、川辺のキャンプ場あります。
入り口には、キャンプ場に入れないほど巨大なキャンピングカーが駐車中。ドイツ人夫婦のものです。エンジンは6,000ccで、どでかいタイヤは1本70,000円。サハラ砂漠を走れるモンスター・キャンピングカーです。
ちなみに我が家の軽キャンパーは、660ccでタイヤ一本3,000円くらい。
サハラ砂漠どころか、スーパーマーケットの駐車場でもスタックする代物。ぜんぜん勝負になりません。
夜は、南アフリカ人のグループにステーキとワインをご馳走になりました。キャンプ場の南アフリカ人は、妙に人懐っこくて、すぐにご馳走してくれるんですよね。
アフリカの一番までトレッキング
近所を散歩しました。金太郎飴的絶景のレソトですから、ちょっと歩くだけでこの景色です。
ミニグランドキャニオンの奥には、アフリカ大陸で一番落差がある滝が隠れていました。
伝統的な石造りの丸い家。
レソトがどこよりも絶景感があるのは、標高が高すぎて木がほとんどないからです。大地の細かなシワまで見えます。
諦めるな!4WD専用のキャンプ場(Mamohase/一泊585円)
オーバーランダー(自走旅行者)のアプリ「iOverlander(www.ioverlander.com)」に、「4×4かハイクリアランスな2×4じゃないとたどり着けない」と紹介された僻地のキャンプ場を目指します。軽キャンパーではございますが、無理を承知の挑戦です!岩石ロードをひっくり返りそうになりながら、ゆっくりと七転八倒微速前進。
もうダメかも! 引き返そうとくじけたとき、看板が。
「Don’t Give up!」あと150メートルです。
正直、遠い〜。
泣きながらアクセルを踏みました!
オーナーが驚いた!
這々の体で、なんとか丘の上のキャンプ場にたどり着きました。標高は1,800メートル。
オーナーが、どうやってこんなところに日本人が来たの!?と驚いてくれまして、しかもそんな小さな車で、OMG!!!そんな風に言ってもらえると、こちらも感動ひとしおです。Give Upしなくて幸いでした。夕方は、犬と散歩。
虹の射す天空のキャンプ場(Sani top Lodge1,980円)
レソト観光のハイライトは、サニ峠(SANI PASS)です。南アフリカ側のアプローチは、誰もがその軽自動車じゃ無理!って笑う、岩石の九十九折り。
歩くのすら辛い石と岩の凸凹道ですから、やっぱり我が家の軽キャンパーじゃ無理ですね。
岩石道路を避けて、逆側の舗装道路からアプローチしました。それでも時速15kmすら出せない急な坂道。やっと峠についても、キャンプ場までの100メートルが岩石ゴロゴロロード。腹を擦りまくりながら、羊の横を失礼します。
キャンピングサイトには、何もないです。ただ風が吹いているだけ〜♩
アフリカで一番高いPub
峠の名物は、アフリカで一番高いPub。高いのは値段じゃありません。標高2874m。実はこのパブだけ、ぎりぎり南アフリカの領土だったりする複雑な立ち位置です。
そのため、南アフリカにいるのにレソト観光を楽しめるという「一粒で2度美味しい」Pubなのです。
天上界を散歩すると、七色の橋が。
いつの間にか不法滞在!
絶景散歩のあと、キャンプ場のスタッフから胃が痛くなるようなことを言われました。
レソトから南アフリカに再入国しても、南アフリカの滞在90日間はクリアにされず、初入国した日からカウントされたままということです。つまり、南アフリカに戻った5日後には不法滞在になってしまうのです。これはまずいことになったと国境に行ったら、もっとまずいことになりました。ボクのパスポートに、レソトの入国スタンプがないのです。
イミグレのやる気のない職員のやる気のない仕事ぶりを思い出すに、押し忘れたようです。
人生最大のピンチっ!
次回もまた謎の小国、「エスワティニ」をお送りします。
ワニとカバの住む湖でキャンピング!
石澤義裕・祐子
住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた