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都会から電車で行ける都市近郊の鉄キャンへ行こう!
私たちが行ってきました! 山本修二・由美

東京から名古屋へ移住し、東海エリアと周辺のアウトドアスポットを満喫している夫婦。修二はライター。由美は料理研究家として、BE-PAL.NETでレシピを提案している。
電車はほぼ1時間に1本
京都府の南端、三重県との県境にある笠置町。土地の約8割が山林という木津川沿いにある自然の濃い美しき町。そんな静かな町に、多くのキャンパーで賑わう笠置キャンプ場がある。
木津川沿いにある約3万㎡の敷地は、全面フリーサイト。JR関西本線笠置駅から徒歩約5分。この立地から、鉄道キャンパーにも人気という。
キャンプ道具を入れた大きなザックを背負って、笠置駅へ到着。最初の試練は、ホームから改札に行くための跨線橋の階段だ。斜度のきつい階段を上り切り、ふと窓の外を見ると、レトロな笠置大橋と、その手前にキャンプ場が見えた。「おお、いい感じ!」と気分も上がる。
趣のある駅舎から歩きだすと、あっという間にキャンプ場の受付が現われた。愛想のいいおばちゃんに、料金を支払えばチェックイン完了。あとは、好きな場所にテントを張るだけ。
このキャンプ場では、川に近い笠置大橋を望むエリアが人気だ。それだけに隣のキャンパーとの距離感は気になるところ。そこで、比較的空いている笠置駅の裏側にあたる一番奥のエリアをキャンプ地とした。
テントをセットしたら、隣駅の加茂駅前のスーパーまで買い出しに。キャンプ場周辺には、スーパーがないため、生鮮食料品を買うなら加茂駅まで行くのが便利。しかし、電車はほぼ1時間に1本なので、時刻表のチェックを忘れずに。
また、笠置キャンプ場には、現在、レンタルサービスや売店がない。そこで町の有志らが薪や酒の販売、アウトドア用品のレンタル、コインシャワーなどがある施設を近所に出店し、キャンパーをサポートしている。
日が暮れてきたら、近所で買った薪に火をつけ、酒と簡単な料理を楽しんだ。その背後をディーゼルエンジン、1両編成の関西本線が静かに通り過ぎる。
「ネコバスみたい!」と由美。たしかに山腹を走るバスサイズの列車の窓の明かりは、それっぽいではないか。ニャ~。
翌朝は、キャンプ場の周辺を散策した。仏様が彫られた大きな岩や、遊びカヌー発祥の地の石碑、朝からロッククライミングの練習をする大学生がいるなど、見どころもたくさん。さらに歩き、関西本線が歩道のすぐ横を通る圧巻の景色を楽しんだ。
キャンプ場は、チェックアウトの時間も自由なので、慌ただしく撤収する必要もない。散歩のあとにゆっくり朝食を済ませ、のんびりテントを乾かす時間も作れた。なによりうれしいのは、ゴミを処分してもらえること。駅からの近さやキャンプ場の自由な雰囲気に加えて、周辺の見どころ、遊びどころも豊富な、大満足の鉄道キャンプだった。
JR関西本線 笠置駅から徒歩5分

築120年以上という趣のあるJR関西本線笠置駅の駅舎を出て南東へ。駅中には、カフェ兼売店もある。
↓

わかさぎ公園の先を左に曲がって少し歩き、関西本線の高架をくぐればすぐにキャンプ場。めっちゃ近い!
【立ち寄りスポット】薪やビールが買える最寄り店

キャンプ場から徒歩約2分。薪や酒類、冷凍食品などの販売や、24時間使えるコインシャワーがある店。薪は、針葉樹、広葉樹のほか、短い木っ端まである。

笠置BBQカンパニーM5
住所:京都府相楽郡笠置町笠置佃8
電話:070-1835-4129
営業時間:10:00~19:00
定休日:不定休

【立ち寄りスポット】買い出しは隣の加茂駅前スーパーで
笠置駅から約7分、隣の加茂駅前にあるスーパー。新鮮な魚介類や肉、総菜などが手に入る。木々の間を走る車窓からの風景も一見の価値あり。

サンフレッシュ 加茂店
住所:京都府木津川市加茂町駅東1-7-3
電話:0774(76)7096
営業時間:9:00~19:00
定休日:年末年始
お酒を飲みながら作るお手軽料理

手軽で映えるデリプレート(下)を作ったほか、焚き火で宮崎炭火焼風に焼く鶏ももなど、ツマミ系の料理をゆっくりと楽しんだ。

野菜たち!

列車が隣駅を出発したという駅のアナウンスがいい感じに聞こえる。夜空と、たまに通る電車を眺めながらの焚き火もいいものだ。

木津川に架かる笠置大橋の向こうの山から大きな月が上った。駅近とはいえ、穏やかな山に囲まれた自然の濃いキャンプ場だ。
予約不要の全面フリーサイト
笠置キャンプ場

住所:京都府相楽郡笠置町笠置佃
電話:070-2325-0367
料金:3,200円
営業:通年
予約:不要
テントサイト:約200
その他の宿泊施設:0棟
DOCOMO
au
SoftBank
- 器具による焚き火OK
- ペットOK
- Wi-Fi利用可能1
キャンプ場周辺にある歴史と自然のハイキングスポット

東海自然歩道が関西本線のすぐ横を走るスポットまで行ってみた。眼下に木津川を見おろし、上空にはイヌワシが飛んでいた。


キャンプ場から木津川沿いの東海自然歩道に入り、片道20分ほどの短い散歩を楽しんだ。


1936年にベルリンオリピックを視察した高木公三郎博士が、当地でレジャーカヌーの普及を始めた証。

笠置寺にある高さ約15mの巨大な岩壁に彫られた日本最古の磨崖仏は有名だが、木津川沿いの岩にも仏様が彫られていた。

東海自然歩道は、関西本線に沿って続いている。線路のすぐ横のトレイルを歩く珍しい体験ができた。

笠置ボルダーと呼ばれるロッククライミングの聖地。馬杉雅喜監督の短編映画『笠置ROCK!』の舞台にもなった巨岩を見られる。
駅前キャンプを楽しむ3か条
1 駅のエレベーターや店など導線をよく調べておく
2 ゴミを回収してくれるキャンプ場を選ぶ
3 駅近や周辺に店がないか地域情報を収集する
※構成/山本修二 撮影/岩崎竜太
(BE-PAL 2025年11月号より)







