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自然観察・昆虫

2025.03.11

水族館を運営する全国唯一の部活動!愛媛県立長浜高等学校の「水族館部」が気になる~っ

水族館を運営する全国唯一の部活動!愛媛県立長浜高等学校の「水族館部」が気になる~っ
好きなものへの熱意を持ち、知識や行動力にあふれた子供博士たち。アウトドアの未来を担う彼らのリアルな姿を見せてもらいました!

全国唯一の部活動「水族館部」があり、なんと全校生徒の約6割が所属しているという愛媛県立長浜高等学校に潜入。いったいどんな部活動をしているのでしょうか?

全校生徒の約6割が所属!博士ちゃんだらけ!?の長浜高等学校にお邪魔しました

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全国唯一の部活動「水族館部」がある愛媛県立長浜高等学校(通称長高)。水族館部を目指し、生き物好きの学生が全国から集合! 個人で水槽を管理し、海洋生物について学ぶ授業も実施している。https://ehm-nagahama-h.esnet.ed.jp/

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全力でバックアップ! 水族館部顧問 重松 洋先生

1995年に長高に赴任。1999年に水族館部の前身、自然科学部の生徒とともに長高水族館を立ち上げる。90人以上の部員が、自分の好きな生き物ととことんかかわれるように、指導している。

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冬休み中も50人以上が参加

「いらっしゃいませ。本日はお越しいただき、誠にありがとうございます!」
 
生徒が水族館を運営する全国唯一の部活、長浜高校・水族館部の活動は元気な挨拶からはじまる。取材時は冬休み中だったが、50人以上が参加していた。

「昨年春のデータですが、全校生徒159人中95人が水族館部の部員でした。寮制度もあるので、県外からの生徒も多いんです」と、顧問の重松洋先生。
 
今や生き物好きキッズ注目の高校として全国的に知られているが、一時は廃校の危機に……。
 
2019年度から定員割れが続いたため、’22年度から本格的に生徒の全国募集を開始。オープンキャンパスも実施し、大洲市も就学支援金制度を創設するなど受け入れ態勢を整備。その結果、県外からの入学者が増え、存続が決まったという。
 
水族館部の活動は大きく2つある。1つは自分の担当水槽のメンテナンス。ほとんどの生き物は地元の漁師さんが無償で提供してくれるとのことだ。
 
2つ目は班活動で、研究班、繁殖班、デザイン班、イベント班に分かれている。研究班は個人または数人で、テーマを決めて活動をする。内容は研究者顔負けで、2015年には「カクレクマノミがなぜイソギンチャクに刺されないのか?」という研究に取り組み、国内外で様々な賞を受賞。研究は後輩に受け継がれ、現在、クラゲ予防クリームの開発にいたった。
 
繁殖班はクラゲやカクレクマノミなどの繁殖に取り組んでいる。デザイン班は事務作業や装飾を作るなど、幅広く活動。イベント班は水族館公開日のショーやクイズなどを担当。「最近はビーチクリーンなど、生徒主体でSDGsにも積極的に取り組んでいます」と重松先生。
 
部員のみなさんに話を聞いてみると、「普通は1クラスに1人いるかいないかの、生き物好きがたくさんいるので、会話が尽きません」。「サカナが大好きで、小五のときに長高を知り、オープンキャンパスに来て進学を決めました」。「目の前が海で、思い立ったら釣りができたり、クラゲを採ったりできる!」。
 
毎日が楽しくてしようがない。彼らのイキイキとした表情がそう物語っていた。

研究班/チーム・タコ

脳みそが9つある!!マダコは鏡を見て自己認知できるのか!?

「鏡に写る姿を自分と認識できるのか?」、先輩から受け継いだテーマ。タコの視界に入らない体の一部に印をつけ、鏡を見てタコがそれに触れるかどうかを実験。「印に気づいて触れているのかという点も含め、多くの個体で実験し、正確なものにしたい」と大西くん。立証できれば世界初。

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水槽に鏡を取り付け、実験を繰り返し、動画で撮影をする。「タコの能力を検証!」

チーム・タコのリーダー、大西寅ノ介くん(高2)。水族館部を引っ張る頼もしい部長でもある。

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左の壁が鏡になっている。

研究班/クラゲ・チーム

企業とコラボ クラゲ予防クリームを共同開発!

先輩たちの研究を端に企業から声がかかり、環境負荷の少ないクラゲ予防クリームを共同開発。現在は日焼け止め効果のある商品も発売中だが、塗ると白くなるため、それを解消した新商品が実際に効果があるのかを、クラゲ・チームで検証している。

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クラゲ研究班では5種類のクラゲを飼育&展示。試行錯誤しつつ繁殖にも取り組んでいる。

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右手が『JELLYS GUARD SUN SCREEN』を塗った状態。左手のように白くならない商品を開発中。

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毒針が出るかチェック!

棒の先端に開発中のクラゲクリームを塗り、クラゲに近づけて反応を調べる。橋本治斗くん(高2)は東京、大西香瑛乃さん(高2)は北海道から進学。

まもなく新製品発売か!?

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イベント班/環境チーム

環境問題啓発活動!ゴミや水質汚染など海の環境をわかりやすく解説

海洋汚染や人体への影響が懸念されるマイクロプラスチック問題。実際に目で見て実感してほしいと、煮干しの内臓をほぐしてマイクロプラスチックを顕微鏡で見る体験会などを開催。わかりやすく解説するために、イワシの模型を制作するなど、工夫をこらしている。

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「先輩、ありました!」 「やっぱり!?」

辻美知佳さん(高2)と河野俊くん(高1)。海洋ゴミに関するイベントを準備。

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ほんの数㎜の煮干しの内臓から見つかったことに驚愕。実際に見るとマイクロプラスチック問題の深刻さを実感できる。

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これがマイクロプラスチック。

毎月第3土曜日にOPEN! 水槽の管理から接客まで部員が担当

長高水族館

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展示する生き物の管理はもちろん、準備からスケジュール管理や接客まで、生徒が行なう。

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昨春、隣接する旧長浜保健センターに移転し、リニューアル。150種類、2000点を超える生き物を展示。ハマチの輪くぐりショーやヤドカリのレースなど、生徒発案のイベントも開催。
毎月第3土曜日11:00~15:00に公開。無料。要事前予約。
問い合わせ先 TEL:0893(52)1251

長高水族館部3か条

① 成長し続けるべし!

普段の活動に満足せず、常に挑戦し続ける。

② 天上天下唯魚独尊!

魚を尊いものとして扱い、大切にする。

③ 魚っと驚き、魚っと感動する体験を!

来場者が思わず感動するような公開日を作る!!!

※構成/松村由美子 撮影/小倉雄一郎

(BE-PAL 2025年3月号より)

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