グッと玄人感が上がる!ビクトリノックスのベンチャーコレクションを使ってみた
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    2023.10.28

    グッと玄人感が上がる!ビクトリノックスのベンチャーコレクションを使ってみた

    ブランドロゴの寄り

    スイス発のナイフブランド・ビクトリノックスが、アウトドアで大活躍すること間違いなしの新作ナイフを発売。しかも、今回はナイフだけでなく、マルチツールのノウハウを活かしたオプションも登場。一体どんなものなのか、実際に試してみた。

    ナイフに加えオプションの充実度に注目

    商品の全体

    「ベンチャー Pro」¥16,500

    キャリーループを付けた本体

    シースを付けた状態で持ち運べるキャリーループ付き。

    今回紹介するのは、ビクトリノックスがここ数年力を入れているアウトドアコレクション。こちらのベンチャーは、ナイフ本来の切る機能だけでなく、調理や火おこしなどアウトドアシーンで活躍する機能を盛り込んだアイテムだ。

    ブレードの寄り

    スイスで作られたフィックスブレード(固定刃)。

    ナイフは刃渡り10.5cm、厚み3.4mmで、ブレードの形状は幅広い場面で使えるユーティリティを採用。刃付けはコンベックスタイプで、小薪レベルのバトニングなら問題なく使える。

    本体の横

    付属のシースの裏にはベルトを通せるループ付き。

    六角ホールの寄り

    ナイフの柄尻には六角ホールを備える。

    こちらのナイフ、一見シンプルなように見えるが、ディテールを見ると面白い工夫が見られる。まず柄尻(ハンドルエンド)には六角ホールがあり、レンチやピットを挿して工具のように使える。
    これは後述するオプションを使うとさらに便利になるのだが、六角ホールを備えるアウトドアナイフは滅多にない。

    シーズの先端

    シーズの先端には火吹き穴が開いている。

    また、シースの穴には2つの穴が開いており、ナイフを差し込む側から火に向かって息を吹きかけると、火吹き棒のように酸素を送り込むことができる。ここまでがベンチャーの機能である。

    続いて、ナイフとシースに加え、キャリーシステムも付属したセットアイテム。キャリーシステムには3つの小道具が付いており、火をつけたりささくれを取ったりなど、ブッシュクラフトでも使えるものが揃う。

    ボウドリルディボットの寄り

    柄の中央にあるボウドリルディボット。これはベンチャー Proのナイフのみ装備。

    使用例

    ボウドリルディボットの使い方(出典:ビクトリノックス)

    さらに、柄の中心に付いている円型のシルバー部はボウドリルディボット(bow drill divot)という溝で、ここに枝などの棒を押し当てて弓キリ法の原理(写真1)で使えば火をおこせる。ちょっとした原始的な火おこしができる遊び心あるポイントだ。

    余談だが、本コレクションには「ベンチャー」と「ベンチャー Pro」の2種類があり、前者はボウドリルディボットなしナイフ・シース・キャリーループ、後者はボウドリルディボット付きナイフ・シース・キャリーループ・キャリーシステムセットとなっているため、その点だけ注意しよう。

    本体をシースセットに収納

    キャリーシステムにナイフとシースセットを収納できる。

    シースセットの付属品

    右からファイヤースチール、加圧式ボールペン、ピンセット。

    特にファイヤースチール(以降、スティック)はマグネシウム部を太めで70mmと長く設計し、グレーのハンドルもあるので持ちやすいのが特徴。初心者でも扱える仕様は流石のひと言だ。

    オプションの全体

    「ベンチャー Pro キット」¥7,700

    オプションを広げたところ

    ケースには右からフラットドリル、シャープニングストーン付き。

    さらに、こちらも別売りにはなるがベンチャーに使えるキットも同時発売。ベンチャー Proと一緒にして持ち運べるように設計しており、中には穴を開ける20mmのフラットドリルと、刃を研ぐシャープニングストーン2個が付いている。これらをどう使うかは、後ほど詳しく紹介する。

    実際にフィールドで使ってみた

    フェザースティックを製作

    サクッと刃が入りやすく使いやすい印象。

    バトニング中

    長めのブレードでバトニングも楽チン。

    ディテールを見たところで、実際にフィールドでチェックしてみた。まずはナイフの切れ味。ブレードはドロップポイントを採用し、ものを切ったり皮を剥いだりなど幅広い場面で使えるようになっている。小枝に使うとサクッと入り、気持ち良くフェザースティックを作れた。バトニングも申し分なし。

    火花を散らすところ

    ナイフを使ってスティックで簡単に火花を散らせる。

    次にベンチャー Proのキャリーシステムに装備されているスティックを使ってみた。ナイフの背は90度で直角になっており、スティックの表面にある黒いコーティングを削ってその後スティックを勢いよく引いたら、楽に火花を散らすことができた。

    フラットドリルをセット

    柄尻の六角ホールにフラットドリルをセット。

    穴を開けているところ

    穴を開けたい部分にドリルの先端を当て、ナイフをぐるぐる回す。

    穴を開けたところ

    手動でも比較的容易に掘ることができた!

    最後に、ベンチャー Pro キットに付属するドリルを使ってみた。フラットドリルとは別名スペードビットと呼ばれ、先端のドリルと平たい刃がついた形状が特徴。通常は電動ドリルに使用し、広めの穴を瞬時に開けるのに使う。
    今回は手動なので穴を貫通させるには時間がかかるが、貫通すればその穴に棒を差し込んで木工作を作ることができる。電線やケーブルを通す際によく使われるドリルゆえ、工事現場などで使われる本格道具をナイフで使える点で斬新と言えよう。

    刃を研いでいるところ

    砥石はキャリーシステムを台座にして使う。

    また、ベンチャー Proに付いている砥石は、濡らした状態でキャリーシステムに対して縦に挿し込み、ナイフを90度に保ちながらシャフトから刃先まで砥石の長さいっぱいに引く。キャリーシステムをしっかり支えれば、楽に研ぐことができるので、力に自信がない人でも安心して研げる。

    ここまででベンチャーとそのオプションをひと通り使ってみた感想として、切る、削る、火をおこすといった機能は今までにあったが、穴を開ける、そしてメンテナンスするといった機能は新しく、長く愛用できる秀逸な逸品であると感じた。

    ベンチャーシリーズの気になるところ

    使いやすさ、機能のバリエーションはアウトドアナイフの中では随一を言えるベンチャーシリーズ。一方で気になったのが、価格と重量。

    まず価格だが、ベンチャー Proは16,500円でキットは単体で7,700円。トータル24,200円となり、やや高めな金額だ。ただ砥石付きでメンテナンスができ、加えてフラットドリルやボールペンといった幅広いオプションは用途を広げる意味で便利ではある。たくさん道具を買い込む人より、ベンチャー Pro キットを買ってこれだけでずっと使い続ける人には良さそうだ。

    次に重量。ベンチャー Proはシース付きで210g。ほかのプラスチックハンドルのナイフは80g前後なので、それと比べるとやや重めだ。さらにオプションを含めたベンチャー Pro キットとなると130gにもなる。慣れればそこまで気にならなくなるが、使わないときは外すのもいいだろう。

    豊富な機能!アウトドアシーンで活躍するナイフ

    腰にベンチャーをセットしているところ

    ナイフはある領域まで行くと嗜好品になるが、ビクトリノックスのベンチャーコレクションは耐久性に加えて豊富なオプションが付き、さらにメンテナンスができる点でずっと使い続けられる魅力的なアイテム。「1つのものを長く使いたい」という人は、ぜひこちらを試してみてはいかがだろうか。

    ビクトリノックス「ベンチャー」コレクションの詳細はこちら

    私が書きました!
    『ロウホウ』代表
    小川迪裕
    アウトドア&ファッションメディアの編集者、ライター、コンテンツディレクター。雑誌、WEBメディアの編集と執筆に加え、ブランドのホームページやブックレットの製作も行う。日産・エクストレイルの上にルーフトップテントを載せて車上泊をするのがキャンプスタイル。愛犬のジャック・ラッセル・テリアと旅をするのが今の夢。https://www.michihiro-ogawa.com/

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