“コーヒー豆かす”をアップサイクルした機能性アウターからすべては始まった!業界の壁を越えた『ECOALF』の素敵な展開 | アウトドアブランド 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.10.15

    “コーヒー豆かす”をアップサイクルした機能性アウターからすべては始まった!業界の壁を越えた『ECOALF』の素敵な展開

    2020年の春に日本上陸をした『ECOALF(エコアルフ)』は、スペイン発のサステナブルファッションブランド。海洋ゴミを回収して新たな製品に活用するプロジェクト「UPCYCLING THE OCEANS」を推進するなど、“地球環境を守るために服をつくる”という発想のもとに、ペットボトルやタイヤ、魚網などを独自の技術でリサイクル。これまで300種類以上もの生地を開発して、新たな製品をつくり出しています。

    2020年の秋、そのラインナップの中に登場したのがコーヒー豆かすを生地の原料として利用した機能性アウター「KATMANDU(カトマンドゥ)マルチジャケット」。実はこのジャケットの発売をきっかけに、業種の壁を超えた思いもよらない連鎖が、日本で始まっていたのです。

     

    KATMANDU(カトマンドゥ) マルチジャケット¥46,200 様々なシーンで多様に着こなせる3ウェイの防寒アイテム。

     日本における『ECOALF』のブランド責任者である下川雅敏さん(三陽商会)に、その素敵な展開の一部始終をインタビュー。サステナブルとファッションの共存についてもうかがいました。

    棄てられる“コーヒー豆かす”がファッションアイテムに?

    ーーコーヒー豆かすのリサイクルと聞くと、某人気コーヒーチェーンも行っているような、たい肥や飼料にして再利用する、などが思い浮かびます。衣類に再利用というのは意外だったのですが、「KATMANDU」ではコーヒー豆かすがどのように使われているのでしょうか。

    下川さん(以下敬称略) 廃棄されるコーヒー豆かすを圧搾・圧縮してペレット(粒状)にしたものを、リサイクルポリエステルに混合します。それを糸にして生地を織るのですが、織り上がった生地1m当たりで20杯分のコーヒー豆かすが使われている計算になります。「KATMANDU」の場合は1着で40杯分です。

    現在発売されている「KATMANDUマルチジャケット」は第二弾となるモデルで、アウトドアシーンはもちろん、より日常使いしやすいデザインにアップデートされています。

    「生地1m当たり20杯分のコーヒー豆かすが使われている」というメッセージがアウターの左肩に入れられている。

    --廃棄されるコーヒー豆かすを『ECOALF』が再利用する。その意味は何なのでしょうか。

    下川 ブランドが掲げるメッセージのひとつに、「Waste is only waste if you waste it(ゴミも無駄にすればただの無駄でしかない)」というのがあります。コーヒー豆かすのアップサイクルは、ゴミと言われるものも価値のあるものに生まれ変わらせたい、というメッセージでもあるのです。

    --メッセージだけではなく、実際には消臭効果とか、実際に役立つこともありそうですね。

    下川 実は、消臭や脱臭だけでなく、UVカット機能や若干のストレッチ性もあるのです。

    --えっ、それ、書いてもいいのでしょうか?

    下川 はい(笑)。日本の厳しい生地試験の規格をクリアするには至らない数値ではあるのですが、コーヒー豆かすを使うことで、少なくともプラスの価値が現れることは確かなのです。

    日本における『ECOALF』のブランド責任者である下川雅敏さん。

    異業種でも同じ思いがあるから繋がれる

    --コーヒーをキーワードに『ECOALF』の商品を検索すると、「KATMANDU」だけでなく、Tシャツやトートバッグも出てきます。8月10日には「コーヒー染めアップサイクルサコッシュ」という製品が発売されました。そして、製品解説には、これらを作り上げるまでに色々な業種、分野の方との連携があると書かれていました。その連携の多様な顔ぶれがとても興味深いのですが。

    下川 興味を持ってくださりありがとうございます。その前に、少し遡ってお話しさせていただきます。

    最初に連携を行ったのは「KATMANDU」の第一弾モデルを発売したことをきっかけに、『アサヒグループホールディングス』と連携してスタートした、サステナブルなライフスタイルを提案する「UPCYCLE B(アップサイクルビー)」プロジェクトでした。

    --飲料品や食品を製造販売するメーカーと、なぜタッグを組むことになったのでしょう。

    下川 衣料品にコーヒーという食品を使っている、つまり、食が服に変わっているという珍しいケースだったので、興味を持たれたようです。

    プロジェクト第一弾は「廃棄コーヒー豆のアップサイクル」がテーマで、『アサヒグループホールディングス』が本社を置く東京・蔵前地区のカフェや焙煎店から出る廃棄コーヒー豆を地元の協力者の方たちと共に回収し、その豆から抽出したコーヒーを、醸造したスタウトビールに加えて、アルコール度数4.5%のコーヒークラフト『蔵前 BLACK』を誕生させました。

    それに併せて製作したのが、『ECOALF』のブランドメッセージ“BECAUSE THERE IS NO PLANET B”(第2の地球はないのだから)をデザインしたカップ「UPCYCLE B 森のタンブラー」で、このタンブラーには、『パナソニックホールディングス』が開発した植物由来のサステナブルなプラスチック「kinari(キナリ)」が使用されました。

    『ECOALF』『アサヒ』『パナソニック』。3社のコラボレーションによる次世代に向けた新しいライフスタイルを提案するプロジェクト「UPCYCLE B」。その第一弾としてコーヒークラフト『蔵前BLACK』と『UPCYCLE B 森のタンブラー』(カップ)が誕生した。 現在、発売されている新デザイン、新カラーの「森のタンブラー」はこちら!「UPCYCLE B タンブラー THE1.5℃ UNISEX」¥1,540税込

    --そこで、『アサヒ』『パナソニック』、そして、廃棄コーヒー豆を有効活用したいと考えて活動する蔵前の人々との繋がりができたというわけですね。

    下川 そうなんです。そして、もう一つの連携は、昨年の秋に開催された【ルミネ新宿 COFFEE FESTIVAL~わたしとコーヒーとサステナと~】というイベントがきっかけです。

    ルミネ新宿から、そのイベントのディレクションをしてくれないかとオファーがありお受けしました。2日間にわたって開催されたのですが、参加してくれた方たちがイベント会場で飲んだコーヒーの豆かすを回収。『味の素AGF』と『モリリン』の2社の協力を得て、そのコーヒー豆かすをアップサイクルした染料を用いた“コーヒー染め”のトートバッグを作りました。

    --この時のパートナー2社は、どのような役割を担ったのですか?

    下川 『モリリン』は350年以上の歴史がある愛知県の繊維専門の会社で、染色・縫製を担当。『味の素AGF』は工場にあるすごい機械を使って、回収したコーヒー豆かすを乾燥させるなど、染色の前段階となる大切な工程を担ってくれました。

    ACTコーヒーアップサイクルトート¥2,970。『味の素AGF』『モリリン』の協力を得て、新宿ルミネでのイベントで回収したコーヒー豆をアップサイクルすることに成功して誕生したトートバッグ。素材はオーガニックコットン100%のツイル地。染色は、木材、廃棄物、汚泥などのバイオマス燃料を使用する「バイオマスボイラー」を備える国内有数の環境配慮型染工所で行われている。

    --なるほど。このイベントから繋がって、今年8月に『ECOALF』と『味の素AGF』、『モリリン』との協業による「コーヒー染めアップサイクルサコッシュ」が生まれたのですね。でも、なぜサコッシュだったのでしょう。

    下川 私たちが行なっているのは、新たな資源活用や循環というメッセージ性のある取り組みです。

    それを伝えるのにあたって、ウェアだと価格的にハードルが高いけれど、小物なら手に取りやすいと考えたのですが、サコッシュにしたのは、『アサヒグループホールディングス』と連携した「UPCYCLE B」プロジェクトで出会い、以来、私たちの企画に賛同してくれている台東区・蔵前のコーヒー豆焙煎専門店『縁の木』の代表の提言からでした。「コーヒーショップに行くときにマイカップを入れたり、アウトドアに行く時にタンブラーを入れておける袋物を作ってほしい」という要望を出してくださったのです。

     『縁の木』の代表は、コーヒーの廃棄物には抽出後に出る“かす”だけでなく、“欠点豆”と呼ばれる焙煎前の生豆から取り除かれる虫食いや未成熟の規格外の豆もあり、その廃棄物の量が増えているというのも課題だ、ということを教えてくれた方でもあります。

    廃棄されるコーヒー豆の回収や、サコッシュの商品下げ札付けなど一部の作業は、台東区の福祉事業所が行なってくれました。こういう地域連携も大切なことだと考えています。

    --コーヒー染めにした生地は何を使用していますか?

    下川 オーガニックコットン100%です。肩掛け紐に付いているストッパーの素材には、『パナソニック』の植物由来のセルロースファイバー 「kinari」を使用しています。

    コーヒー染めアップサイクル サコッシュ¥2,970。通常は廃棄となるコーヒー豆・粉を染料に活用して染めたコーヒー染めアップサイクルサコッシュ。ブランドメッセージ「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」の文字を、コーヒー豆をイメージしたオリジナルグラフィックにアレンジしてプリント。オレンジのドローコードを使うなど、デイリーユースのみならず、アウトドアをイメージしたカラーリングになっている。 染料の素となる廃棄される規格外のコーヒー豆の回収や、商品下げ札付けなど作業の一部を台東区蔵前の福祉事業所が担っている。

    ファッションには発信力がある! 

    --本当に業種の壁を超えた繋がりが広がっているんですね。

    下川 実は、さまざまな業界から「クリーンアップのイベントを開催したいのだけど主催をしてもらえないか」といったオファーもたくさんいただいています。

    --どうして『ECOALF』に声がかかるのでしょう。

    下川 サステナブルファッションのリーディング・カンパニーだということが認知されてきたからだと思います。また、ファッション産業は製造にかかるエネルギー使用量や衣類の大量廃棄などの問題から環境負荷の大きい産業と指摘されていますが、その一方で、ファッションならではのキラキラ感や楽しさといった発信力があるのだと、僕は思っています。

    --『ECOALF』が日本上陸したのは2020年の3月です。それから変わったと感じていることはありますか?

    下川 SNSの運営も担当しているのですが、当初はインスタで「#サステナブルファッション」と入れても、出てくるのは50件とかその程度でしたが、今は1日で1000件とか2000件とか、それ以上ヒットすることもあります。それだけサステナブルファッションという言葉も定着してきたんだと思います。

    1号店がオープンした時、ショップに足を運んでくれたのはマスコミや行政、SDGsのバッジを胸に着けた企業の方たちが目立っていました。それが徐々に、自分たちが買うものにすごくこだわりをもっている人たちや、SDGsということを勉強して育っている世代の人たちがユーザーとして増えてきました。

    応援してくれてきた方たちと一緒に『ECOALF』も育ってきたという感じがしています。SNSでの問い合わせもすごく多く、それだけ関心をもってもらってるんだなと実感しています。

    三重県志摩市と連携して、市役所職員・漁業関係者・環境活動家の方たちと行なった海岸での海洋プラスチックゴミ回収活動の様子。2020年11月、志摩市大王町次郎六郎海岸にて実施。

    -- たとえば、どんな質問がくるのでしょう。

    下川 「自分が長い間大事に着たパーカーをお店に持っていったら再生してもらえますか?」「ビーチクリーニング活動をしているんですが、エコアルフの『UPCYCLING THE OCEANS』にも何か貢献できますか?」などですね。

    今朝も都内の女子大生から「SDGsについて学んでいるのですが、ファッションに興味を持っているので、自分で海洋ゴミをアップサイクルしたブランドをつくりたい。アドバイスしてもらえますか」というDMがありました。

    --ファッションが好き、おしゃれをしたい、というだけではなく、「地球環境を守るために自分たちにもできることが何かあるかもしれない」と、ファッションを通して考えている人たちが増えているということですね。

    ファッションの力を感じる、いいお話をうかがうことができました。そして、コーヒーを自分で淹れて飲んだときには、“コーヒーかす”をそのまま捨てずに、自分でできる再利用を考えてみたいと思います。

    どうもありがとうございました。

    後日談!

    インタビューの中で、SNSでの『ECOALF』への質問に「自分が長い間大事に着たパーカーをお店に持っていったら再生してもらえますか?」とあったことが気になっていたので、下川さんにその答えを訊いてみました。

    国内の『ECOALF』店舗では、定期的に回収を行なっているとのこと。スケジュールや回収方法などの詳細は、『ECOALF』の日本での発売元である三陽商会のホームページで見ることができます。

    海洋に漂流するプラスチックゴミの問題に一早く取り組んできた『ECOALF』は2009年にスペインのマドリードで誕生。日本でもサステナブルファッションのリーディングブランドとして、また、環境保護活動も多くの人に注目されている。

    ECOALF日本公式WEBサイト

    私が書きました!
    ライター
    堀けいこ
    ジャンルを問わず、楽しいこと、美しいもの、魅力的なひとを記事にするライター・編集者。雑誌『BE-PAL』初期にファッションページのスタイリングとライティングを担当。長い時を経てweb版にて復活! 連載記事【災害救助犬コアと家族の日記】の主役、コア君のともだち。

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