朝ドラ「らんまん」ゆかりの地にできた高知「佐川おもちゃ美術館」は木育と植育がテーマ! | 子育て 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.09.29

    朝ドラ「らんまん」ゆかりの地にできた高知「佐川おもちゃ美術館」は木育と植育がテーマ!

    高知の郷土料理「田舎寿司」を模したおもちゃを手にする佐川おもちゃ美術館館長の岡﨑明子さん。佐川町の保育園で30年以上勤務し園長も務めた。後ろにあるのは特産のナシを模したおもちゃ。実際に収穫できるようにナシは取り外しができる。

    2023年7月15日、「日本植物学の父」と言われる牧野富太郎博士の出身地・高知県佐川町に「佐川おもちゃ美術館」がオープンした。 牧野富太郎と言えば、NHK朝の連続ドラマ小説「らんまん」の主人公のモデルということで、その名を知る人も多いだろう。そんな牧野博士ゆかりの地であるだけに、同館は「木育」と「植育」をメインテーマに据えている。美術館でありながら、木のおもちゃと遊びを通じて自然の大切さを学べる体験型施設だ。

    木のおもちゃと触れて遊び、自然や命の尊さに気づける場所

    「まきのさんの道の駅・佐川」に隣接して建つ佐川おもちゃ美術館。外観はシンプルながら、内部は木の温かさに包まれたウッディーな空間になっている。

    佐川おもちゃ美術館がある佐川町は、高知市中心部からクルマで西へおよそ40分。牧野富太郎をはじめ幕末の志士など、多くの偉人を輩出した文教のまちとして知られている。中心部以外は山々に囲まれた静かな里山が広がる。最近では森を育てながら行う小規模な林業・自伐型林業の先進地として、一部からは注目を浴びつつあるまちでもある。

    佐川町は2018年からは「ウッドスタート宣言」を行い、町内で生まれた赤ちゃんに木のおもちゃを配布するなど、積極的に木育活動を行ってきた。そして同町も舞台となった先述の朝の連ドラを追い風に、道の駅整備と同館の開設が実現することになった。

    2018年から始まった「ウッドスタート宣言」で町内で生まれた赤ちゃんに送られるおもちゃセットも展示され、自由に遊ぶことができる。

    「木育」とは、幼い頃から木や森に触れて、豊かな心を育むこと。一方の「植育」とは、植物の栽培や収穫を通じて、木育同様に子どもたちの健やかな成長を促すこと。

    「牧野博士は小さな花から大きな花まで、愛情を持って接してきました。当館にも博士が愛した花を模したおもちゃがあります。これらに触れることで、すべての命の大切さを感じ取ってもらえたらと考えています」

    と館長の岡﨑さんは同館が考える植育を語る。

    世代と世帯を超えて交流できるおもちゃの数々

    展示室の中央にある「まきのさんのやま」。ドームの内部に入って遊べる。また側面は佐川町内の広葉樹で作ったはしごになっていて、ジャングルジムのように登ることもできる。

    靴を脱いで館内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、木で弧を描いたドームが印象的な「まきのさんのやま」。中をくぐりながら、化石や岩石を模したおもちゃ「tsumi-isi」などで遊ぶことができる。このドームは真っ直ぐな板を何枚も重ね、曲げて作るため、高度な技術が必要だという。

    同館はこのドームを中心に、5つほどのエリアが広がり、それぞれテーマに沿った多彩なおもちゃが並んでいる。いずれのおもちゃも自由に触れて遊べる。「おじいさんがお孫さんにコマ回しを教えたり、あるいは知らない家族が一緒になって遊ぶ姿を目にします。世代や世帯を超えた交流の場になっています」と岡﨑さんは利用客の様子を語る。

    見学する順路に決まりはないが、今回はぐるっと一周するように各エリアを紹介していこう。

    展示物ながら自由に触って遊べるギミックが満載

    牧野博士が最も愛したというバイカオウレンが咲く「まきのさんのはなばたけ」。バイカオウレンは自由に取り外せ、コマとして遊べる。

    「まきのさんのやま」の隣にあるのが「まきのさんのはなばたけ」。牧野博士ゆかりの花々があしらわれた空間になっている。こんもり盛り上がった木の地面にはバイカオウレン。壁面にはワカキノサクラ、オンツツジなどを模したマグネットが貼り付けられ、まさに花が咲き誇る様子を表現している。

    まきのさんのはなばたけの壁面にあしらわれたサザンカ。マグネットになっていて、自由に並べて構成遊びが楽しめる。

    牧野博士も愛用した、植物採取に使う胴乱(どうらん・左)や収集用の瓶で、はなばたけにある花々の収集遊びもできる。

    さらに奥へと進むと、きぐみの積み木が並ぶエリアがあり、その隣に木の組み合わせが美しい組子の階段が上へとのびる。この先にあるのが屋根裏部屋風のスペース。ここから見えるのは天井を支えるトラス状の木の梁。力強さ感じる太い梁が、整然と連なるその姿は壮観だ。

    それらを含め同館で使用している木材は、ほとんどが高知県産材。作品や装飾には地元の林業家や作家の協力を得て作られたものもある。

    「森から木材が作られ、当館のようなカタチになって目に見える。木が活躍する姿を子どもたちに見てもらう機会にもなります」

    と岡﨑さんは狙いを語る。

    「まきのさんのやま」の奥にあるスペースには30個以上のけん玉が。

    木の凹凸を利用して木をつなぐ日本の伝統的技術から発想されたきぐみの積み木。

    伝統的な木工技術「組子」をあしらった階段。先人が培った職人技にも触れることができる。

    2階の小部屋から見る天井の梁。整然と並ぶ姿が美しい。

    赤ちゃん連れでも安心してくつろげる遊び場

    周囲とは隔離され、広々としたスペースで遊べる「赤ちゃん木育ひろば」。

    1階をさらに奥にあるのが周囲を壁で囲まれた「赤ちゃん木育ひろば」。ここはその名の通り、ハイハイやヨチヨチ歩きの2歳以下の子どもが心おきなく遊べるスペース。おもちゃは、自重を利用してワンアクションで動くシンプルなアイテムや積み木など揃っている。

    他のエリアとは仕切られているため、まだ目が離せない小さな子ども連れでも安心。ここには先述の町内で生まれた赤ちゃんに贈られる積み木も置かれている。

    佐川町の森の姿と夢中になれる世界のおもちゃまで

    同館の最奥にある「グッド・トイひろば」。佐川町の森にある自然木も並ぶ。

    「グッド・トイひろば」では、芸術と遊び創造協会が認定する「グッド・トイ」が楽しめる。グッド・トイとは「健全なおもちゃ」「ロングセラーおもちゃ」「遊び・コミュニケーション尊重おもちゃ」という3つの方針に沿ったおもちゃのこと。このコーナーには国産木材を使ったおもちゃや世界のボードゲームまで幅広いアイテムが揃っている。

    自然木に空けた穴に木でできたひっつきむしをマグネットの棒で取る。単純ながら大人も夢中になる遊びだ。

    このコーナーにはシイやヤマザクラなど、地元の林業家が運び込んだ佐川町内の自然木が立ち並ぶ。佐川町の森にどのような木々が生えているのかが分かる仕組みだ。この自然木には穴が開けられ、ひっつきむしを穴に隠して、マグネットの棒で取る仕掛けも施されている。これ以外にも館内には「佐川オリジナル」のおもちゃがあるので、いろいろと試してみるのも面白い。

    高知らしさを木に触れ遊び体感する

    年配者が孫世代に遊び方を教えることで交流が生まれるコマ回しのコーナーも複数用意されている。

    明るい日差しが差し込むエリアには、コマ回しのコーナーや5000個の木のたまごで埋め尽くされた「たまごプール」、木でできた佐川町名産のショウガやナシの収穫体験や郷土料理「田舎寿司」作りができる「さかわマルシェ」がある。大きな窓の外には林業家が伐倒のデモンストレーションなどが行えるイベントスペースが広がる。

    5000個のヒノキの木のたまごで埋め尽くされた「たまごプール」。この中には木でできた恐竜の化石も混ざっているので、それを探すのも楽しい。

    実際の収穫作業同様に引き抜くのには意外と力がいる「さかわマルシェ」の収穫体験コーナー。

    「さかわマルシェ」に並ぶ「田舎寿司」のネタ。田舎寿司は山の幸を寿司のネタにした高知の郷土料理。

    「この空間に入っただけで『癒やされる』と口にするお客様も多いです」。木が発する香りや感触の効果を、お客の反応からも実感している岡﨑さん。そして木のおもちゃの最大の特徴は、カタチは同じでも、よく見れば年輪の違いや色合いなど、どれをとっても同じものがひとつもないこと。「それを感じてもらうことで、日常生活で忘れがちな感性や感覚を呼び起こしてもらいたい」と岡﨑さんは語る。

    まだまだ紹介しきれないほどの木のおもちゃに溢れている同館。実際にそれら一つ一つで遊んでいたら、丸一日はあっという間に過ぎてしまうだろう。まさに花に夢中になった牧野博士のごとく、大人も童心に帰って木と触れ合うことができそうだ。

    佐川おもちゃ美術館

    住所/高知県高岡郡佐川町加茂2711−1 TEL/0889-20-9977
    営業時間/10:00〜16:00※最終入館受付 15:30 定休日/水
    URL https://sakawa-toymuseum.info/

    私が書きました!
    ライター/カメラマン/編集者
    藤川満
    大雪山山中での勤務、札幌の情報誌編集長などを経てフリー。現在は神戸を拠点にして、六甲山の茶屋の酒を目当てに登り、時に仁淀川や四万十川まで足をのばしカヌーで川を下る。全国各地の低山にも出没し、下山後の地酒に目がない日本酒党。「にっぽん百低山 吉田類の愛した低山30」(NHK出版)の執筆・写真・編集担当。

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