田んぼ、はじめませんか? | 農業・ガーデニング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.08.22

    田んぼ、はじめませんか?

    シンガーソングライター東田トモヒロさんの今回のお話しは、田んぼです。年間予定が決まっている田んぼは意外と始めやすいのだそうです。

    トラクターと筆者

    お米を作り始めて、かれこれ10年です

    もうかれこれ10年ね、田んぼと向き合って来ましたけれど、ほんと良く続いていると思います。
    数組の友人家族と共同でやってきたのですが、初めのうちはまあもう知らないことばかりなのでね、大変なものでした。
    今思えば、後見人となってくださる農家の友人がいなかったら決して始めることも続けることもできなかったと思います。

    最初はね、ほんと軽い気持ち。お米って40年も食べてきたけれど、田んぼも長いこと風景として見てきたけれど、実際どうやって作られているのだろうと。


    何と無く分かっているつもりだけど、全くと言って良いほどホントのところは分かっていない、自分の心とお米についてはね。なんて格言めいたことを申しておりますが。

    田植えにこぎつけるまでもね、色々とありました。まずはセオリーとしてトラクターで田を耕す。これ四駆のトラクターじゃないと出来ないのに、僕らと来たらある方から譲って頂いた二駆の古いトラクターで無理やりやっていたものですから、耕している時間より、田んぼに埋まったトラクターを救出している時間の方が遥かに長かったような気がします。

    田んぼビギナーのあるある話

    それから水の問題ね。棚田のようになっている地形、一番下部が我々に授けられた田んぼでした。大概条件のよろしくない田んぼから放棄される事が多いので、いざ始めるとなると、使わせてもらえる田んぼは、変な形していたり、日当たりが良くなかったりする事が多いのかも知れません。我々の場所も御多分に洩れず、これがなかなか水が回ってこない場所でありました。

    我々の田んぼ含め、あたり一帯に引かれているのは、神社の脇のありがたい湧き水なのですが、貴重であるが故に、新参者にはそう簡単に分けてくれないのですね。力石徹のロッカールームばりに水はいつも固く閉め出されていました、ちょっと極端ですが。あれはそうねえ、ローカルのサーフポイントに入れたのは良いけれど、波が回ってこないあの現象と酷似していますよ、これマジで。湘南でいうと大崎みたいな。我田引水、夢の如しといった感じです。

    一帯のボス的存在の人と細やかなコミュニケーションをとり、ご機嫌とタイミングを伺いつつ、ようやっと水を分けてもらいます。

    それでも足りないので、あとは天の水にお任せ。まとまった雨を待って、やっとこさの代搔きという作業ができます。

    雑草も稲も食べる“JT”との駆け引き

    準備が整ったらいよいよ田植え。田植え機などありませんでしたのでね、みんなで一列に並んで、朝から夕方まで地道に手で植えていきましたね、初期の頃は。
    昔は一家総出でやっていたのでしょうね、このような作業を。なんでも田植えの時に田んぼで泥んこになった子どもは、その一年病気しないと言われていたらしいです。


    たくさんの菌や微生物に触れ合った方が、免疫力って高まっていたのでしょうね。
    今みたいに除菌殺菌甚だし過ぎると、かえって病気になりやすくなっちゃうのではないでしょうか。

    それが終わったらジャンボタニシとのイタチゴッコが始まります。九州の田んぼにはこのジャンボタニシ(JTと呼んでいます)がたくさんたくさんいます。
    アメリカから何だかから誰かがかつて食用として仕入れたらしいのですが、たいして美味しくなかったらしく、その後よせばいいのに不用意に川に放ったそうで、あっという間に繁殖してしまったと聞かされています。

    雑草を食べてくれるありがたい存在とも言えるのですが、JTたちはついでに苗も食べちゃう。JTつってもジェイム・ステイラーみたいな爽やかさは一切ありませんからね。食べられた箇所は、手作業で補植しなければなりませんので、あらかじめその分の苗は余計に用意しておきます。

    ただJTは水がないと移動できない子たちなので、田植えの直後はなるべく田んぼの水を低く保つようにします。それでもやはりいかれてしまう箇所はどうしても出て来るので、若干まだらになってしまうのです、毎年。無農薬でやっていますからね、生き物との共存と思えば平和な気持ちにもなりますが、やれやれといったところです。

    こんなあまり表に出ない駆け引きも、田んぼの中では人知れず繰り広げられているわけです、はい。

    それから暑い夏の間の草取りに草刈りね。除草剤を撒き散らすおっさんを横目に、僕らはこれもコツコツ刈払い機で手作業です。田んぼの周りの草を刈るのは、害虫や病気から稲を守るのに非常に重要らしいのです、何事も風通し良くしておくことは大事なのかもしれません。政府与党もこのぐらい風通しよくお願いしたいところです。皆さんのご自宅の窓も時には開け放ちましょうね、僕はほぼほぼ一日中全開にしていますが。

    オススメ! 意外と田んぼは始めやすい

    そしてやがて来る稲刈りですね。数年前まで竹を組んで掛け干しなるものをやっていました。自然乾燥させて、コメから水分を取り除く。
    山に入って竹の切り出し、竹をいくつも組んで長蛇の物干しを作ります。手刈りした稲を麻ひもで束ねて、その竹の物干しにかけて行きます。

    こん時はね、ほんと気持ち良いのですわ。乾燥した秋の空気の中、少しだけ冷たくなった風。時に強く、時に柔らかな太陽の光。塩おむすびと麦茶の入った水筒。この頃になるとね、夏の間の苦労は全て吹き飛びます。束ねた稲の重さが肩に心地いい。

    ああ、お米って有難い、田んぼって素晴らしいってね。詳しくはまた秋にレポートさせて頂きますね。

    おかげさまで今年もすくすくと成長しています。
    水の管理や草取り草刈りと、やるべきことはありますが、僕はぜひ皆さんにオススメしたいのです。自分の田を持つことをね。意外に思われるかも知れませんが、米作りは植え付けと収穫の時期が毎年ほぼ決まっていますから、スケジューリングしやすい。

    本業があって、さて兼業するかって余裕がある方にはうってつけだと思います。都会に住む方であれば、例えばお友だちと一緒に郊外に田んぼを借りちゃうなんてのも良いかと思います。

    これから物価がさらに上昇し、食料の自給率が今まで以上に重要視されて来たら、世の中変わるかも知れません。例えば田んぼだけでなく、カーシェアリングみたいにトラクターや田植え機、コンバインのシェアリングが盛んになったら相当面白いと思います。

    僕は友人から四駆のトラクターを、そして手押しの田植え機を格安で譲ってもらいましたが、そのような同世代の先駆者を探して、色々と頼ってみるのが一番の近道かも知れません。
    ゲットしたトラクターは絵描きの友人にペイントしてもらったりして、遊び心も忘れてません。何事も楽しくなければ続きませんものね。

    KEENブランドと田んぼワークショップを毎年開催

    楽しみと言えばここ数年、田植えと稲刈りの日は、僕のパートナーブランドでもあるKEENと一緒に「Rice Field Fes」と名づけて、ワークショップのイベントとして、お祭りのように開催しています。

    3年前から福島の南相馬の子どもたちに送るお米も一緒に作っています。このようにして田んぼを通じて被災地同士の交流も続けているところです。今年は南相馬のよつば保育園から近藤先生も来られての田植えでしたので、大いに盛り上がった次第です。


    詳しくはこちらをご覧くださいね。
    ーRice Field Fes (https://www.instagram.com/ricefield.fes/

    現代に田畑を持つ意味を考える

    極力アナログなお米作りを経験して、様々な発見がありました。こんな重労働に毎日向き合えたその昔の人々は、ある意味で幸せだったのかも知れません。

    動力機械がなかったから、当然他の事なんて手につかなかったでしょうね。田畑の雑務で一日が終わっていたことでしょう。それは生きること、食べてゆくことにシンプルに直結しているから、余計なことは何も考えられないし、考えなくていい人生だったかも知れません。

    僕に置き換えると、まるで一日中ライブやサーフィンをしているようなものかも知れないな、その人生ってとね、思いました。

    やるべきことをやっている、生きることに集中しているっていうかね。
    今は農業もやはりビジネス的な側面が強いのですが、本質は変わることないでしょうね。田畑の持つ意味の根幹は。

    これからの時代、何となくその本質に近い農業が残っていくような気がします。ビジネスというよりもっとウェルネスとハピネスに特化した農といいますかね。うん、なんか良いこと言ってる気がする。

    僕はとても農家にはなれませんし、その覚悟もありませんが、自分の食べるものの少しだけでも作り続けたいなと思います。自然に対する感謝の念を忘れない為にも。

    今月のおすすめアウトドアミュージック

     サム・クック「You send me」
    曇りなき彼の歌声がフィールドに響けば、ジャンボタニシもウットリとして、苗を食べるのをやめてくれるかもね。

    東田トモヒロNEWS

    パラサーフィンの応援ソングを提供
    2022年7月10日に開催された一般社団法人ユニバ主催「第一回 静波パラサーフィンフェスタ」のテーマソング『Let you release』を提供。
    ユニバが企画するGOLD PROJECT(パラスポーツの発展と魅力を発信)第2弾として、サーフィンをこよなく愛し「LOVE & FREEDOM」を発信し続ける東田トモヒロが同企画に賛同しこの曲が生まれた。 心地よい海風を感じさせる爽快なサーフ・ミュージックへと仕上がった本楽曲は、自分自身を開放し大海原へと挑戦する全てのサーファー達への応援ソングとなっている。

    GAKU-MC × 東田トモヒロ THE DAY 2022開催!
    最強のアウトドアコンビGAKU-MCと東田トモヒロがタッグを組み、キャンピングカーに音楽機材とサーフボードを積み込み、2021年4月から全国10箇所を周った、ツアー「キャンピングカーであなたの街へ。昨年大好評に終わった、2人のコラボが再び!今年は1日限定で、逗子surfersで開催です!
    日程:2022年9月11日(日)  open 16:00 /start 17:00
    会場:逗子 surfers
    問い合わせ:info@mifa.co.jp

    サブスクリプションコミュニティTSC(Tomo Surf Club)
    シンガーソングライター東田トモヒロとつくる、持続可能な音楽のコミュニティです。
    月額制のサブスクリプションで、独自の配信ライブや、インターネットラジオ配信等いくつかのオリジナルコンテンツを用意して、みなさんとコミュニケーションを図っています。ぜひご参加ください。
    https://community.camp-fire.jp/projects/view/338326

    私が書きました!
    シンガーソングライター
    東田トモヒロ
    1972年生まれ熊本市在住。ニューヨークでのレコーディングを経て2003年にメジャーデビュー。旅とサーフィン、スノーボーディングをこよなく愛し、そのオーガニックなサウンドを通して「LOVE&FREEDOM」を発信し続けるシンガーソングライター。

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